小腸と大腸、大きく二つからなる腸と、その腸を整える乳酸菌のお話である。腸内に生息する様々な細菌はおよそ1000種、100兆個。顕微鏡で観察するとそれらは植物が群生する”お花畑“のように見えることから、腸内フローラと呼ばれる。乳酸菌は腸内細菌等の微生物と共に生きたり、互いに作用したりすることで整腸効果を発揮する。
腸、そして乳酸菌とくれば『新ビオフェルミンS』を連想する読者も多いのではないだろうか。今回はビオフェルミン製薬株式会社の研究員の横田遥さんを取材した。研究開発部門には若手の研究員が多いが、横田さんから腸のこと、乳酸菌のことをわかりやすく解説してもらった。
興味のある物事は深く探究したくなるタイプ
数学と化学は高校時代に興味を持ち、薬剤師の免許が取得できる薬学部へ進学。大学では消化器系の研究室に所属した。
「研究室では炎症性腸疾患の研究をしていました」
炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病があり、患者数が増加しているが、発症の原因は未だ不明。
「ある分子が、炎症性腸疾患の発病に関与すると仮説を立てまして、動物や細胞を用いてメカニズムの検証をする研究をしていました。」
――自分の性格は研究者向きだと?
「自分が興味のある物事は深く探究したくなるタイプなので、そういう面では研究者向きなのかもしれません」
大学での研究・技術を生かせればと、入社したビオフェルミン製薬は希望通りの会社だった。
――企業の研究室でまず驚いたことは?
「高額な機器がそろっていることですね。例えば、遺伝子配列を解析する最新の装置があったり。書類作成が多いことやデータの管理がシビアであることにも驚きました。まず試験を実施する前に計画書を作成し、社内の承認をもらってから初めて試験を進められます。また、記録を書き間違えても、間違えた履歴をちゃんと残しておくことも必要です。大学ではあまり経験していなかったので、ギャップを感じました。大学の時は、企業の研究職は研究だけすればよいと思っていましたが、実際はそうではなく、さまざまな部署と連携し、販売戦略や製品の市場性などを把握し、製品を世の中に出すというゴールに向かって包括的に研究開発していくことの重要性を入社後に実感しました」
腸内フローラと乳酸菌
――さて、腸についてお聞きします。腸の役割をざっくり言うと?
「栄養分や水分の吸収が主な役割ですが、ヒトの腸内にはたくさんの細菌が棲みついていて、一説には体重の1~2㎏は、腸内細菌だと言われています」
――資料によると、腸内細菌はおよそ1000種100兆個だと。
「菌によって形や大きさが様々なので、顕微鏡で覗くとお花畑のように見えます」
――そこから腸内に細菌が生息する様子は、腸内フローラ(flora・お花畑)と呼ばれていますね。
「これだけの菌が棲んでいる臓器は腸以外にありません。腸内フローラは病原菌などから身体を守る役割を担ったり、人の健康にいい影響を与えています」
だが、それは腸内フローラのバランスが保たれている場合だ。腸内フローラには善玉菌と悪玉菌、どちらにも属さない日和見菌が存在するが、「何らかの原因で腸内の悪玉菌が優勢になると、悪玉菌が作り出す有害物質も増えて、便秘や軟便など、おなかのトラブルを引き起こすことがあります」
そこで、乳酸菌の出番である。その役割を簡単に説明すると、乳酸菌とは――
「人が食べたものの未消化物や食物繊維、大腸に残る栄養分等をエサにして、腸内で増殖しある種の酸を出します。その酸が悪玉菌を退治して、善玉菌が優勢になるように、お腹の中の環境をいい状態に保ってくれるんです」
乳酸菌といっても、その種類は様々だ。腸の健康にとって、いったいどんな乳酸菌が有効か。それを考えた時、〈乳酸菌のくすり〉『新ビオフェルミンS』に、俄然スポットが当たる。
