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環境保全と産業発展を両立することの難しさをオーストラリアのウニを例に考えてみた

2020.11.29

前回トピックとして取り上げたSDGsの取り組み。

今回は別の例でもう少し考察をしてみたい。

舞台は海の世界、水産業である。

お寿司などで皆さんも口にされ、大好きであろうウニ。

筆者も南米チリやカナダ、韓国などから輸入している。

でも、ウニのせいで他の産物が育たないということをご存じだろうか。

言い方は悪いが、海底ではウニは”害虫”とも言える。

ウニに悩まされるオーストラリア

いま、この問題に直面しているのが南半球のオーストラリア。オーストラリアのウニというのは業界では元々知られていた存在で、10年ほど前は主にタスマニア島北部の一部で漁獲・加工がされていた。

ただ、状況はこの5-10年で大きく変化した。

繁殖力がつよく雑食なウニが異常に繁殖してしまい、オーストラリアの水産事業者にとってドル箱であるアワビやロブスターの生息域を犯してしまっているのである。

結果、アワビやロブスターの漁獲量は激減、水産事業者は収益悪化に悩まされている。

なぜこんなことが起きてしまったのか?

水産業ではQuota(漁獲枠)というシステムが世界的に一般的で、各国政府が定めたQuotaに沿って収穫・出荷される。ただ、生態系の変化はQuota管理の枠を遥かに超えてしまっているのが現状。

17個あるSDGsのゴールの1つに、

「14. Conserve and Sustainably Use the Oceans, Sea and Marine Resources for Sustainable Development」

というものがある。

分かりやすく日本語に訳せば、”生態系を持続可能な形で管理することで海の豊かさを守ろう” 

というものだ。ウニだけに着目すれば海洋資源は守られているように見える。

ただ、アワビやロブスターも含めた海洋資源全体で見てみると、上述の通り、ウニのせいで別の生態系に甚大な影響が出ている現状は” 生態系を持続可能な形で管理”されているとは到底言い難い。

これは、地球の気候変動も含め、変化する自然環境においては旧来のQuota管理システムは限界があることを示唆している。

今から20-30年前、アメリカ・カリフォルニア州では漁師に補助金を出してまでも、ウニを”駆除”しようと動いた。

漁師はウニを獲るとそのウニを売って収入が得られるだけでなく、政府からも”獲ってくれてありがとう”と収入が得られたのである。

これが見事に成功した。

結果、現在のカリフォルニア沖はウニやロブスターなどがバランスよく生息し、ウニも、”サンタバーバラのウニ”といった形で事実上ブランド化されている。

※写真はチリのウニの加工風景です

当時はSDGsというお題目は無かったが、実際のアクションはSDGsの目指すものそのものである。

環境保全が複雑化した今、なかなかそう簡単に物事は進まないのが現実。。。

いま、いろんな企業(特に上場企業)が、わが社のSDGs方針は・・・と謳っている。

でも、せっかく良い提唱があっても、一企業レベルで、失礼ながら草の根的な動きから抜け出せていないなあと感じる今日この頃。

今こそ世界が一つになってほしいと思わずにはいられない。

誤解のなきようにお願いしますが、企業レベルの活動を否定しているのではない。でも、世界を見ていると、2回にわたって紹介した木材産業や水産業のように官民一体となったポリシー策定があるべきで、そして、僕が世界中でビジネスをしていて感じるのは、地球環境の変動も踏まえ、SDGsという題目の下こうしたポリシー策定を急いだほうがよいと思うものがたくさんある。

それは、環境保全のためでもあるし、そうした事業に従事する人のためでもある。

手遅れにならない前に、グローバルな動きが出てくることを願わずにはいられない。

文/小林邦宏
旅するビジネスマン。これまで行った国は100ヶ国以上。色んな国で新しいビジネスをつくるおじさん。
現在は新型コロナウィルスの影響で海外渡航制限中により国内で活動中。
オフィシャルサイト:https://kunihiro-kobayashi.com/
Youtubeチャンネル:「旅するビジネスマン 小林邦宏チャンネル
Twitter: @kunikobagp
著書:『なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?』(幻冬舎)

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