バーチャルヒューマン
アイコン不在のファッション業界でバーチャルヒューマンが脚光を浴びている。バーチャルヒューマンとは実写で撮影した体に3DCGで作成した頭部を合成した架空の人物のこと。アニメ調のVTuberと違い、人間らしい繊細さを追求。完璧な美人ではなく、愛嬌のある顔立ちに整えていることも特徴のひとつ。プラダなど有名ブランドの公式インスタに登場し、ブームに火がついた。
日本で先陣を切るのは、バーチャルヒューマン・カンパニー、Awwが手がけるimmaだ。
「最初は個性的なルックスに対して大きな反響がありました。昨年後半頃から、徐々に内面や価値観に注目が移り始めた印象があります」(Aww・Yumi Anさん)
今年2月にimmaはイケアとのパートナーシップを締結。起用の決め手となったのは、immaが発信する環境保護やサステナビリティーへの共感だと話す。
一方で有名ブランドが発信するバーチャルヒューマンが誕生した。GUは今年3月よりバーチャルヒューマン、YUを使ったプロモーションを展開。季節や体型の変化に合わせた着こなしの提案など、バーチャルの特性を生かしたコンテンツで親近感の獲得を目指す。
バーチャルヒューマンの登場はセンセーショナルだが、称賛の多くは技術に向けられている。独自の世界観を発信し、共感を得ることが新しいカルチャー創出の鍵となりそうだ。
immaは日本初のバーチャルモデルとして活躍。ポルシェ『タイカン』(写真上)、P&G『SK-Ⅱ』など広告への起用が相次ぐ。
YUは身長158cm。ランダムに選出した17~33歳の女性200人を対象に、26項目の体型データの平均値をベースにGUが独自に開発。
取材・文/渡辺和博