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新卒採用時の就職難易度ランキングが将来のキャリアにとって重要になる理由

2021.04.27

■連載/あるあるビジネス処方箋

4月に入り、中堅、大企業の大卒、大学院修士の新卒採用活動が本格化しつつある。今回は、ある業界の入社の難易度ランキングをテーマに私の考えを紹介してみたい。この場合のランキングとは新卒採用時のエントリー者数やそこに占める内定者数、つまり、倍率を基準にした順位と捉える。ある業界がどこを指すのかは、このコラムの最後で紹介したい。

入社の難易度ランキングは、少なくとも3つにわけられる。

A級:上位2~3社
B級:上位4位~25位
C級:それ以外

A級は、いずれも戦前からの名門企業。創業からの歴史は、70~80年以上になる。特に1960年~90年代後半までに業績が拡大した。1990年当時で新卒時のエントリー者数は推定でプレエントリーが年平均7~12万人。本エントリーは7000人~1万3000人。入社数は、30~40人。

入社する学生の最終学歴は、国立、私立でそれぞれ偏差値ランキングが上位5番以内が内定者の8割以上を占める。理系は少なく、文系が9割を超える。男性が内定者30~40人の7~8割。

B級が、問題なのだ。ここの企業のうちの半数(10~12社程)は、バブル期(1986~1991年)には、A級の2~3社に業績(売上、経常利益)が接近するほどに成長した。だが、特に90年代後半の不況以降、業績ダウンする企業が続出。2000年以降、10社程が現在に至るまでに銀行から役員を送り込まれ、大幅な経営改革をした。家賃を払うことができずに、家賃がより安いオフィスを移転した企業も10社近い。リストラをした企業も5~7社ある。

結果として、卒採用者数は1年でわずか5人程になったり、試験を2年に1度にしたり、採用を中止した企業も数社ある。A級の企業2~3社に今や完全に突き放されてしまったのだ。

B級のほとんどの企業が、1990年前後は新卒時のエントリー者数は推定でプレエントリーが年平均で数千人。本エントリーは500~1000人で、入社数は10~20人。90年代後半以降、業績が悪化する。少子化の影響もあり、エントリー者数は減り、今やプレエントリーが年平均で500~1000人。本エントリーは300~700人。入社数は、10人程。倍率は、大幅に下がった。入社の難易度が大きく下がり、A級と比べると見劣りする社員が増えた。おそらく、A級の企業との間に人材の質において5~6ランクは差がついているのではないか。

例えば、B級のある企業に2000年前後に入社した男性は現在、40代前半で課長職。同期は7人いたが、この男性以外、全員が2015年までに退職。つまり、倍率1倍以下の課長職だ。同世代(1998~2003年入社)の社員の9割は退職。残っている社員全員が課長になっているという。「誰でも管理職になり、ゆるい倍率で役員になることができる職場」では優秀な人材は生まれえない。実際、私はこの男性たちと仕事をしたが、A級の企業の同世代の人材よりも質は5~6ランクは低い。

優秀な人材にしようと育成するならば、A級の企業のように、高いレベルの人材を毎年コンスタントに採用し、定着率を高めないといけない。そこに密度の濃い競争の空間が出来上がる。すると、ある程度のレベルまでは育っていく。

「採用→定着→育成の流れ」をいかに整えるか。ここが、最大のポイントとなる。A級の企業はこの流れがある程度整備されているが、B級にはほぼまったくない。辞めていく社員は実に多い。B級のある企業は社員数200人程のうち、170人程が中途採用。社員たちによると、話し合いで合意するのに時間がかかり、ムリ、ムダ、ムラが多いという。中途採用が多数を占める場合、定着率を高める仕組みを丁寧に作らないと、このような結末になる。

この企業は、2005年前後にリストラを行った。現在に至るまで、銀行から役員を数人送り込まれ、経営再建中と言われる。A級の企業の人材よりも質はやはり、5~6ランクは低い。

C級の9割程は、はるか前から新卒採用を毎年行うことはできていない。従って、プレエントリー者数は100人以下が多い。本エントリー30~50人程から数人を採用するようだ。この倍率では、優秀な人材を獲得するのは難しい。30歳になるまでにほとんどが退職する。

今後、新卒採用を考える人はぜひ、この業界でここ30年に起きたことを記憶にとどめてほしい。同じようなことが、読者諸氏の業界でも進んでいるはずだ。

あなたがエリート学生ならば、迷わず、A級の企業に進もう。キャリア形成において大きな損をすることは、まずありえないはずだ。C級はお勧めできない。30歳前に辞めるのが見える。このレベルの企業では、転職市場において高い評価はなかなか受けない。B級の半数以上も、今やC級に近い。要注意だ。転職はB級からC級へ、C級からB級へはあるが、B、C級からA級に移る人は極めてごく少数だ。ちなみにこの業界は、出版界である。

文/吉田典史

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