美人局を行った場合問われる罪状
美人局は犯罪行為ですが、問われる可能性のある罪状は行った行為によります。どのような犯罪に該当するのか見ていきましょう。
脅迫罪
犯罪のパターンは、ターゲットの男性の弱みを握り脅すことです。そのため、『脅迫罪』が課せられる可能性があると考えられます。
例えば、未成年者を利用した犯行では「奥さんにばらす」「会社に証拠の写真を送る」などと脅迫をして、強制的に従わせるのが手口です。脅迫罪は必ずしも金品の強要が重要視されるわけではなく、相手の名誉などに害を加えることを口にし、脅しただけで成立することもあります。
参照:刑法|電子政府の総合窓口 e-Gov[イーガブ]
第三十二章 脅迫の罪 (脅迫)第二百二十二条
詐欺罪・恐喝罪
美人局は、ターゲットの男性を虚偽の事実で言いくるめて金品を巻き上げるのが手口のため、『詐欺罪』に該当する可能性があります。肉体関係の有無にかかわらず、うそをついて金品を差し出すように仕向ければ、詐欺罪に問われる場合もあるのです。
夫婦だと偽って肉体関係を持ったことを理由に金品を要求したり、妊娠したと偽って堕胎費用を請求したりするのは、詐欺罪になる可能性があるでしょう。代表的な手口として紹介した未成年と偽って、金品を要求することも同様です。
さらに、ターゲットの男性に「言うことを聞かないと、どうなるか分かっているのか!」「殴るぞ!」などと脅迫して金品を強要すると、『恐喝罪』に問われる可能性が高いです。暴行して金品を差し出させる行為も、恐喝罪にあたるでしょう。
参照:刑法|電子政府の総合窓口 e-Gov[イーガブ]
第三十七章 詐欺及び恐喝の罪 (詐欺)第二百四十六条 (恐喝)第二百四十九条
美人局とハニートラップの違いは?
どちらも異性を色仕掛けでだます点は同じですが、対象や目的が異なります。どのような違いがあるのでしょうか?
ハニートラップは諜報活動の一種
元々ハニートラップは、国家の機密情報を得るなどの目的を果たす手段の一つでした。諜報員がスパイとして対象者を言葉巧みに誘惑し、情報を聞き出したり相手の弱みにつけ込んで脅迫したりする行為になります。対象者は、入手したい情報を持っている人に限定されます。
しかし、現在は諜報活動に限らず、色仕掛けで異性をわなにはめるという意味合いで使われることも少なくありません。例えば、女性から気のあるそぶりをされて、ブランド品を買わされたというような状況を「ハニートラップに引っかかった」と言うこともあります。
近年は、男性芸能人が女性の甘い誘惑にだまされたことをハニートラップと言って笑いを取っていることもあり、よりカジュアルな印象が強まっているのかもしれません。
目的は金銭ではなく情報
対象者を脅す目的自体も、大きく異なります。美人局の根底にある目的が金品を奪い取ることなのに対し、ハニートラップは情報を得ることです。つまり、金品を要求するか、しないかという大きな違いがあります。
金品を奪い取る美人局は確実に犯罪ですが、ハニートラップは必ずしも犯罪に該当するとは限らないという点も違います。また、美人局は女性が男性をだましますが、ハニートラップは女性がターゲットになるケースもある、という点も大きな違いでしょう。
構成/編集部
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