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「WORK DESIGN AWARD」グランプリを受賞した水産会社の画期的な働き方改革とは?

2021.12.28

「働き方改革」「コロナ禍でのテレワーク化」「DX推進」など、日本企業は働き方のシフトチェンジが求められている。特に、企業の課題に「働きやすさ」を確保することがある。

先日、株式会社SmartHRが主催した日本の「働きやすさ」を前に進めることを目的に、働き方をアップデートした取り組みに焦点を当てるアワード「WORK DESIGN AWARD  2021」が開催された。全国から寄せられた100を超える取り組みの中から、今特に社会に広げていきたい8つの取り組みが選出された。

グランプリに選ばれたのは、従業員の働きやすさを追求した結果、好きな日に連絡なしで出勤・欠勤してOKな制度を持つ会社。その施策とは? 主な取り組みを紹介する。

「WORK DESIGN AWARD 2021」とは?

「WORK DESIGN AWARD」は、人事・労務管理のクラウドサービスを提供する企業、SmartHRが今年初開催したアワード。コロナ禍においてリモートワークが増えるなど、働き方の形が大きく変化し、多くの企業や団体が新しい環境に合わせた取り組みを模索する中、これからの「働き方」や「働きやすさ」について考えるきっかけづくりを目的とする。

今年は、働く人の成長やキャリアアップにつながることを目指した「キャリア」、不要なワークプロセスの削減や必要なワークプロセスの開発を目指した「ワークプロセス」、性別・年齢・能力・国籍などに関わらず様々な人が心地よく働くための試み「ダイバーシティー&インクルージョン」など、計6部門を開設。

応募総数114件の中から、5名の審査員により8件が選ばれた。

●6部門

●受賞一覧

グランプリ 株式会社パプアニューギニア海産「フリースケジュール」

グランプリを受賞したのは、ワークスタイル部門の株式会社パプアニューギニア海産「フリースケジュール」。同社はパプアニューギニア産・船凍天然エビ専門の水産会社だ。

フリースケジュールとは、いったいどんな施策なのか?

【取り組み】
「フリースケジュール」

・従業員が会社のことを嫌いでなくなること、自分の生活を大事に争いのない職場にすることを目指し、一人一人が満足できる働き方を実現すべく、職場環境の改善を実施。

・従業員との面談により、好きな日に出勤ではなく、好きな日に休むことができる『休みやすい会社にする』ということにたどりつき、パート従業員のシフト制をやめ、「好きな日に連絡なしで出勤・欠勤するシステム」を採用した。

・工場営業時間の間は、出勤は1分単位、退勤は30分単位で自由。退勤時間は出勤時にホワイトボードにて申告、休憩も好きな時間に好きなだけとることができ、全てにおいて報告は禁止。

・時間に縛られないことで、子育て中の人や障害を持った人なども自分の生活を大事にすることができる働きやすい職場となった。

・2016年に出勤日・時間ともに自由にしてから誰も出勤しなかった日はなく、勤務形態による欠品もない。2020年は離職率0%であり、ベテラン従業員が増えることで作業効率・品質が向上した。現在23名のパート従業員全員に同システムを適用している。

・コロナ禍になって、学校が休校でも、旦那さんの会社が休みになっても、フリースケジュールなので自分に都合のよい日や時間に出勤できた様子。

【講評】

浜田 敬子氏(ジャーナリスト/前Business Insider Japan統括編集長/元AERA編集長)

・審査会では、これで工場は回るのだろうか、全員が出勤しないような事態は起きないのだろうか、と心配する議論もあったのですが、結果的に離職率が0になったということは非常にうまく機能しているのだと思います。

・それは工場長や会社側が働き手の生活や気持ちをとことん理解しようと努められたからでしょう。子どもの体調などで突然休まなければならない時、「休みます」のひと言がどれだけ言いにくいか。そんな細やかな配慮が、結果的に従業員の自律性、モチベーションを引き出しています。

・今回の審査過程では今の時代に必要なのは、「働き方の民主化」「働き手の主体性」だとされました。パプアニューギニア海産は、究極の管理しないマネジメントによって、この2つを実現させた点が高く評価されました。

