目次
ビールを自宅でもっとおいしく飲みたい! 今回はそんな人に向けて、おいしいビールの注ぎ方、「3度注ぎ」などをご紹介します。
「注ぎ方1つでおいしさが変わるの?」と思う人もいるかもしれませんが、手軽にできる方法もあるため、ぜひ試してみてくださいね。
おいしいビールの注ぎ方のコツは?
それでは早速、おいしいビールの注ぎ方とコツを見ていきましょう。
前提として、今回紹介するビールのスタイル(種類)は「ピルスナー」です。ピルスナーは日本でも多く発売されているラガービールの一種で、大手ビールメーカーの代表的な製品の多くがピルスナーとなっています。
ビールを注ぐグラスは何でも良いの?
ビールをおいしく飲むための注ぎ方を見ていく前に、グラスにも注目したいところです。
ピルスナーを飲む時には、縦長ですっきりとしたデザインのストレートタンブラータイプのグラスなどがおすすめ。飲む時に顎が上がりやすいため、ラガーの醍醐味でもある「喉ごし」を存分に楽しめるはずです。
自宅に様々な種類のグラスがあるという人は、一通り試してみても面白いかもしれませんね。
おいしいビールの飲み方! 泡の黄金比率は?
「この泡って必要なの?」と、ビールの泡について考えたことがある人もいるでしょう。
ビールの泡はとても重要な役割を担っています。もし、ビールに泡がなければ炭酸ガスは外に逃げ、ビールが空気と触れて味が落ちてしまいます。しかし、泡という「ふた」をすることによって、ビールのおいしさは守られるのです。
そんな泡の理想的な比率は、だいたいビールと泡が8:2もしくは7:3といわれています。自分なりの黄金比率を見つけてみてくださいね。
【参照】サントリー ビールの泡はどのような役割を果たしているのですか?
味の違いがわかる「3度注ぎ」
ビールを注ぐグラスはあらかじめ冷蔵庫などで冷やしておき、準備を整えておきましょう。
1:グラスを置いて高い位置からビールを注ぐ。最初はゆっくりで途中から泡を立てるように勢いをつけ、グラスが泡でいっぱいになるまで注ぐ。その状態で約2分待つ。
2:泡がグラスの半分程度まで収まってきたら2回目を注ぐ。グラスの縁からそっと流し込み、泡がグラスから1cmほど盛り上がるようにして再度待つ。
3:泡がグラスの縁より下がる前に、泡が崩れないようにビールをつぎ足し、泡がグラスから2cm盛り上がる程度まで注げれば完成!
この方法で注ぐ方法を「3度注ぎ」といいます。1度で注いだビールよりも香り成分が持続するだけでなく、飲み始めと飲み終わりで異なった味を楽しむことができるのです。
その理由は、手順1で勢いよくビールを注ぐことによって、香り成分が揮発して活性化し、ふわっとした香りがグラスの周りに漂うためです。さらに3度注ぎをすることによって、しっかりと立てた泡がふたの役割を果たし、より長く香りを保てると考えられています。
飲み始めと飲み終わりの味が異なる点は、2つの苦味成分が関係しているといわれています。
1つはビールの苦味の本体である「イソα酸」で、もう1つは苦味に奥行きや柔らかさを与える「後熟成分」。イソα酸はビールの泡になじみやすい性質をもっており、後熟成分はビールの液体になじみやすい性質を持っています。
3度注ぎをすると注いだ直後は苦味が少なく、飲んでいくにつれて苦味成分が強くなっていきます。
というのもイソα酸は泡となじみやすいため、注いだ直後は泡の中に隠れているため、苦味を感じにくいのです。
しかし、飲み進んで泡と液体の量が減るにつれ、泡の中のイソα酸が液体の後熟成分と混ざり合い、結果として苦味が増し、味が変化していくというわけです。
【参照】キリン 香りと味の違いを科学で解明! 「三度注ぎ」のビールはなぜおいしいのか
注ぎ方の気になるギモン
ビールの注ぎ方で味は変わる?
「3度注ぎ」のおいしさをお伝えしましたが、逆に1回で注ぎきる「1度注ぎ」もビールの楽しみ方のひとつ。
泡が少ない分、ビールの香りがダイレクトに感じやすいとされ、液体に溶け込んでいる炭酸の量が多いため、キリっとした喉ごしを楽しめます。
この様に、ビールをどう注ぐかで味わいは変わると言ってよいでしょう。
プロが注ぐと味に違いは出る?
