コロナ禍の影響から、自宅で家族とビールを楽しむ機会が増えたという人もいるでしょう。
そんな時に役立つ“ネタ”を仕込んではいきませんか?
全国の様々なブルワリーで生産されている“地ビール”と“クラフトビール”……この2つのビールの違いをご存じでしょうか?
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地ビールとは?
「全国地ビール醸造者協議会」によると、地ビールとは以下のように定義されています。
1.酒税法改正(1994年4月)以前から造られている大資本の大量生産のビールからは独立したビール造りを行っている。
2.1回の仕込み単位(麦汁の製造量)が20キロリットル以下の小規模な仕込みで行っており、ブルワー(醸造者)が目の届く製造を行っている。
3.伝統的な製法で製造しているか、あるいは地域の特産品などを原料とした個性あふれるビールを製造している。そして地域に根付いている。
以上のように「大量生産をしているビールメーカーから独立している」「ブルワーの目の届く範囲で管理・製造している」「伝統的、あるいは地域の特産品などに根付いた個性的なビール造りをしている」ことが、地ビールの定義とされています。
【参照】全国地ビール醸造者協議会
地ビールとクラフトビールの違いはある? 地ビールを英語にすると…
地ビールとクラフトビールの違いはあるのでしょうか。
実は、これら2つのビールの違いはほとんどありません。
その違いを挙げるとすれば、「地ビール」は“地酒”や“地鶏”といったように地域性を表すために日本で生まれた言葉で、アメリカ発祥の「クラフトビール」を和訳したもの。つまり地ビールを英訳すると「Craft beer」となるのです。
ちなみに……クラフトビールのクラフトとは、「地域性」を表す言葉ではなく、英語で「職人技」「手工芸品」などといった意味になります。
日本において「クラフトビール」という言葉に明確な定義などはありませんが、人気の高いクラフトビールメーカー「ヤッホーブルーイング」では、“小規模な醸造所がつくっている多様で個性的なビール”と定めているようです。
【参照】よなよなの里
つまり地ビールもクラフトビールも“小規模”な醸造所で造られており、かつ“地域に根付いた個性的”なビールを指します。実際、クラフトビールメーカーや醸造所のホームページを見てみると、「クラフトビール(地ビール)」といった表現で記載されていることが多いです。
地ビール造りが始まったのはいつ?
日本に地ビールの生産が盛んになったのは、1994年の酒税法改正以降といわれています。それ以前まではビール造りをするためには、最低でも年間2000キロリットル以上のビールを造らなければならないという法律がありました。
しかし、1994年に酒税法が改正され、年間生産量の基準が60キロリットル以上と大きく引き下げられます。
これにより小規模なブルワーでもビール造りができるようになり、全国各地で地元に根付いた個性的な“地ビール”が多く誕生していったのです。
クラフトビール(地ビール)が誕生したのはいつ? どこで?
クラフトビールが誕生したのは、1960〜1970年代のアメリカといわれています。この頃のアメリカは大量生産に向いているビールが主流で、バリエーションが少なかったそうです。
そんな画一的な味わいに飽きてしまったビール愛好家たちが、小規模な醸造所を立ち上げるようになりました。これがクラフトビールの始まりといわれています。
2018年の酒税法改正でもっと個性的な地ビールが楽しめるようになった!?
2018年の酒税法改正によって、それまで定められていたビールの定義が以下のように変わりました。
・麦芽の使用割合を67%から50%に引き下げ
・使用できる副原料の拡大
※具体的にはサツマイモや蕎麦、蜂蜜やシナモン、牡蠣や昆布など様々
【参照】国税庁 平成 29 年度税制改正による ビールの定義の改正に関するQ&A
使える副原料の種類が増え、麦芽の使用割合が50%に引き下げられたことにより、全国のクラフトビールメーカーは今まで以上に個性的な風味を持つビール造りができるようになったのです。
「地ビールの日」があるって知ってた?
1999年に日本地ビール協会は「4月23日」を“地ビールの日”と定めました。この日はビールの本場ドイツで「ビール純粋令」が施行された日で、ドイツでも「ビールの日」と定められています。
【参照】日本地ビール協会
地ビールは自作もできる?
ビールキットを購入して、自宅で自家製ビールを造ることはできるのでしょうか。
答えは×。というのも、日本においては酒類を製造する場合、「酒類製造免許」が必要なためです。酒類とはアルコール度数1%以上の飲料のこと。また、ビールの製造免許は年間の製造見込み数量が60キロリットルに達しないと、受け取ることはできません。
ただし、アルコール度数が1%未満であれば、お家でビールを造ることはできます。購入したビールキットの注意書きにそって、アルコール度数が1%未満になるように造りましょう。
コロナ禍で中々外出しづらい日々が続きますが、お家で“自家製ビール”を楽しんでみても良いかもしれませんね。
【参照】国税庁 自家醸造
ギフトにもおすすめ! ネット通販で購入できる地ビールの飲み比べセット
Amazonや楽天といった通販サイトでは、地ビールの飲み比べセットを購入できます。
こちらの飲み比べセットでは、ヤッホーブルーイングの「よなよなエール」やエチゴビールの「ビアブロンド」をはじめ、伊勢角屋麦酒の「熊野古道」、銀河高原ビールの「小麦のビール」など、計18種とバリエーション豊かな銘柄が楽しめます。
自分で味の違いを楽しむのはもちろん、お世話になった人への贈り物としても良いかもしれませんね。
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※データは2020年11月下旬時点での編集部調べ。
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文/髙見沢 洸