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ビジネスシーンでよく使われる「CRM」とはどんな意味?

2021.02.07

近年、ビジネスシーンで注目されるワードの一つに「CRM」がある。これは対顧客サービスを行う企業にとって、今後ますます必要とされる考え方だ。また、同じく「CRM」と表記するものの、実は航空業界ではまったく違う意味を指す。

どちらもビジネスパーソンなら覚えておきたい重要な言葉。そこで本記事では、それぞれのCRMの意味や注目される理由をわかりやすく解説する。この機会に2つの「CRM」を基礎から学び、理解を深めてほしい。

CRMとは2つの異なる意味をもつ略語

ビジネスシーンで用いられるCRMは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理、顧客管理」と訳される。そのために用いられるITツールを「CRMツール」と呼び、世界的に圧倒的なシェアを誇る「Salesforce」がその代表例だ。最近はツールも含めてCRMと呼ぶことも多い。

一方、航空業界発祥のチームマネジメント法も同じく「CRM」と略される。これは「Crew Resource Management」の頭文字をとった略語で、安全で効率的な運航を実現するため考案されたもの。平成12年4月からは、国内で運航する全航空会社のパイロットに対し「CRM訓練」の実施が義務付けられている。

経営戦略としてのCRM

はじめに、ビジネスシーンで用いられる「CRM(Customer Relationship Management)」の意味をもう少し詳しく見ていこう。CRMの目的は、顧客と良好な関係を築いて利益を増やすこと。成功事例を手掛かりに概念を理解し、導入するメリットを理解しておこう。

CRMとは「顧客中心主義」を目的とした経営手法

CRMを一言で表すと、「顧客満足度を高めることで、利益につなげる経営手法」のこと。高度成長期から近年に至るまで、日本ではたとえ一部の顧客が離れてしまっても、新規顧客を開拓することで経営が成り立ってきた。しかし、人口が減少し経済も伸び悩む現代では、新規顧客の獲得は以前より困難になり、「現顧客といかに長く付き合えるか」が重視され始めている。

そこで鍵になるのが、顧客一人ひとりの満足度を上げること。顧客の要求は多種多様だが、いかに細やかにユーザーに寄り添えるかが問われており、顧客情報を管理、活用して個々のニーズに対応できるCRMの存在に注目が集まっている。

成功事例から見るCRM導入のメリット

実際にCRMを導入している企業の実例を見ると、その実態がわかりやすい。2つの事例をみてみよう。

・いち早くCRMを導入した企業として知られる「DELL」の例

1984年の創業当時、PC購入時のスペックはあらかじめ決められていた。顧客はその組み合わせの中から選択するのが一般的だったが、DELLでは顧客が好みのスペックを指定し受注生産する「BTO(Build To Order)方式」を採用。ユーザーは機能の取捨選択ができることから、「顧客の要求に寄り添ってくれる」と評判になり、創業からわずか15年でPCの世界市場第2位にまで成長した。

・コールセンター業務に苦慮していた「セイコーウオッチ」の例

全国の時計店や量販店など、およそ12,000店からの受注を一手に担当する国内営業本部専門店営業2部。平均して一日300件の電話と130件の FAXがあったが、電話とFAXが連携されておらず、顧客から「つながりにくい」との声が上がっていた。

そこでCRMツールを導入し一元管理したところ、担当者をそれぞれに配置する必要がなくなり、応答率、処理スピードともにアップ。結果、顧客満足度の向上に繋がったという。

CRMツールの主な機能

人の力では実現できないデータ管理や分析、活用機能を有するCRMツール。具体的にどのような機能が備わっているのだろうか。ここでは、主要な3つの機能を紹介する。

顧客管理

顧客の基本情報(氏名など)に加え、管理したい”属性”を追加することができる。商談の日時や内容の履歴、購買目的、ニーズなどを登録しておくことで、グループ分けも可能だ。

分析、マーケティング

顧客情報やアンケート結果、サイトのアクセス解析などから、ユーザの傾向や購入見込みなどの分析が可能。企業側の「思い込み」や「経験則」からではなく、裏付けのあるデータを元にマーケティングができる点は大きい。

プロモーション

CRMツールでは、一斉メールやメルマガの配信、セミナーやイベントの管理まで対応したものもある。特に、プロモーションで近年注目されているのが「アドレサブル広告」。“個を特定できる広告” という意味で、CRMデータを元に、より興味関心の高いユーザーにアプローチできる。既存客の再購入率を高めるだけでなく、Yahoo! DMPと連携すれば、ターゲットを絞ってより効率的な新規顧客の開拓も可能だ。

混同しやすいSFAとの違い

顧客データや進捗管理などの機能を持つ「SAF(Sales Force Automation)」は、CRMと共通する部分も多く、混同されがちなツールだ。たしかに「顧客情報の管理」においては共通しているが、CRMは“顧客との関係性”や“その動向の分析”まで行うため、よりマーケティングに特化したもの。SAFは営業支援ツール、CRMはマーケティング特化ツールと覚えておこう。

航空業界におけるCRMとは

航空業界では「CRM」が「Crew Resource Management」の意味で用いられる。飛行機の安全な運航のために考案された人員全体(チーム)のマネジメント法のことで、「CRM訓練」はチームワークが必要とされる他業界でも採用され始めている。

「安全で効率的な運航」を実現するためのマネジメント法

飛行中、何かトラブルが起きた時には対処のための資源(人員、機器、情報など)が非常に限られている。そのため「安全で効率的な運航」には、個々のスキルアップに加え、チーム全体の”対応力”が欠かせない。特に、便ごとにチームが組まれる航空業界では、「特定のメンバーとの結束」ではなく、「その場に居合わせたメンバーの結束」が重要視される。

そこで誕生したのが、「利用可能なすべての資源を有効活用するマネジメント法」、つまりCRMだ。これにより、ヒューマンエラーを防ぐことでトラブル時の対応力を高め、安全で効率的な運航を目指している。

チームワーク訓練として注目されるCRM

CRMの考え方は、ヒューマンエラーが大きく関わる業界(特に医療、海運、原子力発電など)の分野にも拡大しており、実践するための知識や方法を学ぶ「CRM訓練」を積極的に取り入れる動きがある。

JAXAが、JALやANAと共に開発したCRM訓練では主に、「コミュニケーション」「意思決定」「チームビルディング」「ワークロードマネジメント」「状況認識」に重点が置かれている。これらはチームワークが不可欠な分野で共通しても求められるものであるため、今後もさまざまな分野での活用されるが見込まれている。

文/oki

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