タブレットの甘い誘惑
細身のジョッキだけど、はっきりいってもっと細くてもいい! いやいやフツ~のコップでもいいよ、50円なんだから。と思いつつグイッといけば……どうしてこんなウマイモンを50円で出しちゃうかなぁ~!!
いくらヤケクソの価格設定でも150円くらいとっても誰も怒らないっすよ。
おまけにハイボールと同時にお通しのキャベツがやってきた。このお通し代金は330円のようだが、もう喜んで払うぞ330円!
一杯目のハイボールは瞬時に消え、当然のようにお代わりとなるんだけど、店員さんを呼んで、
「すいません、ハイボールお代わり!」
っていうのも、
「あ、あのジジイ、また50円だよ!」
って思われるじゃない? そういう恥ずかしさも含めて2杯目は違う酒をオーダーしようとすると、なんとこの店のオーダーは店員さんに話しかけるんじゃなくて、タブレットでのオンライン注文!!
これじゃ恥ずかしさがないから、ついついまた50円の頼んじゃうじゃん!! 優しいにもほどがあるぞ、この店! すいません、その優しさに甘えて2杯目も50円でいきます…。
それにしても呑み屋で呑めば呑むほど、頼めば頼むほど申し訳ない気持ちが加速していくというのは非常に希有な体験ではある。
そんな申し訳なさで、タブレットの“御会計確認”というのを見てみる。
すると、50円というのは税抜き価格で、その他に5円の消費税が加算されていた。
オ~ッ!! なんか知らないけど、5円でも多く払ってると思ったらちょっと心の辛さが和らいできたじゃないか!
正直いって、消費税10パーセントどころか、30パーセントだって払っていいぞ、この店の50円ハイボールに関しては!!
そんな気分になってきた辺りで、ツマミのヤンニョムチキンをきたんで3杯目も、ちょっと強気でまたまた50円ハイボール!!
3杯目を呑みながら、いや~消費税30パーでもいいよなァ~と再度思いつつ、30パーだといくらになるんだろうか? と計算してみたら、30パーにしたところで65円……。なにか前よりももっと申し訳なくなる。
それにそもそも消費税をいくら払ったところで、お店の取り分はまったく変わらず、消費税分はただただ税務署にいっちゃうだけである。申し訳ないどころか、いたたまれない精神状態にすらなってきた。
しかしだ!!