プロがビールを注ぐ時、たとえば泡をわざとあふれ出して入れる方がいます。これは1度注いだビールから雑味のある泡を取り除き、注ぎ足したキメの細かな泡で滑らかさを感じさせてくれるもの。
また、流量を調整して、一気に大量にビールを注ぐことができるプロ仕様のビールサーバーもあります。
これらはご家庭ではちょっとできない、プロならではの注ぎ方と言えそうです。
このように、プロはビールの注ぎ方で様々なテクニックを持っており、「味に違いが出る」といって過言ではないでしょう。
ビールの種類で注ぎ方は変わる?
先ほどご紹介したように、「3度注ぎ」は飲み始めと飲み終わりで味の違いを楽しめる注ぎ方。
一方の「1度注ぎ」はキリッとした喉ごしがハッキリ出やすい注ぎ方です。
濃厚なコク、豊潤な香りを楽しむなら、「3度注ぎ」が。
爽やかに冷えたビールをグイッと飲みたいなら、キレのあるビールと「1度注ぎ」が相性良いでしょう。
もちろん、楽しみ方は人それぞれ。色々な種類のビールを様々な注ぎ方で味わってみるのをおすすめします。
缶ビールと瓶ビールで味は変わる?
缶ビールと瓶ビールの中身は同じです。なので、味はいずれも変わらないはず。
しかし、味わいが違うと感じる方が多いのも事実です。
まず1つ考えられるのは、缶ビールはそのままで。瓶ビールはグラスに注いで飲む方が多いことです。
最近の缶ビールは泡を立てることができるタイプも市販されていますが、一般的に、缶ビールは泡をほとんど立てずに飲むことが多いです。そのため、炭酸ガスがあまり抜けず口に入るため、強い刺激を舌が感じます。
また、金属に口を付け感じがビールの味に影響する場合もあります。
そして、瓶ビールの注ぎ方でも味わいが変わります。
もちろん、缶ビールをグラスに注いで飲む方もいますし、瓶ビールを直接瓶から飲むこともあります。
缶ビールと瓶ビールで味は変わるのか……と言われれば、イエスでもありノーでもありそうです。
ビールサーバーを使った注ぎ方のコツ
ビールサーバーで上手にビールを注ぐ方法
ビールサーバーは市販もされているので、自宅で本格的にビールを楽しみたいという人は購入を検討してみてもよいでしょう。おいしく飲むための注ぎ方は以下の通りです。
1:サーバーのタップにグラスを密着させます。
2:レバーを全開にして注ぎ始めます。
3:7〜8割程度まで注いだら一旦タップを締めます。
4:泡を付け足して完成です。
【参照】アサヒビール ドリンクノウハウ
クリーミーな泡を楽しみたい人には超音波式のビールサーバー(泡立て器)もおすすめ!
きめ細かい泡を作るのが苦手! という人は缶に取り付けるだけで、きめ細かくクリーミーな泡が作れる、超音波式のビールサーバーを購入してみても良いかもしれません。
こちらの製品は税込1600円以下と手に入れやすい価格で発売されています。
ビールの注ぎ方にお酒の席でのマナーはある?
たとえば、
1:瓶ビールのラベルは上にして右手で瓶を持ち、左手は添えて注ぐ
2:注いでもらうグラスは片手で持ち、もう片方はグラスの底を持って差し出す
3:グラスは傾けて差し出し、つぎ終わりには垂直に立てる
4:注がれたビールは、必ず1回は口をつけてから置く
5:「手酌でいいよ」とお得意先や上司などに言われても、鵜呑みにせず、何回かに1度は「お注ぎします」など気配りする
などがマナーの一部として知られているようです。
時代が変わり、必ずしも守るべきことではなくなってきていますが、マナーは美意識の表れと言えます。
美しい所作、行動は相手に不快となるものではなく、良きコミュニケーションの礎ともなります。
いつの時代でも知っておいて、行って良き事かもしれませんね。
こちらもチェック!
注ぎ方でこんなに味が変わる!注目のアンテナショップ「サッポロ生ビール黒ラベルTHE BAR」の歩き方
ビアホールの注ぎ手たちが継承してきた「クリスプ注ぎ」とは何か?
※データは2024年8月下旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※商品・サービスのご利用はあくまで自己責任にてお願いします。
文/髙見沢 洸