新ビオフェルミンS錠・細粒
【効能】整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感
役割の違う3種類の乳酸菌をバランス良く配合。小腸から大腸まで広く、腸内フローラを整え、加齢や食生活、ストレスなどで乱れやすい腸内環境の改善に役立つ。
3種の乳酸菌の役割
生後3ヵ月の赤ちゃん※からお年寄りまで、性別を問わず、軟便や便秘、腸内のガスの発生などによる腹部膨満感の改善等、整腸効果があるとされる『新ビオフェルミンS』。その大きな理由として“ヒト由来の乳酸菌であること”、“腸に生きたまま乳酸菌が届くこと”を挙げている。
『新ビオフェルミンS』の成分を構成する乳酸菌は、フェーカリス菌、アシドフィルス菌、ビフィズス菌の3種だ。
「増殖が速いフェーカリス菌は、小腸に棲みついてある程度、腸内の環境を整えます。アシドフィルス菌も小腸に棲みついて、乳酸という酸をたくさん出します。その酸によって多くの悪玉菌を退治してくれるんです。乳酸菌には動物や、植物のお花から取れるものなど様々ですが、3種類菌はいずれも人の腸内に棲む乳酸菌です。腸内に棲む菌を研究し、製薬化した医薬品なので、人との相性がいいですし、腸内での定着性がいいのです」
ビフィズス菌は、赤ちゃんから高齢者までの腸に棲む乳酸菌だ。もともといる菌を製剤化したものだから、赤ちゃん※から高齢者まで幅広く整腸効果が期待できるというわけだ。(※新ビオフェルミンS細粒は生後3ヵ月から、新ビオフェルミンS錠は5歳からお使い頂けます)
引用:ビオフェルミン製薬株式会社HPより
――“腸に生きたまま乳酸菌が届く”とは、どういう意味ですか。
私の問いに、横田遥さんは「簡単に言うと」と前置きして、
「うちの製品は粉タイプか錠剤ですが、くすりに含まれる乳酸菌は、仮死状態のようになっていまして、乳酸菌が腸に届き快適な環境に置かれると菌が目覚めて、小腸や大腸の中で復活するんです」
復活した乳酸菌は腸内で増殖して、ある種の酸を出し、腸内の悪玉菌を退治して腸内バランスを整えると考えられている。
「菌によって、それぞれ個性があります。入社当時、乳酸菌の培養を教えてもらったのですが、大切なことは菌に適した環境を整えることです。例えば、ビフィズス菌は酸素を嫌う性質があるので、それに適した環境で培養することが大切です。ビフィズス菌は、酸素濃度が低い大腸に棲みつきます。大腸で乳酸と酢酸を出して悪玉菌をやっつけるんです」
――『新ビオフェルミンS』は、どのようなときに服用する薬なんでしょうか?
「便秘や軟便になりやすい方、年齢とともにおなかの調子が気になってきた方、おなかの調子を整えたい方にとって、腸内環境が改善され、症状の改善が期待されると考えています」
女性だけでなく、男性にも
――女性が登場するCMが多いせいか、『新ビオフェルミンS』はどちらかというと女性向きの薬という印象があります。
「そういうイメージを持つ方もいらっしゃいますが、女性でも男性も、効果を発揮します。便秘しがちな人や、ストレスでお腹が緩くなりがちな男性にも効果的です。最近のテレワークで、運動不足からおなかの不調を感じている方の助けになると思います」
「海外に出張や旅行することが多い友達は、“外に行くとお腹の調子が悪くなるので、いつも『新ビオフェルミンS』を携帯している”と言ってくれます」
生後3ヵ月の赤ちゃんからお年寄りまで、性別を問わず整腸効果を発揮すると言われる『新ビオフェルミンS』。その大きな理由として、“ヒト由来の乳酸菌であること”そして“腸に生きたまま乳酸菌が届くこと”を謳っている。横田さんは研究員として、これからも腸内フローラや乳酸菌の可能性を探っていく。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama