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『喧喧囂囂』と『侃侃諤諤』は、漢字から意味を想像するのが難しく、読み方が分からないという人もいるかもしれません。日常生活で使用する場面は多くありませんが、会話表現の幅が広がるので、この機会に正しい読み方や意味を知っておきましょう。
「喧喧囂囂」「侃侃諤諤」とは
『喧喧囂囂』や『侃侃諤諤』を正しく使うためには、意味についても知ることが重要です。ここでは、『喧喧囂囂』と『侃侃諤諤』の読み方や意味を解説します。
「喧喧囂囂」の読み方と意味
『喧喧囂囂(けんけんごうごう)』は、多くの人が各々好き勝手に喋って、やかましく騒がしいという意味で、『喧々囂々』と書くこともあります。
『喧』と『囂』は、どちらも『やかましい』『騒がしい』という意味があり、この文字を重ねて強調した『喧喧囂囂』は、『たくさんの人たちが激しく騒ぎ立てて、事態を収めることができないこと』ことを表しています。
例えば、ビジネスシーンにおいて、5人体制の営業チームが商品プレゼンの会議を行っている際、それぞれが大声で好き勝手に意見を出しているような状況は、『喧喧囂囂』が当てはまります。しかし、仮に大声で言い争っている場合でも、それが少人数の間で起きている口論であれば、『喧喧囂囂』は当てはまらないので注意しましょう。
「侃侃諤諤」の読み方と意味
『侃侃諤諤(かんかんがくがく)』とは、『相手に遠慮することなく、正しいと思うことを堂々と主張すること』『激しく議論をする様子』を表す言葉です。
『侃』には『心や性格などが強い』や『信念を曲げることなく怯まない様子』という意味合いがあり、『諤』は『思っていることをはっきりと言う』や『遠慮せずに直言する』という意味です。この文字を重ねて、意味を強調したのが『侃侃諤諤』になります。
また、『侃々諤々』と書くことや、『侃諤』と省略することも可能です。さらに『喧喧囂囂』と比べて、大人数ではなくても当てはまるケースがあることを把握しておきましょう。
「喧喧囂囂」と「侃侃諤諤」の違い
『喧喧囂囂』と『侃侃諤諤』は、どちらも主張するというニュアンスがある言葉ですが、全く同じ意味として使用することはできません。
『喧喧囂囂』は好き勝手に発言して騒ぎ立てることを表しますが、『侃侃諤諤』は自分が正しいと思うことを堂々と主張することを表しています。このことから『喧喧囂囂』はややネガティブな意味合い、『侃侃諤諤』はポジティブな意味合いで使用されることが多いでしょう。
例えばビジネスシーンであれば、企画会議で『喧喧囂囂な議論』という場合、メンバーが自分勝手に発言して収拾がつかない様子を意味します。逆に『侃侃諤諤な議論』であれば、それぞれのメンバーが自分が考えた意見を遠慮なく発言している前向きな様子を意味します。
「喧喧囂囂」「侃侃諤諤」はどう使う?
では、実際に『喧喧囂囂』と『侃侃諤諤』はどのように使うのでしょうか。正しく使えるように、具体的な例文も併せて紹介します。
「喧喧囂囂」の使い方
『喧喧囂囂』はそれぞれが好き勝手に騒ぎ立てて、事態を収集できない場面で使用します。大人数の発言に対して使う言葉なので、一対一の議論などでは使用できないので注意しましょう。
具体的な例文は、以下の通りになります。
- 今日の企画会議は喧喧囂囂な議論をしているだけで、全く話が進まなかった
- 与野党の議論は喧喧囂囂としていたが、ある議員の一言で事態が落ち着いた
- リーダーが不在の会議は喧喧囂囂としているだけで、一つもよいアイディアが出なかった
- 喧喧囂囂のミーティングをへて、ようやく次に発売する商品が決定した
- 喧喧囂囂な話し合いを防ぐためには、それぞれが好き勝手に話すのではなく、順番を決めるべきだ
「侃侃諤諤」の使い方
『侃侃諤諤』は議論や会議などで、自分が正しいと思う意見をはっきりと主張する場面や、盛んに議論する場面で使用します。単純に相手を罵倒したり、自分の意見ではなく批判だけをしたりする場面には当てはまらないので注意しましょう。
具体的な例文は、以下の通りです。
- 企画会議は侃侃諤諤とした議論の末、素晴らしい企画を作り上げることができた
- 侃侃諤諤とした議論するのはいいが、議論をきっかけに険悪になるのは防ごう
- 侃侃諤諤、どちらも相手の主張を受け入れる気配がない
- 営業部の社員同士で侃侃諤諤と議論が白熱した結果、よい提案が出来上がった
似た言葉「喧喧諤諤」とは?
『喧喧囂囂』と『侃侃諤諤』に似ている言葉として、『喧喧諤諤』という言葉があります。少し特殊な言葉になるので、正しい意味や使い方をしっかりと把握しましょう。
「喧喧囂囂」と「侃侃諤諤」の混ざった表現
『喧喧諤諤(けんけんがくがく)』とは、『喧喧囂囂』と『侃侃諤諤』が混同されてできた言葉です。『喧喧』には『やかましい』や『騒がしい』という意味があり、『諤諤』には『意見をはっきりと言う』や『遠慮せずに直言する』という意味があります。
ここから、『喧喧諤諤』は多くの人が激しく意見を言いあって、収拾がつかなくなった状態を表します。単純に『騒がしく議論をする』という意味なので、どちらかといえば『喧喧囂囂』の意味に近いです。
しかし、『喧喧諤諤』は『喧喧囂囂』と『侃侃諤諤』という、読みと意味が似ている四字熟語が混同してできた言葉なので、本来は誤用と考えられていました。
もとは誤用だがいまは広く使われる
『喧喧諤諤』は元々誤用でしたが、そのまま使う人が増えた結果、近年では日本語の表現として認知されているので、広辞苑にも『喧喧諤諤』が掲載されています。
具体的な例文は、以下の通りです。
- 会議は喧喧諤諤としていて、収拾がつかなかった
- 今年の株主総会は喧喧諤諤としていて、株主が議論を白熱させていた
- 議会は喧喧諤諤としていて、最終的には何も決まらなかった
- 全員が自分の意見を通そうとしたので、喧喧諤諤とした議会になった
構成/編集部