パワハラをなくすのが難しい理由は「加害者にパワハラの自覚がないため」
2020年6月にパワハラ防止法が施行されたことによって、大企業を中心に企業はパワハラ防止へより真摯に取り組む必要が出てきた。こうした中、パワハラ防止法は果たしてパワハラを減らすきっかけになるのか?
そこでヒューマンホールディングスは、パワハラの被害経験がある日本人・外国人のビジネスパーソンに対し、パワハラをなくすヒントを探るべく、調査を実施した。
パワハラ防止法について存在も内容も知らない、外国人の約7割が回答
パワハラを受けたことがあるビジネスパーソンに「パワハラ防止法の認知度」を質問したところ、「存在も内容も知っている」と回答した人は日本人で26%、外国人では5%に留まった。一方、「存在も内容も知らない」と回答した人は日本人で29%、外国人では73%になり、特に外国人の認知不足に課題が見える。
パワハラに当たりうる6類型については、日本人・外国人ともに多くがパワハラと認知
厚生労働省が定義づけるパワハラに当たりうる6類型、「(1)個の侵害」、「(2)過小な要求」、「(3)過大な要求」、「(4)人間関係の切り離し」、「(5)精神的攻撃」、「(6)身体的攻撃」の認知度について質問したところ、日本人・外国人ともに多くがそれぞれをパワハラと認知していることがわかった。
一方で日本人の2割が「過小な要求」をパワハラと思わず、外国人の2割は「過大な要求」をパワハラと思わないなど、認識に若干の差が見られた。
パワハラをなくすのが難しい理由、「加害者にパワハラの自覚がないため」、日本人・外国人に回答の差
「パワハラをなくすのが難しい理由」(複数回答可)について日本人に質問したところ、回答の多い順に「加害者にパワハラの自覚がないため」(83%)、「被害者が声を挙げにくいため」(81%)、「指導とパワハラの線引きが曖昧なため」(60%)となった。
一方外国人にも同じ質問をすると、回答の多い順に「被害者が声を上げにくいため」(78%)、「指導とパワハラの線引きが曖昧なため」(61%)、「加害者側にパワハラの自覚がないため」(59%)となった。
日本人と外国人を比較すると、日本人はパワハラをなくすのが難しい理由として、加害者にパワハラの自覚がないことを主要な理由として挙げている。外国人も同じ理由を課題として挙げているものの、日本人との認識には20ポイント超の差があった。
また、その他の自由記述では以下のような回答があった。
・パワハラの発生を許してしまう社内文化があるため(アメリカ国籍)
・パワハラに十分な罰則がないため(イギリス国籍)
・社外に相談窓口を設けても労務関係者が漏らすことがあり、結局社内に知れ渡るパターンがあるため(日本国籍)
パワハラ解決に役立つと思われる企業の施策、日本人は「トップの宣言」、外国人は「社内規定」を重要視
「パワハラ解決に役立つと思われる企業の施策」(複数回答可)について日本人に質問すると、最も大きな理由として「トップの宣言、会社の方針にパワハラ防止に関する内容を定める」(71%)ことが挙げられた。
一方外国人にも同じ質問をすると、「就業規則などの社内規定にパワハラ防止に関する内容を盛り込む」(76%)ことが最も多い回答となった。
また、その他の自由記述では以下のような回答がある。
・社内相談にて不利益を生じない仕組みが相談窓口設置とともに必要(日本国籍)
・ジェンダーや人権に関する教育をさらに提供する(アルメニア国籍)
・パワハラを深刻にとらえること(ブラジル国籍)
調査概要
調査期間:2020年6月5日(金)~2020年6月8日(月)
調査対象条件:パワハラを受けたことがあると認識するビジネスパーソン
有効回答数:275名(日本人196人・外国人79人)
調査方法:「Daijob.com」登録者へのインターネット調査
調査主体:ヒューマングローバルタレント
※端数処理の関係で、各グラフの内訳の合計が100%にならない場合がある。
構成/ino