また、今回、特別に審査員の一人である伊藤 羊一氏(Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長)にもコメントをもらった。

「審査員全員の中で、注目度が圧倒的にNo.1でした。そして、全エントリーの中で、一番時間をかけて議論しました。すごい取り組みなのだが、いったいこのフリースケジュールがなぜ成り立つのか、その理由が簡単にはわからない。でもこれが成り立つなら、そのエッセンスも含め、これを日本中に広める意味は大きいのではないか。

そして伝統的な業界の、ハードな労働環境の中で、こういう取り組みにチャレンジし成果をあげられていることは、すべての働いている方へのエールになるのではないか。たくさんのことを議論して、最終的に、満場一致でグランプリとさせていただくことにしました」

【受賞企業へのインタビュー】

フリースケジュールについて、誰もが気になること。それは、あまりに自由過ぎると、各人、出勤のリズムというか生活習慣などが崩れることもあるのではないか?という懸念だ。なぜ「2016年に出勤日・時間ともに自由にしてから誰も出勤しなかった日はなく、勤務形態による欠品もない」状態が実現できたのか。

パプアニューギニア海産 代表取締役 武藤北斗氏は、次のように述べる。

「フリースケジュールはパート従業員に適用しています。パート従業員は時給制ですので働きに来ないとお給料がもらえません。ですから会社が縛らなくとも自分の意思で出勤するというのが自然かなと思っています。ですから、自由にすると皆が出勤しなくなるといった発想そのものが、実は固定概念ではないかと思っております。

フリースケジュールは年月がたつにつれて、より自由になっています。最初は日にちだけだったものが、次は時間も自由になり、さらには休憩時間も自由になる。しかしその反面、月に出勤する時間の定めすらなかったものを、月に20時間以上は出勤するというルールを作るなど、何か争いごとが生まれそうなときは対話をして厳しくすることもあります。

ただ自由にするのではなく、本当に争いがなく働きやすい職場とは何かを常に考え続けていることが私たちの強みだと思います」

それにしてもこのパート従業員たちはとても真面目に思える。何か確固たる企業理念などがあり、それが関係しているのだろうか?

「企業理念というよりも、『自分の生活も大事にしながら働ける仕組みがある』だけで、結果として退職する人は少ないですし、実際この2年間退職者はいません。また無理に仲良くなるようなことも求めないので、淡々と働ける会社の過ごしやすさを感じることで、休みたいとか、行きたくない、あの人に会いたくないなどの負の感情が減っていくことも要因かもしれません。

何よりシフト制を強要すると、いつ休むかがみんなの頭をしめますが、フリースケジュールの場合はいつでも休めますから『いつ働くか』の思考になります。その思考のなかで出勤数が激減していくことは起きにくいのだと思います」

このフリースケジュールの施策は非常に画期的なもの。今後、他の企業にもこの制度や、制度の裏にある「従業員を縛らない」という考え方が広がっていくのかもしれない。

その他の部門賞も注目!「成長を支援し合う社内コミュニティ」「実在しない人事担当」

その他の部門賞に選ばれた企業の取り組みも、興味深いものが多い。ここでは、2社の取り組みを紹介する。

●キャリア部門賞 パーソルキャリア株式会社

パーソルキャリア株式会社は、転職サービス「doda」やハイクラス人材のキャリア戦略プラットフォーム「iX」をはじめとした人材紹介、求人広告、新卒採用支援等のサービスを提供している会社だ。

コロナ禍において、希薄になりがちな社内コミュニケーションを画期的な方法で活性化させ、各人の成長につなげた。

【取り組み】
「社員がつながり、成長を支援しあうコミュニティで社内を活性化。「タニモク」×「モクサポ」プロジェクト」

・コロナ禍によって、本格的にリモートワークが始まった中で、社員同士のコミュニケーションの減少や中途入社者の孤立など、「社員同士の関係性」に関する問題が組織で挙がってきた。そこで立ち上がったのが社員の有志によるワークショップ「タニモク」とコミュニティ「モクサポ」という社内活性プロジェクト。

