
容器の凝り方
コロナ禍で、外食店はテイクアウトに力を入れ始めており、その中には、インスタ映えを意識して容器に凝る店もあるようですが、今回は、容器の凝り方にもいろいろある、というお話。
国勢調査によれば、日本の一人暮らし世帯は、2000年の時点で全世帯の27.6%にすぎなかったのに、2015年には35%に増加(国勢調査は5年に1度。今年はもっと増えているでしょう)。そして、一人暮らしの人は、あらゆる食事にインスタ映えを求めるわけではありません。多くの人は、「ハレ(非日常)」と「ケ(日常)」をはっきり分けており、写真を撮ってSNSに上げるのは、ケのように見せかけたハレの食事だけ、ケの食事は安く効率よく栄養が摂れればそれでいい、と思っています。
そもそも、若者はみんな、食事の後片づけなんか、できればしたくない。だから、昔から、鍋で袋麺のインスタントラーメンを作ったら、鍋から直接食べていたし、最近だと、コンビニの袋サラダの袋にそのままドレッシングを入れて混ぜて袋から食べちゃったりしています。
そこに目をつけた大手食品会社のマルハニチロが、昨年8月、袋ごと電子レンジでチンしてそのまま食べられる冷凍食品『ワイルディッシュ』を発売。後片づけが嫌ならカップ麺でもよさそうなものだけど、袋だとゴミがかさばらないし、冷凍食品はカップ麺よりは健康によさそうだし——これはまさにコロンブスの卵的発見。すでに昨年秋に、雑誌『Mart』の読者投票による「新商品グランプリ」で1位を獲得したりと話題だったのですが、今年に入って伊藤健太郎君のテレビCMが大量に流れたこともあって、売れ行きは絶好調。
ただ、発売元にとって意外だったのは、若者だけでなく、60代の男女にもよく売れていること——片づけが嫌いなのは、若者だけじゃなかったんですね(フロリダ州立大の研究によると、食器洗いにはストレス軽減効果があるそうですが……)。
【ワイルディッシュ】今では、ご飯もの5点のほか、汁なしの麺3点も出ています。
(1)裏面を上にして袋ごとレンジに入れ、2分チン。
(2)袋が膨張して自立するので、ハサミで口を切る。
(3)袋にスプーンを突っ込んでそのまま食べる。