地味に便利なワイヤレス充電やイヤホンジャック、内蔵アプリはブラッシュアップが必要か
あたかもデジカメのように写真を撮れるXperia 1 IIだが、スマホとしての機能も、着実に進化している。Xperia 1では非対応だったワイヤレスチャージもその1つ。「Xperia XZ3」など、Xperia 1以前の端末には搭載されていたため、Xperia 1でなくなった機能が復活した格好だ。充電器は別途購入する必要があるが、置くだけで充電できるのはやはり手軽。ケーブルを抜き差しする手間から解放される。
同じく、3.5mmのイヤホンジャックも復活した仕様の1つだ。独立型Bluetoothイヤホンのラインナップが増え、イヤホンジャックがなくても困らない状況になりつつある一方で、挿すだけで音楽が聞けるのはシンプルでわかりやすい。手持ちの有線イヤホンを使えるため、音質にこだわる人にはうれしい仕様と言えるだろう。音と画面操作のタイミングを合わせなければならないゲームを遊ぶ人にとっても、イヤホンジャックは歓迎されるはずだ。
フラッグシップモデルで、チップセットにはSnapdragon 865を採用しているため、パフォーマンスも非常に高い。AnTuTu Benchmarkで計測したスコアは、約54万点。Galaxy S20シリーズなど、グローバルで販売されるフラッグシップモデルに匹敵する処理能力で、実際、どのアプリを起動しても反応がよく、操作感は非常にいい。高速連写した数百枚の写真をモバイル回線でGoogleフォトにアップロードしつつ、さらにPhotography Proを使った時などには、端末がかなり熱を持ったが、それでも撮影は続けることができた。熱によるパフォーマンスの低下も、そこまで心配する必要がなさそうだ。
Snapdragon 865を搭載し、処理能力もトップレベル
デザインやディスプレイ、カメラの評価が高く、ワイヤレスチャージやイヤホンジャックなど、かゆいところにも手が届く優秀な端末だが、内蔵アプリには改善の余地がある。Xperia 1 IIは、写真の管理アプリもGoogleフォトで、ソニーモバイルの独自アプリがなくなってしまった。カレンダーや電話帳、ダイヤラーといった各種アプリも、次々とAndroid標準やキャリア標準のものに置き換えられており、ソフトウェアでのオリジナリティが薄くなっている。
写真の管理はGoogleフォトで行う。独自アプリが減っているのは残念だ
Android標準のアプリが使いやすければいいが、残念ながら、写真の閲覧については、ソニーモバイル製のアルバムアプリの方が使い勝手がよかった印象もある。カレンダーも同様だ。また、ボイスレコーダーが非搭載で、Google Playで別途、サードパーティのアプリを購入する必要もあった。スマホは画面の占める比率が高く、内蔵アプリはメーカーの特色を出しやすい。実際、他メーカーの端末では、UIまで含め、カスタマイズをしっかりしているものも多く、それらと比べるとXpreia 1 IIはやや薄味だ。端末の完成度が高まる半面、Xperiaらしさが弱くなったのは残念なところ。世界観のブラッシュアップにも期待したい。
【石野’s ジャッジメント】
質感 ★★★★★
持ちやすさ ★★★★★
ディスプレイ性能 ★★★★★
UI ★★★★
撮影性能 ★★★★★
音楽性能 ★★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証 ★★★★
決済機能 ★★★★★
バッテリーもち ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。