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製造現場における品質管理手法として使われる「TQM」とはどんな意味?

2021.05.03

世界的にも”高品質”で知られる日本の製品。その品質を支える鍵となっているのは、1960年代以降から製造現場で取り入れられている品質管理手法だ。本記事では、品質管理手法の中でも多く用いられている「TQM」について、そもそも何の略なのかと詳しい意味、実際の現場でどのような取り組みが行われているか解説する。

TQMとは

はじめに、TQMが何を表す言葉なのかについて、略語の意味や定義を詳しく見ていこう。また、TQMの基になっている考え方「TQC」との違いについても併せてチェックしてほしい。

TQMは何の略?意味は?

TQMは、「Total Quality Management」の頭文字を取った言葉。日本語では、「総合的品質管理」「総合的品質マネジメント」「総合的品質経営」などと訳される。企業が顧客に向けて提供するあらゆる製品やサービスの品質を維持し、さらに向上させるための考え方や取り組み、手法といったものを総称してTQMと呼ぶ。

日本品質学会が公表している「品質管理用語」では、TQMの定義を「プロセスおよびシステムの維持向上、改善、革新を全社的に行うことで、経営環境の変化に適した効果的かつ効率的な組織運営を実現する活動」としている。

よく似ている「TQC」との違い

日本の企業における品質管理の考え方は、戦後に始まった「QC(品質管理)」からスタートしている。QCは品質保持を優先課題として作業工程の改善を行うもので、製造現場や品質管理現場が主体となって行われていた。

しかし、時代の変遷に伴い、製品そのものの品質だけではなく、そこに至る企画・設計や販売・サービスなど、製造に直接関わらない分野でも質の高さが求められるようになる。そこで、品質管理の取り組みとして「TQC(Total Quality Control、全社的品質管理)」を取り入れ、より幅広い部門に拡大。1990年頃まではこのTQCが企業の品質管理手法の主流となっていた。

その後、システム化やグローバル化などによってさらに多様になる消費者のニーズに柔軟に対応すべく、TQMが生まれる。TQCを基に、管理・統制といった意味合いの「control」ではなく、目的達成に対応する意味を含めた「Management」に置き換えている。

TQCとTQMでは品質管理の主体となるものに違いがあり、TQCは現場の従業員一人ひとりが主体となって品質管理を行うのに対して、TQMは経営陣が主体となり、トップダウンのかたちで品質管理を行う。TQCに比べ、より「組織全体、企業全体の運営方針」の意味合いが強くなったものがTQMと言える。

【参考】品質管理の世界で欠かせない専門用語「TQC」とはどんな意味?

企業のTQM活動

では、実際の企業や製造現場ではどのようなかたちでTQMが取り入れられ、どんな活動で実践が行われているのか。ここでが具体的な企業の取り組みを紹介する。

企業ではどんな活動、取り組みが行われているか

実際の企業でTQMを実践する際の目的となるのは「プロセスやシステムの改善を通して、顧客・社会全体のニーズを満たした製品やサービスを提供する」こと。この目的を達成するため、現場ではいくつかの活動要素と効果的に行うための手法が取り入れられている。活動要素にあたるのは「開発管理」「品質管理教育」「日常管理」などで、「QC七つ道具」や「プロセスフローチャート」といった手法を用いてこれらの活動に取り組む。

【参考】品質管理に欠かせない「QC7つ道具」とはどんな意味?

オールトヨタTQM大会

大手自動車メーカートヨタでは、「オールトヨタTQM大会」と名付けられた大会が毎年開催されている。この大会では、関連企業で実際に行われたTQMの事例が数多く発表され、トヨタが掲げている「問題点を隠すのではなく、見える化することで解決への仕組みを探る」「改善できる人間を育てる」という理念が実践される大会となっている。

医療分野におけるTQM活動

一般企業のみならず、TQMは医療現場でも重要とされ、多くの病院やクリニックで看護やサービスの質を高めるための活動が行われている。最後に、医療現場におけるTQM活動について紹介しよう。

医療分野ではどんな活動が行われているか

近年、医療現場で行われる医療行為を「製品」として捉え、患者へのより良質な医療行為の提供や医療ミスの防止を目的として、さまざまな医療機関でTQMの導入が進んでいる。特に、看護師が主体となってQCサークルを結成し、各部署での問題点を洗い出してテーマを決め改善に取り組む活動がさまざまな病院で行われている。ただし、企業の場合と同様に経営陣、つまり病院の場合は病院長や理事長が主体となって病院全体でTQMを実践することが大切で、これを実践できている病院はTQM活動の成果が表れている場合が多い。

事例

実際に病院で行われているTQM活動には、「経費削減」をテーマにして介護のおむつ代や手術に使用する”糸”の節約を行ったり、「業務改善」の一環として透析に使われた針のリキャップ(処理方法)の見直しを行う事例がある。さまざまな医療機関の母体となる医療社団法人が主催となり、各医療機関でのTQMの事例を発表し共有する場が設けられているケースも多く、今後さらに医療現場でのTQM活動は活発化していくことが予想される。

文/oki

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