近年、日本に大きな被害をもたらした台風は?
日本にもたびたび勢力の強い台風が上陸しています。堤防の決壊・浸水・高潮・住家の全半壊等などの被害をもたらした、近年の大きな台風を見てみましょう。
2019年台風19号ハギビス
2019年10月6日午前3時に『ハギビス』が南鳥島近海で発生しました。ハギビスはフィリピンが提案した名前で『素早い』という意味を持ちます。
12~13日にかけて東海・関東・甲信越・東北地方に上陸し、記録的な大雨に見舞われました。国土交通省の資料によると、関東・東北を中心に140カ所で堤防が決壊し、国管理河川だけでも約2万5000haが浸水したとのことです。
同年10月28日の消防庁がまとめた資料では、住家浸水7万341棟、住家の全半壊等4008棟、死者90名、行方不明者9名という深刻な被害が報告されています。
2018年台風21号チェービー
チェービーは2018年9月4日に『非常に強い勢力』で徳島県に上陸し、近畿地方を通過しました。非常に強い勢力で上陸したのは、1993年以来25年ぶりのことです。
大阪湾沿岸では高潮に見舞われ、最高潮位は大阪検潮所で329cm、神戸検潮所で233cmを記録したことを大阪管区気象台が発表しています。高潮によって関西国際空港の滑走路が浸水するだけでなく、連絡橋が破損して最大約8000人が孤立する事態に陥りました。
東海道新幹線をはじめ、各地のJR従来線や私鉄では運転が見合わされ、空の便も国内線700便以上が欠航したとのことです。
出典:災害時気象報告 平成30年台風第21号による 9月3日から5日にかけての暴風、高潮等
似た天気・アメリカのハリケーンとの違いは?
台風と比較されることが多いのが、アメリカなどで猛威を振るうことで知られるハリケーンです。発生場所や名前の付け方などに違いがありますが、熱帯低気圧であることなど共通点もたくさんあります。
発生場所が違う
台風は東経180°より西の北西太平洋および南シナ海で発生するのに対し、ハリケーンはカリブ海・メキシコ湾を含む北大西洋および西経180°より東の北東太平洋で発生するのが特徴です。台風は約17m/s以上、ハリケーンは約33m/s以上の熱帯低気圧を指します。
最大風速の基準にも違いがありますが、台風もハリケーンもそれぞれの地域の『熱帯低気圧の強さ』を分類するための用語です。ハリケーンの語源は、マヤ神話の創造神『フラカン』が由来という説があります。
アメリカの機関が名前を付ける
ハリケーンは発生した場所によって、名前を付ける機関が異なります。大西洋北部および太平洋北東部は『NHC(米国海洋大気局国立ハリケーンセンター)』、太平洋北中部は『CPHC(米国海洋大気局中部太平洋ハリケーンセンター)』が命名する取り決めです。
NHCはアメリカの機関ですが、WMOに『RSMC(地域特別気象中枢)』に指定され、同海域で発生した熱帯低気圧に関する情報を国内外に発信する役割も担っています。
6年周期で同じ名前を使い回す
ハリケーンも台風と同じように名前をリスト化して、ローテーションしています。甚大な被害をもたらした場合はリストから名前がなくなる点も、共通しています。
台風と異なるのはリストが6パターンあり、6年ごとに使い回している点です。リストより多くハリケーンが発生した際は、α(アルファ)から順にギリシャ文字のアルファベットで命名されます。
名前の由来にも注目してみましょう。台風の名前は動物や食べ物などさまざまですが、ハリケーンには『アルベルト』や『クリス』など人の名前が付けられています。
構成/編集部