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「而して」は何と読む?覚えておきたい意味と正しい使い方

2021.01.10

『而』という字にはさまざまな使い方や読み方があります。『而して』と書いた場合には「しかして」「しこうして」の、どちらの読み方が正しいのでしょうか。また、その意味や『而』の漢字を使った熟語などを紹介します。

「而」の読み方は?

『而』は、漢文の置き字として使われる文字です。学校などで漢詩を読んだ経験から、この文字に見覚えのある方も多いのではないでしょうか。

また、日本では明治時代頃の古い詩や小説に使われることもあります。『而』のみでは「ジ」と読みますが、『而して』『而も』と書いた場合は、それぞれどのように読んだら良いのでしょうか。

而して「しかして」「しこうして」

『而して』を辞書で引いた場合、以下のような意味として紹介されています。

しこう‐し‐て〔しかう‐〕【×而して】
[接]《中世には「しこうじて」とも》前文で述べた事柄に並べて、あるいは付け加えて、別の事柄を述べるときに用いる。そうして。それに加えて。

「水は台所より外には無い。―台所は二階には附いていない」〈二葉亭・浮雲〉

[補説]もと、漢文訓読系の文章の中で用いられた。「しかくして」あるいは「しかして」の音変化か。

しか‐し‐て【▽然して/×而して】
[接]そして。それから。多く漢文訓読文に用いられる。

出典:weblio辞書

上記の記述から、オーソドックスなのは「しこうして」と読むことが分かります。しかし、「しかして」も決して不正解というわけではありません。漢文で用いられるときは「しかして」と読みます。

而も「しかも」

『而も』は「しかも」と読みます。辞書では以下のように解説されています。

しか‐も【▽然も/×而も】
《副詞「しか」+係助詞「も」から》

[接]

1 前述の事柄を受けて、さらに別の事柄を加えるときに用いる。その上。「あの方は私の恩師で、―命の恩人だ」

2 前述の事柄を受けて、それに反する帰結を付け加えるときに用いる。それなのに。それでも。「あれだけ練習して、―勝てなかった」

[副]そんなにまでも。

「三輪山を―隠すか雲だにも心あらなも隠さふべしや」〈万・一八〉

出典:weblio辞書

読み方は「しかも」です。これは、現代でもよく使われるニュアンスのため、意味が分かる人も多いのではないでしょうか。二つの異なる意味がありますので、前後の文章から、どちらの意味で使われているのかを判断しましょう。

「然」との違い

『然』という文字は、訓読みでは「しか」と読みます。『然り(しかり)』という言葉は、現代でも新聞や小説などで見かけるでしょう。

『然して』と書くこともあります。この場の意味は『而して』と変わりません。前に述べた事柄を受けて、その事柄から後に続ける文章を書く際に使います。

然り而して』といったように、組み合わせて使われることもあります。

現代では『逆も然り』『然る後に』など、『然』の漢字の方がよく使われます。

中国語でも同じ意味で使われる

『而』という漢字は、中国語でも使われています。中国語における意味や使い方についても紹介します。

而且の意味は「しかも」

『而且』は「ピンイン」と発音する接続詞です。「なおかつ」「その上」「さらに」といった意味で使われます。「しかも」と日本語に訳すのが適切でしょう。

『不但(~だけでなく)』や『不仅(~のみならず)』という言葉と組み合わせて使われる場合も多いです。セットで使われて、「~のみならず、しかも…」という意味になります。

漁夫の利の置き字「而」とは

置き字とは、訓読した際に読まない文字のことです。「而」のほかには「焉」「矣」「於」「于」「乎」などがあります。

発音はしませんが、意味としては主に順接の「そして」、逆接の「しかし」の意味となり、文と文をつなぐ接続語として用いられます。

漢詩の『漁夫の利』においても、「漁者得而并擒之。」として、この置き字は使われています。

而を「じ」と読むときの使い方

『而』は、音読みでは「じ・なんじ」と読みます。「じ」と読んだ場合の使い方について、熟語を用いて解説します。

30歳を示す 「而立(じりつ)」

『而立』とは30歳のことを表します。15歳を『志学』、40歳を『不惑』などという言い方もします。この言葉の由来は、『論語』にある次の一節です。

「子曰、吾十有五而志乎学、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、六十而耳順、七十而従心所欲不踰矩。」

意味は「師の言うところには、私は15歳で学問で身を立てようと志し、30になったときに身を立てることができるようになった。40歳になると迷うことがなくなり、50歳で自分の天命を知り、60歳では人の話を素直に聞けるようになり、70歳になると、自分の思うように行動をしても人の道を外れることはなくなった」というものです。

人生の節目ごとに成長し、いつまでも人は学ぶことができるという教訓を示しています。

この「三十而立」から、30歳のことを「而立」と呼ぶようになりました。

参考:志学、而立は何歳のこと? ~年齢を『論語』で表現する~ | 漢字の使いこなし | どれだけ知ってる?漢字の豆知識 | 日本漢字能力検定

人間関係に大切 「和而不同(わじふどう)」

『和而不同 (わじふどう)』も、『論語』に由来する言葉です。

「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」という言葉からきています。これは、「優れた人物は人と仲良くはするが主体性は失わない。つまらない人はすぐに他の人に同調するが、人と心から親しくなることはない」という意味です。

人間関係において、人と仲良くしながらも自分を見失ってはいけない、というスタンスの大切さを語っています。

構成/編集部

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