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未払いの残業代は請求すべし!意外と気づいていない「サービス残業」4つのパターン

2021.10.14

定時を超えて働いたにもかかわらず、残業代が支払われない「サービス残業」が、ブラック企業と呼ばれる会社を中心に横行しています。

実は従業員の側でも、「サービス残業」をしていることに気づいていないケースが存在します。

サービス残業によって会社から不当に搾取されないように、労働基準法の残業に関するルールを正しく理解しておきましょう。

今回は、ルールを知らなければ気づきにくい、サービス残業のパターンを紹介します。

1. サービス残業①|「管理職だから」残業代が支給されない

「管理職に対しては残業代を支給しない!労働基準法のルールもそうなっている」

と主張する会社がありますが、多くの場合、上記の主張は誤りです。

労働基準法41条2号によると、「管理監督者」に対して、会社は残業代を支払う義務を負わないことになっています。

しかし「管理監督者」とは、経営者と一体的な立場にあると認められるような待遇や権限を与えられている従業員のみを指し、一般的な「管理職」の範囲とは一致しないのです。

特に、事務職の「課長」やチェーン店の「店長」といった中間管理職は、労働基準法上の「管理監督者」に当たることは滅多にありません。

「管理職だから」という理由で残業代が支給されない場合は、サービス残業が発生している可能性が非常に高いでしょう。

2. サービス残業②|準備や片付けの時間が無給

「仕事を始める準備をするために、始業時刻より早く出勤しなさい」

上司などから、上記のような指示を受けたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

労働基準法に照らすと、仕事を始める準備をする時間帯は「労働時間」に該当し、残業代が発生します。

同様に、終業時刻の後で片付けを行ってから帰宅する場合、片付けの時間も残業代が発生する「労働時間」に含まれます。

従業員に対して、始業準備や片付けなどを無給で行わせることは労働基準法違反に当たります。

もし無給の準備・片付け時間がある場合、残業代が未払いとなっているかもしれません。

1日当たりの時間は10分~20分程度でも、積み重なればかなりの金額に上る可能性があるので要注意です。

3. サービス残業③|残業代が一律固定金額

「固定残業代制」を採用している会社では、従業員がどんなに長時間の残業をした月でも、あらかじめ定められた残業代しか支払わないケースが存在します。

しかし、労働基準法の下で適法に固定残業代制を採用するには、会社には以下の対応が求められます。

①固定残業代の金額と、対応する固定残業時間数を従業員に明示する
②固定残業時間数を超える残業が発生した場合、超過時間に対応する残業代を支払う

上記のポイントからわかるように、固定残業代制は「従業員を定額で働かせ放題」という制度ではありません。

長時間残業が常態化している従業員については、月々の固定残業時間数を超えることが予想され、超過分については残業代を支払わなければならないのです。

労働時間が長いにもかかわらず、会社が固定残業代制を言い訳にして残業代を支払わない場合は、未払い残業代が発生していないかをチェックしましょう。

4. サービス残業④|深夜・休日のテレワーク

最近では、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが普及したことから、会社の仕事を気軽に自宅でできる環境が整いました。

もちろん便利な面も多いですが、いつでも仕事に取り掛かれてしまうが故に、深夜・休日にわたるまで自宅でテレワークをする会社員の方も増えています。

「会社の指示がないのだから、残業代は発生しない」

という理屈で、深夜・休日のテレワークに残業代を支給しない会社も存在します。

しかし、明示的に「残業せよ」という指示がなかったとしても、「黙示の残業指示」があったと認められる場合には、残業代が発生するのが労働基準法上のルールです。

「黙示の残業指示」が認められる典型的なケースが、業務量が多すぎて自宅で残業せざるを得ないという場合です。

この場合、定時では終わらないほどの業務を課されているのですから、「残業をして業務を終わらせる」ことが会社の指示に含まれていると解釈するべきでしょう。

なお、深夜残業に対しては、通常の25%に加えて、深夜手当としてさらに25%の割増賃金が発生します(計50%)。

また、休日労働の割増率は35%と、通常の時間外労働(残業)よりも高めに設定されています。

深夜・休日にテレワークによる業務を強いられている方は、残業代請求を検討するとよいでしょう。

5. サービス残業を疑ったら残業代請求の検討を

サービス残業は、会社の労働者に対する不当な搾取にほかなりません。

ご自身がサービス残業をしていると気が付いた方は、会社に対する残業代請求をご検討ください。

残業代請求を行うには、会社と直接交渉するほか、労働審判や訴訟を利用する方法も考えられます。

弁護士に残業代の回収を依頼するとスムーズに対応できますので、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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