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コロナ禍で6割以上が実感する睡眠不調の原因TOP3、3位生活リズムの乱れ、2位遅寝遅起きの習慣化、1位は?

2020.10.05

不安やストレスに苛まれると、寝つきが悪くなるもの。では、新型コロナウイルス感染拡大が続く状況下、人々の睡眠にはどんな影響が現れているのだろうか?

ウーマンウェルネス研究会 ではこのほど、コロナ禍における睡眠の状態に関する意識調査を首都圏在住の882人(20代~50代男女)を対象として実施した。

63.2%が「睡眠の質が悪くなった」と回答

調査結果から、新型コロナウイルス感染拡大以降、睡眠の質に変化が見られ、63.2%もの人が睡眠の質が悪いと感じていることがわかった(グラフ①)。

グラフ①:新型コロナウイルス拡大以降の睡眠の質の変化(n=882)

特に、感染拡大後に睡眠の質が低下した人の具体的な悩みは、「眠りが浅い」をはじめ、「夜中に何度も起きる」「寝ても疲れが取れない」「起床時に熟眠感がない」といったものが多く、深い睡眠がとれていない傾向がうかがえる(グラフ②)。

グラフ②:睡眠の質不満者の睡眠悩み(n=187)

睡眠の質が低下した人の睡眠不調の原因については、「不安やストレス等で、考え事が続く」という回答が最多に。

次いで、「遅寝遅起きの習慣化」や「生活リズムの乱れ」など、新型コロナ感染拡大以降の生活リズムの変化に起因する項目が多い傾向にある。(グラフ③)。

グラフ③:睡眠不調の原因 (n=187)

また、外出自粛や在宅時間の増加による運動不足の影響か、睡眠の質が低下した人の78.1%は、血行不良を実感していることがわかった。(グラフ④)。

グラフ④:睡眠不満者の血行 (n=187)

今回の調査を受けて、国立精神・神経医療センター 精神保健研究所・栗山健一先氏が、睡眠不調の原因と対策、コロナ禍の睡眠との向き合い方について語った。

コロナ禍において、免疫力を維持するための要素として「睡眠の大切さ」を認識している方も多いのではないだろうか。しかし、生活の様々な変化の中で、“睡眠の悩み”が増加している。そもそも、免疫と睡眠は深い関わりがある。「寝付けない」、「途中で目が覚める」などの症状で睡眠効率が悪くなると、風邪の発症率が上がるという傾向もある。

コロナ禍の生活変化と睡眠不調

新型コロナウイルス感染拡大後に見受けられた睡眠状況の変化として、睡眠時間は確保されているにもかかわらず、睡眠の質に不満足な人が多い傾向が見られる。在宅時間の増加に伴い、床上時間(ベッドにいる時間)が長くなると、睡眠の質が悪くなる傾向がある。コロナ禍の生活変化に伴い、以下のような原因で睡眠不調が増えている。

■①新型コロナウイルス感染不安やストレスで考え事が続く

感染者の増加など、暗い情報に触れることで生じる感染への不安・ストレスは睡眠に悪影響を及ぼす。不安やストレスで夜まで考え事が続くと、交感神経が活発な状態が続き心身が睡眠モードへ切り替わりにくくなり、なかなか寝付けない、ぐっすり眠れない、といった睡眠不調がおこる。

また、生活の変化によって、「自分の時間が減った」「在宅勤務で仕事とプライベートのメリハリがつかない」「家事分担や育児など家庭の悩みごとが増えた」など、従来のルーティンが守れないという生活様式変化のストレスも要因のひとつになっている。

■②外出自粛・在宅勤務による遅寝遅起き化・血行不良

コロナ禍の外出自粛・在宅勤務は生活リズムを大きく変えた。それに伴い、睡眠に充てる時間にも変化が生じたことで、多く見受けられるようになったのが、「遅寝遅起き化」。

この“遅寝遅起き”でベッドにいる時間が長くなると、睡眠が浅くなるだけでなく、ベッド上で考え事をする機会が増えるため、睡眠の悩みが生じやすくなる。

また、遅寝遅起きは、身体の睡眠モードへの切り替えにも作用する。人は、疲れた脳を休ませようとして深部体温(脳温)が低下すると、眠気が訪れる仕組みになっているのだが、睡眠が後ろ倒しになることに伴い、深部体温低下のタイミングも後ろにずれてくる。

結果的に、いざ通常の生活リズムに戻った場合にも、深部体温が低下しないため、なかなか眠れないというだけでなく、朝起きられないといった心身の不調に繋がる。

例えば、在宅勤務で夜遅くまでメールチェックをしたり、朝ぎりぎりまで寝る習慣が定着すると、遅寝遅起き化を招くので注意が必要。さらに、運動不足により血行不良を実感されている方も多いのではないだろうか。血行不良は入眠を促す体温調節を妨げる要因となる。

