精霊馬の飾り方
精霊馬は精霊棚に飾るのが一般的です。本格的な精霊棚はスペースを必要とするため、簡易的なものでもかまいません。精霊馬としての重要な役割を果たせるように、飾り方も押さえておきましょう。
精霊棚を準備
精霊棚は「しょうれいだな」や「しょうりょうだな」と読みます。地域によっては『盆棚』と呼ばれることもありますが、つまりは先祖への供え物をするための棚です。昔ながらの精霊棚は、四方に笹竹を立てて、しめ縄を張ります。
現代ではマンション住まいの人も多く、本格的な精霊棚を用意するのは困難です。住宅事情を考慮して、簡易的なもので済ませるケースも珍しくありません。
簡易的な精霊棚の場合、仏壇の前に経机や小机などを置き、その上に『まこも』や敷物をしきます。あとは精霊馬などの供え物を設置すれば、簡易的なものとはいえ、立派な精霊棚になるでしょう。
他のお供え物と一緒に飾り付け
精霊棚に飾るものは、精霊馬の他に位牌・香炉・水の子・季節の果物・ミソハギの花・故人の好物・盆提灯・鈴などが一般的です。簡単な精霊棚で済ませる場合は、一部を省略してもよいでしょう。
位牌は仏壇から出して、精霊棚の中央に安置するのが基本です。あとは、季節の野菜や果物、故人の好物、精霊馬を供えます。精霊棚の脇には盆提灯を置いて、明かりをともしましょう。精霊棚の規模は問わず、先祖を迎えて丁寧に供養することが大切です。
飾る時期と置き方の決まり
精霊馬を飾る時期も置き方も地域や宗派によって異なりますが、7月もしくは8月の13日~16日に精霊棚へ飾るのが一般的です。
精霊馬を飾る際には『向き』に注意しましょう。迎え盆のときは内向きに、送り盆のときは外向きに置きます。キュウリの馬は先祖の霊をこの世にお迎えるだけでなく、あの世に送る役割もあるため、迎え盆と送り盆とでは置く向きを変えます。先祖を送るナスの牛は、外向きに飾りましょう。
精霊馬はどう処分する?
精霊馬は『先祖の乗り物』とあって、処分の方法に困る人もいるでしょう。処分の仕方は地域や家庭によって異なるため、取り入れやすい方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。処分する前に、自宅で簡単に清める方法もあります。
昔は海や川に流していた
精霊馬をはじめ、役割を終えたお盆の供え物は、海や川に流すのが一般的でした。しかし、現在の日本では勝手に海や川に流すと、条例違反に当たる可能性があるため、現実的ではありません。環境汚染の問題もあり、海や川に流さないようにと呼びかけている自治体もあります。
同様の理由で、先祖の霊と供え物を『精霊船(しょうろうぶね)』にのせて川に流す『精霊流し(しょうろうながし)』も、形を変えているのが現状です。例として挙げると、大阪府の『中之島の精霊流し』では、川に流す代わりに燭台(ろうだい)でロウソクがともせるようになっています。
現代は家庭によってまちまち
精霊馬を処分する方法は、家庭の環境によって異なります。自宅に庭や畑などがある家庭なら、土に埋めるのが一般的です。しかし、全ての家庭に庭や畑があるわけではありません。
埋めて処分が難しい場合は、近所のお寺へ問い合わせてみるのも一つの手です。精霊馬を作る家庭が多い地域では『お焚き上げ』などをして、お寺が処分してくれるケースもあります。
元は野菜と割りばしなので、可燃ごみとして処分することも可能です。ごみとして処理する場合は、塩で清めてから半紙などに包んで袋に入れます。埋める場所や近くにお焚き上げを頼めるお寺がない家庭は、この方法で処分することが多いようです。
構成/編集部