敷金・礼金なしは当たり前。住まいのサブスクの多くは月額に家賃、家具や家電、公共料金などをインクルード。各地に点在するすべての提携拠点を利用できる。
都市部への人口集中などによる空き家率の上昇。多拠点で生活するデュアルワーカーなどの急増。そして、スマホひとつで引っ越しの手続きができるようになったこと。こうした背景から、住み放題サブスクは大きな支持を集める。
「特に空き家問題は深刻で、2033年頃までに総住宅数の約3割に達すると予測されています」。そう話すのは、ADDressで拠点開発などを統括する後藤伸啓さん。
空き家は取り壊すにしてもお金がかかるため、放置するケースがほとんど。これを資産として活用すれば、地方活性化にも役立つ。家を格安で提供するオーナーは多く、低価化を実現した。さらに近年、新規参入が相次いだことで付加価値競争が始まった。
「外泊することで月額が安くなるunitoの制度は好例です。一方のADDressは、会員と地域社会とを橋渡しする人材となる家守を全拠点に設けたほか、航空会社や鉄道会社と移動費を定額にする実証実験を行なうなど、地域に根差し、長期的に暮らすことをテーマにサービスを強化しています」(同)
既存のコミュニティーが希薄化する今、多拠点生活が定着すれば帰属できる場所が増え、快適なライフスタイルの発見に繋がる。趣味仲間や第2、第3の故郷を持てることも住み放題サブスクの魅力だ。
空き家数及び空き家率の推移
出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計」空き家数及び空き家率の推移
デュアルライフ開始者(推計)の推移
出典:リクルート住まいカンパニー「デュアルライフ(2拠点生活)に関する意識・実態調査」(2018年)
地域おこし協力隊出身者や地方創生に携わる有力者など、地域に基盤を持つ人材を家守に起用。ADDressは物件ではなく、家守ありきで拠点開発を行なう。
ANAと提携して実施する国内線指定便2往復定額サービス。今年3月に第2弾を発表した。
こんな人が得をする
・都市部と地方の複数で拠点を持ちたいデュアルワーカー
・移住先を探している人
・旅をしながら暮らしたいリモートワーカーやアクティブシニア
取材・文/渡辺和博