■③季節変化に伴う睡眠への影響

睡眠時間の長さは、季節の移ろいに伴って変動する。冬に向けて日照時間が減っていくと、それに反して睡眠時間は伸びる傾向にある。これは、冬の間の活動量が減り、睡眠時間が伸びる“冬眠”に似た機能が人間にもあるため。

秋は夏と冬の境目となり、睡眠時間が伸びてくる転換期のため、「日常的な眠さ」「疲れ・気怠さ」といった感覚が増す。それゆえ、心身の不調を感じやすい時期になるのだ。

さらに今年は、コロナ禍におけるストレスや遅寝遅起き化の影響で睡眠の質が悪くなる傾向があり、睡眠不調に拍車がかかる可能性があるので、注意が必要だ。

生活変化にあわせた睡眠改善

先ほど説明したコロナ禍により生じる睡眠の悩みは、「生活リズムの乱れ」に起因するものが多くあった。生活リズムを見直して、睡眠を整えることが改善への第一歩だ。

■睡眠の準備は朝から始まっている!起床後に光を浴びて「睡眠タイマー」を入れよう

睡眠の準備は、朝目覚めて光を浴びたときから始まっている。一日の睡眠-覚醒リズムを調節する体内時計の周期は24時間より少し長いため、朝の光を浴びることで周期がリセットされる。起床後、光を浴びてからおよそ14時間後に睡眠を促進するホルモンである「メラトニン」の分泌が開始されるとともに、深部体温の低下が始まる。

ある程度メラトニンの分泌が高まった段階で就寝すると、スムーズに眠ることができる。そのため、起床時間を一定にすることで、夜眠くなるタイミングが整い、睡眠-覚醒リズムが安定する。起床後すぐにベランダに出るなど、朝の光を浴びて「睡眠タイマー」をONにする習慣をつけると良いだろう。

■生活に ON/OFF の切り替えを。就寝直前の過ごし方を見直そう

テレワークなど、在宅時間が増加している人は要注意。なるべく、「業務時間外はPCを立ち上げない」「仕事のメールチェックはしない」などしっかりON/OFFを切り替えよう。

睡眠には“リラクゼーション”が非常に重要なポイントになる。生活様式は変化したが、暗いニュースなどは長時間視聴せず、対処も自分に出来る現実的な範囲に留めることが大切。夕方以降は、趣味を楽しむ時間をつくるなど、リラクゼーションを心がけてスムーズな入眠に繋がるような生活を習慣づけよう。

スムーズな入眠を促す睡眠前の温め習慣

スムーズな入眠には、就寝前の血行促進とリラクゼーションが重要。そのために、上手に温熱効果を利用すると良いだろう。血行をよくして手足からの放熱を促し、しっかりと深部体温(脳温)を低下させることで、身体を眠るモードに切り替えることができる。

■おやすみ前に約40℃で目元を温めてリラックス

蒸しタオルやホットアイマスクなどで目元を温めてリラックスすることで、副交感神経活動が高まり、手や足の皮膚温が上がる。すると、身体の熱が外に逃げる「放熱」が促進されるため、寝つきがスムーズになり、睡眠の質向上も期待できる。

快適に感じる 40℃程度で目元を温めてみよう。心地よい香りもリラックスに効果的なので、アロマオイルなどを楽しんでみては。

■就寝1時間前に、炭酸入浴で血流を促して体温をコントロール

寝る 1~2時間ほど前にぬるめのお風呂で体温を上げ、入浴後に体の熱を逃がすことで、寝つきもよくなる。

効率よく身体を温めるには、炭酸ガスの入浴剤を入れた 40℃くらいのお湯に10分程度浸かる「炭酸入浴」がおすすめ。お湯に溶け込んだ炭酸が皮膚の血管を拡張して血流をよくするため、お湯の熱が効率的に身体に伝わり、短時間で身体を温めることができる。

また全身の血行がよくなることで、疲労回復にも繋がる。なお、熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまうため逆効果。40℃くらいの心地よいと感じるお湯にゆったり入ることで、リラックス効果も期待できる。

●監修:栗山健一先生

【現職】
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部 部長
日本睡眠学会 幹事・評議員・用語委員会副委員長
【経歴】
1999年 筑波大学医学専門学群卒業
2003年 東京医科歯科大学大学院卒業、Harvard Medical School 神経生理学教室留学
2004年 医療法人社団輔仁会 大宮厚生病院 精神科
2007年 国立精神・神経医療研究センター 成人精神保健研究部 室長
2015年 滋賀医科大学 精神医学講座 准教授
2016年 滋賀医科大学附属病院 精神科 科長(兼任)
2019年 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
睡眠・覚醒障害研究部 部長
滋賀医科大学 精神医学講座 客員教授
国立精神・神経医療研究センター病院 睡眠障害センター センター長(兼任)
東京農工大学 ライフサイエンス学科 客員教授

<意識調査概要>
調査方法 : インターネット調査
調査期間 : 2020年7月22日~7月29日
調査対象 : 首都圏の 20歳~59歳の男女 882名
調査内容 : コロナ禍の睡眠に関する意識調査

出典元:ウーマンウェルネス研究会

構成/こじへい

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