昔のフルーツサンドは、果物店が売れ残った商品を無駄にしないために出す、という面もあり、いろんな果物を混ぜて使うため、果物のカットが細かかったのですが、最近のフルーツサンドは、イチゴもキウイもみかんもまるごとゴロンと入っていて、豪快そのもの(わんぱくサンド以降、サンドイッチの常識が変わったおかげです)。そして、果物は品種改良が進んで甘くなり、クリームも進化したおかげで、昔より味が格段によくなっています。
色鮮やかなフルーツサンドは店頭のガラスケースに飾っただけで客寄せになり、また、冬はイチゴやみかん、夏はマンゴーやパパイアと、季節によって中身を変えられるのでリピーターも生みやすく、その専門店は誰もが参入したい業態ですが、「萌え断」になるようにカットするには技術が必要なうえ、果物の価格も安定していないので、タピオカのように一気に店を増やすことは、ほぼ不可能。今のブームも、数少ない専門店に行列ができている、というのが実情のようです。
先ほど挙げたお店以外ですと、愛知県岡崎市の青果店『ダイワスーパー』がこの3月に中目黒に出した『ダイワ中目黒店』、以前は吉祥寺や代官山でキッチンカーで売られていた人気フルーツサンドの路面店で、5月に下北沢にオープンした『フツウニフルウツ』、茅場町の老舗果物店のパーラー『イマノフルーツファクトリー』といったところが、都内で連日行列ができている人気店です。
自宅でフルーツサンドを作ろうとすると、クリームがつぶれてはみ出てしまい、美しい断面を作るのが困難だと言われますが、これにはコツがあって、クリームとフルーツをパンで挟んだら、ラップで包んで冷蔵庫でしばらく冷やすといいそうです(冷やすとクリームの流動性が低下し、切ってもつぶれにくくなるからです)。また、切れない包丁で切ると、刃を何度も前後させることになり、それがまた余計につぶれる原因にもなるので、切る前に包丁はよく研いでおくことも重要です。
さらに、果物をどの向きに入れたかわからなくなると、カットした時の断面が美しくないので、あらかじめラップの上から油性ペンで、切るべきところに点線を描いておくのもコツなのだとか。
作ってもよし、買いに行ってもよし。今年の夏は流行りのフルーツサンドを試されてはいかがでしょうか。
早くしないと、ブームは次のトーストアート(インスタ映えのためにトーストの上に食材で絵を描いたもの)に移ってしまいますよ!
『フツウニフルウツ』は、神宮前の『パンとエスプレッソと』や千駄ヶ谷の『BiRd & rUbY』などの人気パン店を経営する(株)日と々とが、代官山や吉祥寺にキッチンカーで出店していたフルーツサンド専門店の、初の路面店。5月16日オープン。テイクアウトのみ。営業時間は11〜18時ですが、売り切れ次第閉店。日によっては行列ができる人気です。
◆住所:東京都世田谷区代沢5-28-17
【秘訣】何だかんだ言っても、流行る食べものはまず見た目
取材・文/ホイチョイ・プロダクションズ