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知ってる?ことわざ「少年老い易く学成り難し」の意味と由来

2021.10.20

『少年老い易く学成り難し』は、書物にもしばしば登場する有名なことわざです。しかし、言葉として知っていても、実は意味はよく分からないという人も多いようです。正しい言葉の意味や由来・具体的な使い方、類語を改めて確認してみましょう。

「少年老い易く学成り難し」とは

『少年老い易く学成り難し』は、主に若い人に向けて伝える言葉として有名です。言葉の意味を正しく理解した上で、使い方も把握しましょう。

限りある時間を勉学に使おうという戒め

『少年老い易く学成り難し』を現代語に直訳すると、『少年はあっという間に老いてしまうのに対して、学業は思うように進まないものである』という意味です。

誰もが若い頃は、時間を永遠に続くもののように感じてしまいます。しかし、気を抜いて過ごしてしまうと、結局は何も成し遂げないままに年を取ってしまうものです。

学業は奥が深く積み重ねることが大切なため、手を抜いていては知識が身に付きません。

すぐに過ぎる若年期を実りあるものにできるよう、「時間は限られているのだから、若いうちから意欲的に勉学に励みなさい」という戒めや励ましの気持ちを込めて使われます。

具体的な使い方と例文

『少年老い易く学成り難し』は、主に若い人に向けたメッセージとして使われます。このフレーズの『少年』は性別を問わず、年を重ねていない人全般を指す言葉です。

年長者が若い人に対して『少年老い易く学成り難し』を使うときの例文は、以下の通りです。

  • 少年老い易く学成り難しというから、油断せずしっかり勉強しなさい。
  • 更なる目標を達成するためにも、『少年老い易く学成り難し』という言葉を胸に刻んでおきなさい。

相手への期待も込めながら、叱咤激励するときに使うのが一般的です。

「若い頃には分からなかったが、少年老い易く学成り難しとはよく言ったものだ」というように、自分が年を重ねてから若かりし日の後悔を表す場合もあります。

「少年老い易く学成り難し」は漢詩由来のことわざ

(出典) photo-ac.com

『少年老い易く学成り難し』は、漢詩の一節が由来といわれています。原典とされる漢詩の口語訳も知って、より深く意味を理解していきましょう。

原典は朱熹の「偶成」?

『少年老い易く学成り難し』は、宗の儒学者であった朱熹(しゅき)が書いた『偶成』に含まれる漢詩の一節が由来とされてきました。

朱熹は、朱子学を成し人生を学問に捧げてきた人物であるため、言葉の意味と照らし合わせて原典は偶成だと長く信じられてきたのです。

しかし、実際によく調べると『偶成』の中に『少年老い易く学成り難し』が含まれる詩は登場していません。

近年では、室町時代の禅僧である惟肖得巌(いしょうとくがん)の漢詩が原典ではないか、という説が浮上しています。

全文の口語訳で意味を深く理解しよう

『少年老い易く学成り難し』の原典とされる漢詩は、このフレーズの後にも続きます。まず全文と日本語に直した読み方を見てみましょう。行ごとに番号を振って整理します。

  1. 少年易老学難成(少年老い易く 学成り難し)
  2. 一寸光陰不可軽(一寸の光陰 軽んず可からず)
  3. 未覚池塘春草夢(未だ覚めず池塘 春草の夢)
  4. 階前梧葉已秋声(階前の梧葉 已に秋声)

次に1行目から順番に口語に訳してみます。

  1. 少年はあっという間に老いてしまうのに、学業を成すのは難しいものである
  2. だからこそ、ほんの少しの時間だからと軽く考えてはいけない
  3. 池のほとりに茂った若草の上で見た、春の夢からさめてもいないのに
  4. 階段の前にある青桐の葉はすっかり秋の風に吹かれているのだから

前半部分は『少年老い易く学成り難し』のことわざが表すメッセージそのものです。

後半は『春』を若い頃・晩年を『冬』だと捉えれば、『秋風』は年齢を重ね衰えを感じ始めたこと表す語と考えられるでしょう。自分は若いつもりでいても、気が付けば老いを感じる年になっていると表現しているのです。

全体の意味からことわざの教訓を深く考えれば、「学業の成就には時間がかかるのに、気が付かないうちに年を取ってしまうものである。時間を大切にして勉学に励みなさい」というメッセージが伺えます。

「少年老い易く学成り難し」の類語

(出典) photo-ac.com

『少年老い易く学成り難し』には、同じような意味を持つ類義語があります。それぞれに微妙なニュアンスの違いを持っているので、場面や状況に合わせて使い分けましょう。

目的の未達成を表す「日暮れて道遠し」

『日暮れて道遠し』は『ひくれてみちとおし』と読み、直訳すると『日が暮れてしまったにもかかわらず、まだ先は長い』という意味です。

日が暮れることを加齢になぞらえると、『年を取ったものの、いまだに目的を成し遂げられていない状態』を表しています。

『少年老い易く学成り難し』と違って、若者に対する強い教訓の意味は含まれていません。年を重ねた後、時間のはかなさを憂いているニュアンスが強くなります。

若い人への叱咤激励には使わないフレーズだと覚えておきましょう。『期限が迫っているにもかかわらず、目的を達成していない』という意味で使う場合もあります。

若い時期の短さを説く「盛年重ねて来らず」

『盛年重ねて来らず』は『せいねんかさねてきたらず』と読み、『若く元気のある年頃は、何度も来るものではない』という意味です。

転じて、「若い時期はあっという間に過ぎてしまうのだから、その時を大切に過ごしなさい」と時間の大切さを伝えるメッセージとして使われます。

実際に自分が若いときに、年を取った後のことまで考えて過ごすのは難しいでしょう。

しかし、後になって振り返れば、心身ともに若く輝いていた時間は誰もが短く感じるものだという教訓を説いています。

時間の流れは速いと伝える「光陰矢の如し」

『光陰矢の如し』は『こういんやのごとし』と読み、『少年老い易く学成り難し』の原典とされる詩の一節を用いたことわざです。

『光陰』は月日や年月を表しており、『月日は放たれた矢のように、あっという間に過ぎ去ってしまう』という意味です。

放たれてしまった矢は戻ってこないことから、過ぎた時間は取り戻せないという教訓も含んでいます。

『少年老い易く学成り難し』が若い人に向けて使われるのに対し、『光陰矢の如し』は全ての年代の人に向けて伝えられるメッセージです。

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