リモートワーク環境で変化するクリエイターのパフォーマンス
クリエイターの約8割がリモートワークに移行していることがLive2Dの国内外クリエイター1,170名に実施した調査で判明した。
調査結果から、コミュニケーションの減少がチームのパフォーマンスに影響している傾向や、ビデオ会議の普及が会社都合やプライバシーの課題で進んでいない実態が明らかになった。
リモートワーク移行後のパフォーマンス:個人 vs チーム
リモートワーク移行後に「チームのパフォーマンスが上がった」と感じるクリエイターは「個人のパフォーマンスが上がった」に比べて大幅に低い結果となった。
チームのパフォーマンス、鍵は『コミュニケーション』
パフォーマンスが下がった最大の理由として『会議や会話など、コミュニケーションが減った』と感じている人が最も多いほか、『各自の作業内容が不明確/指示が少ない』や『モチベーションや集中力の低下』など、コミュニケーションに関連する理由が浮き彫りになった。
コミュニケーションツールは「チャット」
リモートワークに移行後に使っているコミュニケーション方法は、チャットが約7割と高く、リモートワークで減りがちなコミュニケーションの方法として、会話の頻度が高いチャットが選ばられていることがわかる。また、会議や会話などの代替となるビデオ会議の利用は、国内54%、海外44%という結果となった。
ビデオ会議はパフォーマンス向上に有効か?
リモートワーク中のクリエイターのうち約半数がビデオ会議を使っている中、ビデオ会議がパフォーマンスに与える影響についての設問では、多くのクリエイター(国内71%、海外56%)が有効性を感じている一方、有効だと思わない割合は9%に満たない結果となった。
ビデオ会議導入、ハードルは「会社都合」と「プライバシー」や「身だしなみ」
ビデオ会議を利用していないクリエイターにその理由を聞いたところ、『会社として使ってない』が最も多く、次いで『プライバシーの観点から抵抗がある(顔や背景が映る)』や『身だしなみを整えるのが面倒』といった心理的な課題を感じている人が多い実態が明らかになった。
今回の結果を受け、調査に協力したGREE VR Studio LaboratoryのDirectorでデジタルハリウッド大学 大学院 客員教授の白井暁彦博士は下記のようにコメントしている。
白井暁彦博士コメント
興味深い点は国内/海外の違いで、リモートワーク移行後のチームパフォーマンスについて、海外では「下がった」と感じている割合が多い点です。
パフォーマンス低下の理由として、日本は「コミュニケーションの減少」と「IT環境」が各25%であるが、海外は「コミュニケーションの減少」が42%、次いで「モチベーションと集中力の低下」が26%と違いが目立ちます。
リモートワーク中のチームパフォーマンスを考える際、性悪説に立って業務管理をするのではなく、性善説に立ち、いかに『チームの総合的な能力』を上げていけるかが最も重要です。
コミュニケーション方法も「同僚とのプレゼンス共有」や「同僚へのリスペクト機会の開発」、「いっしょにやる楽しさの設計」といったものが求められるでしょう。
また今後は、「Zoom飲み会」や「オンライン部活動/勉強会」のような業務外活動が、魅力的な人材を獲得する上で重要な要素になるはずです。
今後も世界中のクリエイターが「うらやましい!」と思えるような、特徴ある日本のクリエイター環境を開発していけるとよいですね。
クリエイター リモートワーク実態調査
調査主体:株式会社Live2D
調査対象(サンプル数):国内外のクリエイター1,170名(国内733名、海外437名)
実施期間:2020年4月23日~27日
調査方法:インターネット調査
協力:白井暁彦博士(工学)
GREE VR Studio Laboratory, Director
デジタルハリウッド大学 大学院 客員教授
構成/ino.