
SDGs、正式名称はSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)
2015年9月に国連が策定した国際社会の目指す目標。
筆者も何冊か、関連書籍を読んで学習した。
でも、正直言って思う、、、現状のSDGsの延長線上にグローバルスタンダードは見えているのだろうか。
こう言っては失礼だが、現在クローズアップされているものの大半は”草の根”的なものが多すぎる。
SDGsの本来の目指す姿とは、国家・民間が一丸となって持続可能なビジネスに取り組むものではないだろうか。
一例として、インドネシアの木材産業を紹介したい。
環境保全意識の高いインドネシアの木材産業
3月、コロナが広がりつつある中、筆者は慌ててインドネシアへ入った。
目指す場所は、中部ジャワ州。
ジャカルタやバリに行かれた方はたくさんいるだろうが、中部ジャワ州に行かれたことあるという方はまだまだ少ないのではないだろうか。
インドネシア屈指の大都市、ジョグジャカルタから電車や車で片道4-5時間の旅である。
行きは電車、帰りは車を利用した。
余談になるが、今でこそずいぶん発展した中部ジャワだが、それでも、筆者は”インドネシアの洗礼”を受け、インドネシア国鉄の駅弁ナシゴレンを食べた翌日からお腹の激痛に苦しむことになる。(笑)
さて、そんな中部ジャワ州で展開される木材産業、来てみて驚いた。
(レベルが高い・・・)
インドネシアというと、とーってものんびりした雰囲気を感じるが、ここには環境保全のためのシリアスな動きがあった。
インドネシアを代表する木材、メルクシパイン。分かりやすく言えば松の木。
このメルクシパインから分泌されるのが松脂(マツヤニ)。
松脂はたくさんの方が耳にしたことがあると思う。
この松脂からはテレピン油とロジンが取れ、主に溶剤や添加剤として日本でも多く使われている。野球好きな方なら、ピッチャーがマウンドで手にする滑り止めの白い袋、”ロジンバッグ”を想像頂きたい。名前の通り、これも松脂を利用した商品の1つである。
そしてインドネシアでは、プルフタニ(国営の林業公団)の管理の下、5-10年松脂を採取した後、初めて伐採が認められ、伐採されたメルクシパインの木から集成材などが作られる。
皆さんにイメージしやすい商品だと、スーパーなどでかまぼこが乗っている板(蒲鉾板)、あちらにも一部、そんな松脂を採取した後のメルクシパインの木材が使われている。
実際、プルフタニの管理は厳格で、きちんとメルクシパイン1本1本にはタグまで付けられて管理されているのである。繰り返しになるが、環境保全のために。
そして、環境保全されているから、決して雇用環境に恵まれているとは言えない中部ジャワ州でも従業員は安心して仕事に取り組める。
これこそSDGs! 持続可能な経済である。
この産業を通じて未来に貢献したい! そう思える何かを感じ、充実した滞在だった。
手前味噌ながら東大時代の研究として環境問題をかじったこともあり、眉唾な環境政策には首をかしげてきた。でも、このインドネシアのメルクシパインのように、国家・民間が一丸となって持続可能なビジネスに取り組む姿勢は、これこそSDGsが目指す姿ではないかとただただ感心した。
今後もいくつか、こういったスケールでSDGsと言えるような事業を紹介してみたい。
皆さんの参考になれば幸いである。
文/小林邦宏
旅するビジネスマン。これまで行った国は100ヶ国以上。色んな国で新しいビジネスをつくるおじさん。
現在は新型コロナウィルスの影響で海外渡航制限中により国内で活動中。
オフィシャルサイト:https://kunihiro-kobayashi.com/
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Twitter: @kunikobagp
著書:『なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?』(幻冬舎)
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