・「タニモク」は、3~4人で目標をたてあうワークショップで、目標をたててもらうひと(=主人公)が現状を相手に伝え、相手は「自分だったら」という主観で主人公の目標をプレゼンする。主人公は得られたアイデアを用いて、具体的な目標をたてる。これにより、主人公は自分が気づかなかった目標や行動の選択肢が得られる。

・目標を立てあった社員同士が部門間を超えて目標を共有し、行動を支援するコミュニティが「モクサポ」である。

・現在は全国で「タニモク」が自発的に開催されており、社員同士の支援の繋がりによるパフォーマンスの向上や、今後のキャリアや働き方を考える機会を創出している。

・コロナ禍でリモートワークが中心になったことによる社員同士のコミュニケーション不足やキャリアの悩みの解消などを目的に、社内の有志メンバーが定期的にタニモクを開催するケースが増加した。

【講評】
伊藤 羊一氏

・コーチングをベースとする対話の重要性は、1on1ミーティングの浸透とともにだいぶ日本企業の中で意識されてきているが、1対1だとどうしてもコーチ役の力量が問われるし、場合によっては話し手、聞き手双方にとって苦痛にもなりかねない。「タニモク」はこれをオープンな場で気軽に取り組めるように、しっかりと考えられフォーマット化されているのがまず素晴らしい。

・加えて、目標を立てたら実行だが、成果につなげるためにフォローしあう体制が必要だ。それをモクサポというコミュニティで行うと。本当によく考えられているし、この2つをきちんと行えば成果につながるのがわかる。

・全国のあらゆる会社で展開してほしい、と心から願う。

●ニューカルチャー部門賞 株式会社キャスター

株式会社キャスターは、オンラインアシスタント「CASTER BIZ」をはじめとした人材事業を運営。「リモートワークを当たり前にする」をミッションに掲げ、創業時よりフルリモートで経営している。

フルリモートの企業ならではの、面白い遠隔からでも可能な施策だ。

【取り組み】
「実在しない人事担当『遠藤ひかり』が業務を遂行」

・毎月多数の新入社員が入社する関係で、人事担当者宛には入社時の契約や就業規則について、毎回同じような質問が繰り返されていた。多くの内容がマニュアル化できており、テンプレートをもとにした対応で事足りていた。同じことを発信するのに、担当者は一人でないといけないのか?という疑問が出てきた。

・そこで、実在しない架空の人物「遠藤ひかり」を設定し、複数人の人事担当者がこの「遠藤ひかり」アカウントを運用し、人事の契約・更新手続き等の窓口業務を担当した。

・担当者が休暇時や退職した場合も、継続的に一定の質を保った対応が可能であるほか、人格を持たせることで心理的安全性を担保し相談のハードルを下げ、情報の一元化管理につなげている。

【講評】
龍崎 翔子氏(L&G GLOBAL BUSINESS, Inc.代表/CHILLNN, Inc.代表)

・以前、とある歌手の方が、芸名と本名を分けることで、世間からの批判を自分へのものではなく、自分のした仕事へのものだと捉えることができ、自らの心を守ることができた、とおっしゃっていたのが非常に印象に残っています。

・労務・総務といった、属人化しやすくかつ迅速な対応が必要な窓口業務は、得てして深夜や休日の対応といった帰結へと繋がりやすいですし、その上クレームや交渉対応など精神的に負荷がかかりやすいものも少なくありません。

・そんな中、個人に依存する業務を、架空の人物にゆだねることで、チームで情報共有をしながら運用していくことができるなど、働き方の当たり前を変えていくようなクリエイティブな提案だと感じています。

今回のアワードで取り上げられた「働きやすさ」を推進するための企業の取り組みは、時代の変化とともに働き方の価値観を更新していくものである。このような取り組みが他の会社にも浸透すると、日本企業の未来も変わっていくだろう。

【参考】
WORK DESIGN AWARD
SmartHR 公式YouTubeチャンネル

取材・文/石原亜香利

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