コロナ禍で急増するオンライン面接。オフラインとは勝手の異なる環境にて、面接官が受験者に自社の魅力をあますところなく伝えるためには、いったい、どのような工夫をしたら良いのだろうか?
そこで今回、外資系人材紹介会社・ヘイズ・ジャパンが、同社採用コンサルタントへのヒアリングを行い、その結果をまとめた「オンラインの採用面接で企業が自社の魅力を伝える8のポイント」を紹介していきたい。
オンライン面接で企業が自社の魅力を伝える8のポイント
■1.企業が従業員へ提供できる価値 (EVP)を確認し、 柔軟な働き方への取り組みを強化する
エンプロイヤーブランドを効果的に伝えるために、まず着手すべきことは、企業が従業員へ提供できる価値(Employer Value Proposition, EVP)を評価し、今後、従業員のニーズに合わせてどのように変化すべきか明確にすること。
特に新型コロナウィルスのように大規模な危機が発生した後は、従業員の働き方や、モチベーションにも影響が現れるとみられる。セルフケアやウェルビーイング(心身ともに良好な状態)を重視する従業員も出てくると予想され、柔軟な働き方やワークライフバランスへの取り組みをさらに強化する必要がある。
■2.バーチャルオフィスツアーを実施する
ビデオを通じて求職者に対面式の面接の疑似体験を提供するのもお勧め。事前にオフィスの様子がわかる動画を作成して求職者に送信したり、室内の撮影が可能であれば、その動画を面接中にライブ配信しても良いだろう。従業員の安全とウェルビーイングに配慮して職場の環境整備を行っていることを強調できる絶好の機会になるかもしれない。
■3.会社紹介動画を作成する
採用担当者や面接担当者に対し、オンライン面接実施前に会社紹介のショートビデオを作成して送信するよう奨励しよう。その中で、なぜ今回の人材募集を行うのか、また、そのポジションがどのように会社の目的達成に関わっているのか伝えることも重要。バーチャル面接では伝えきれない親しみやすさを加えるのも良いだろう。
■4.上級管理職を動画や記事で紹介する
対面式の面接では、時として求職者に他の上級管理職と面談する機会が与えられることがあった。この代わりとして、上級管理職の動画や、紹介・特集記事が掲載されたページのリンクを送信することも可能だ。
■5.「バーチャルコーヒータイム」で部署のメンバーを紹介する
対面式の面接では、求職者は、将来一緒に仕事をするメンバーに会い、部署の雰囲気を理解したり、会社をより身近に感じることができた。
オンライン面接でもこうした機会を確保することが大切。面接が終わる頃に、部署のメンバーに参加してもらったり、『バーチャルコーヒータイム』を後日設定することもお勧め。
■6.面接中に積極的に「雑談」を取り入れる
オンライン面接を不安に感じたり、緊張して上手く自分を表現できないと感じる求職者にとって、今回の危機は非常に困難な課題を投じたと言えるのかもしれない。このような時期だからこそ、企業は雇用主として、 求職者に配慮していることを示すことができる。
面接の開始時に、求職者がどのように感じているのかを質問し、オンライン面接について不安がないかを確認していただきたい。また、質問を促すなど、求職者がリラックスできるよう、可能な限り対応することが重要だ。
■7.従来とは異なるタイプの質問を
面接では従来と異なる質問も検討しよう。例えば、ハイブリッドな働き方(オフィスワークとテレワークを併用する勤務体系)が普及すれば、『独立して仕事がしたいですか?それとも、 チームの一員として働くことを希望しますか?』といった内容が適しているかもしれない。
今後は、順応性やコミュニケーション能力などの資質も重要になる。こうしたソフトスキルを審査する質問をしてみることも有効だ。
■8.応募者にサンプル製品などを送る
面接前に、求職者にブランド製品の試供品やノベルティ商品を送付するのも良いだろう。サービス業界の企業であれば、動画や顧客からの好意的なコメントを送付し、自社のビジネスを実感してもらうのも効果的だ。
ヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクター、 リチャード・アードリー氏は次にように述べていく。
「新型コロナウィルスの蔓延で、ビジネスの世界は大きな影響を受けました。この潮流に対処するためにも、企業は、その立ち位置や何を提供できるかについて、バーチャルやリモートで伝達していくことが一段と求められるようになります。革新的で共感を呼ぶ方法で伝達することに成功できれば、企業はエンプロイヤーブランドを高めるだけでなく、適切な人材を引き付け、新しい働き方が求められる時代で勝ち残っていくことができるでしょう。」
出典元:ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社
構成/こじへい