ビジネスツールの進化に、ビジネスマナーは追いついていない。たとえば、対面や電話、メールのやり取りに関しては、マナー講師が教えるような理路整然とした作法が存在するが、各種チャットツールの全国区的マナーなど聞いたこともない。それぞれの会社の中で、なんとなくまかり通っている慣習に従っている人がほとんどではないだろうか。
そんな「ビジネスチャット」に関する意識調査がこのほど、ビジネス版LINE「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパンにより、ビジネスチャット導入企業に勤務する30代〜50代のビジネスパーソン875人を対象にして実施された。
新入社員がチャットで行う報・連・相における上司のOKラインとNGライン
新入社員から上司への報告・連絡・相談において、チャットで行って良い内容・行うべきではない内容について尋ねる調査が行われたところ、チャットで行って良い内容として最も多い回答は「直行・直帰の報告」(73.7%がチャットでOK)、チャットで行うべきではない内容として最も多い回答は「緊急対応を要するミスの報告」(59.8%がチャットはNG)となった。
また「当日の欠勤報告」については、意見が二分し、49.8%がチャットでOK派、50.2%がチャットはNG派であることがわかった。
社内チャットで「お疲れ様です・お世話になります」などの挨拶、必要性ある?
メールなどで一般的に使われている「お疲れ様です・お世話になります」などの挨拶記載について、社内チャットでも必要か尋ねる調査が行われたところ、50代の方が30代・40代より「不要・どちらでもない」と考える傾向が強いことがわかった。特に50代と30代には約2割の意識差がある。
社内チャットでメッセージ相手の「部署・役職・名前」記載の必要性は?
2.と同様に、「部署・役職・名前」の記載について、社内チャットでも必要か尋ねる調査が行われたところ、50代の方が30代・40代より「不要・どちらでもない」と考える傾向が強いことがわかった。特に50代と30代には約3割の意識差がある。
近くにいるのにチャットだけでコミュニケーションを取ることに「嫌われてるのでは」と不安を感じる割合は……
新入社員が、近くにいるのにチャットだけでコミュニケーションを取ると、30代は50代の2倍以上「新入社員から嫌われているのではないか」と不安を感じる傾向が強いことがわかった。
■ワークスモバイルジャパン株式会社 執行役員 萩原雅裕氏のコメント
この春からビジネスチャットを使い始めたという方も多いのではないでしょうか。チャットでの挨拶や報告についてのこの調査で、上司・先輩の立場である50代の方の多くがフランクな対応について寛容だったり、30代の方は新入社員に嫌われていないか不安を感じているケースが上の世代よりも多かったり、様々なギャップや意識の差が見られました。
経営者や管理職の方ほど忙しく、仕事でチャットを使うことのビジネスメリットを強く実感されていますので、前置きの挨拶不要、簡単な報告OKという回答に納得です。
なお、ビジネスチャットの導入に成功している企業では、以下のようなことに取り組んでいる。ビジネスチャットの運用に関して悩みのある方は、ぜひ、参考にしてみてほしい。
■1. 上司は部下ほど、細かなマナーにこだわっていない。ルールは明文化するとGood
上司が思う以上に、部下は上司への配慮を過度に意識している。チャットによる業務効率の向上を目指すには、社内のチャットルールを明文化すると良いだろう。挨拶不要、了解しました不要、即レス不要、さん付け不要、遅刻等の連絡OK/NG、緊急時の対応(チャットは速報、報告は通話等)など。
■2. チャットは、組織文化やリアルなコミュニケーションの鏡写し。チャットだけではNG
日ごろのコミュニケーションが希薄だったり、信頼関係ができていなければ、チャットを導入しても効果は半減してしまう。会議での報告から、移動中の電話相談、休憩室での雑談まで、仕事でのコミュニケーションは内容も方法も非常に多様だ。
肩肘張らず、今までのやり方(対面や電話、メール)と組み合わせて使うのがチャット導入のコツ。仕事がオンライン化され、業務がスピードアップ・効率化する効果を早く実感するには、デジタルネイティブな新入社員と一緒に進めると良いだろう。
<調査概要>
調査時期:2020年4月22日〜2020年4月28日
調査方法:インターネット調査
調査対象:ビジネスチャット導入企業に勤務する30代〜50代のビジネスパーソン875人
出典元:ワークスモバイルジャパン株式会社
構成/こじへい