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七夕に子どもと一緒に、短冊に願い事を書いて飾る家庭は多いでしょう。しかし、七夕の由来や短冊の意味・願い事を書く理由などを知らない人は少なくありません。古くから伝わる伝統行事である七夕への理解を深め、より思い出に残る日にしましょう。
そもそも七夕って?
七夕は、広く知られた日本の伝統行事の一つです。しかし、七夕の由来や意味を知らず、きちんと子どもに伝えられない人もいるのではないでしょうか?まずは、七夕の由来を見ていきましょう。
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七夕の由来と歴史
七夕は、中国の暦法で定められた『五節句』の一つで、季節の変わり目を意味します。五節句は『節日(せつにち)』を元に考えられており、奇数(陽)が重なる日は偶数(陰)になるので、陰の邪気を祓う目的で『七夕の節句』という行事が行われるようになったというものです。
また、七夕は中国から伝わった七夕伝説がルーツという説もあります。機織りの織姫と牛使いの彦星は、ともに働き者として知られていました。しかし結婚したとたんに、全く仕事をしなくなってしまったのです。
それを見かねた天帝が、2人を天の川を隔てて東西に引き離しました。しかし、今度は悲しみのあまり、働かなくなってしまったのです。そこで、仕事に励むことを条件に、年に1回だけ会うことを許されたという伝説です。
「たなばた」と読む理由
中国から伝わった七夕は、『しちせき』と呼ばれていました。それが、たなばたに変化したのは、日本古来の神事である『棚機(たなはた)』に由来しています。
棚機は、神事で使用する着物を織る織り機のことです。『棚機津女(たなばたつめ)』と呼ばれる選ばれた女性だけが、棚機を使うことができました。棚機女が棚機を使って織った織物を神様に供え、豊作祈願や穢れ(けがれ)を祓う神事が行われていたのです。
この神事は、仏教の伝来とともに、7月7日にお盆の準備をするための行事として変わっていきました。同時に棚機も当て字の七夕に変わったとされています。
七夕に願い事をするのはなぜ?
短冊に願い事を書く風習にも由来があります。また、笹に飾ることにも理由があるのです。願い事をする由来や笹が使われる理由について紹介します。
乞巧奠に由来
七夕に願い事をするのは、中国の宮中行事『乞巧奠(きっこうでん)』が由来です。七夕伝説の織姫にあやかり、女性の機織りや裁縫の上達を願う風習がありました。現在も、機織りに限らず、書道や芸事の上達を願う行事として続いています。
奈良時代に乞巧奠が日本に伝わると、宮中行事の一つとして定着していったのです。貴族たちは庭に祭壇を作り、機織りや裁縫の上達を願ったり、梶の葉に和歌を書いたりするようになりました。
また、サトイモの葉にたまった夜露を天帝からの授かり物と捉え、夜露を混ぜた墨で書くと願い事が叶うとされていたのです。これらの風習が、七夕には短冊に願い事を書くという形に変わり、現在に至っています。
笹に飾る理由も紹介
抗菌作用のある笹は、古くから人々の生活に欠かせない物の一つでした。特に食べ物などが腐りやすい夏は、防腐剤代わりとして使用されて、お供え物などの下に敷かれていました。
また、笹は天に向かって力強く成長することから、神聖な物として扱われ、古くから神事にも使われていたのです。七夕の行事では笹を飾ったり、笹の葉にお供え物を乗せ願い事をして川に流したり、穢れを祓ったりする風習もありました。
このように、笹は七夕には欠かせない物でした。江戸時代になり、七夕の行事が浸透するとともに、願い事を書いた短冊を笹に飾るように変化していったのです。
実は短冊の色には意味がある?
「好きな色だから」「なんとなく」という理由で、短冊を選んでいませんか?本来は、願い事に合わせるのが、正しい選び方になります。短冊の色は、全ての事柄は木・火・土・金・水に分類されるという『五行説』由来の『五常(五徳)』に基づいており、それぞれに意味が込められているためです。
青や緑の短冊の意味
木行に分類される青が表す五常は『仁』で、成長という意味があります。なお、五行説では青ですが、緑の短冊が使われることもあります。人として成長を目指すような願い事は青(緑)の短冊に書きましょう。
例えば、「人助けをする」「悪口を言わない」「思いやりを持つ」などは、人間力の向上を願っているため、青(緑)の短冊が適しています。
また、子どもの「苦手なピーマンを食べる」「お手伝いをする」といった願い事も成長につながるため、青(緑)の短冊に書きましょう。
赤の短冊の意味
五常において、火行に属する赤は『礼』になります。文字通り感謝を表しており、特に目上の人を大切にするという意味が含まれています。従って、祖父母や両親・先祖・周りの目上の人への感謝の気持ちを込めた内容を書くときは、赤の短冊を選びましょう。
例えば、「おじいちゃん、おばあちゃん、健康でいてね」「お父さん、いつも頑張って仕事してくれてありがとう」「おかあさん、いつも良き理解者でいてくれてありがとう」といった願い事には、赤の短冊を選びましょう。
黄の短冊の意味
土行に分類される黄の五常は、『信』です。信頼や誠実を表します。従って、人間関係の願い事は黄の短冊に書きましょう。
職場での人間関係の向上や、ママ友との良い関係の継続を願うときなどに使えます。また、家族や夫婦関係も人間関係に含まれるため、家内安全や夫婦円満などを願うときも黄の短冊が適しています。
子どもの「友達と仲良くする」「友達をたくさん作る」といった願い事も、黄の短冊に書きましょう。
白の短冊の意味
五行で金行に含まれる白は五常では『義』です。規則を守る、または義務を果たすという意味があります。
例えば、子どもなら「遅刻しない」「忘れ物をしない」といった願い事に使えます。大人であれば、「安全運転をする」「掃除をさぼらない」といった願い事も白の短冊に書くとよいでしょう。
また、「禁煙する」「禁酒する」など、これまでの行いを改めるといった決意表明をする願い事にも白の短冊が使えます。
黒や紫の短冊の意味
五行説では、本来、黒ですが、代わりに紫の短冊が使われるのが一般的です。黒は縁起が悪いイメージがあることや、文字が見えづらいためです。
黒(紫)は、五常で『智』です。知識・知恵という意味があるため、学業に関する願い事は黒(紫)の短冊に書きましょう。
学業というと学生に限ったことと思われがちですが、社会人でも使えます。例えば、「昇格する」「資格試験に合格する」「英会話を上達させる」といった願い事は、黒(紫)の短冊が適しています。