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1000年以上前から続く神事「茅の輪くぐり」が行われている東京の神社

2024.05.16

神社では、さまざまな神事が行われており、『茅の輪くぐり(ちのわくぐり)』もその一つです。茅の輪くぐりは、いつでどんな物なのか紹介します。また、茅の輪くぐりの作法や東京で茅の輪くぐりが行われている神社も紹介するので、足を運んでみましょう。

茅の輪くぐりとは?

茅の輪くぐりの由来など、基礎知識があるかないかでは、実際に神社を訪れるときの心持ちも変わってきます。まずは、茅の輪くぐりがどのような物なのか紹介します。

大祓に行われる神事

茅の輪くぐりは、1000年以上も前から続いている『大祓(おおはらえ・おおはらい)』に行われる神事です。大祓は、無病息災の祈願や罪・過ちなどの穢れ(けがれ)を払う儀式です。これは、『日々を常に清らかな心で暮らす』といった日本古来の伝統的な考え方に基づいています。

大祓の起源は、記紀神話のイザナギノミコトの禊祓い(みそぎはらい)とされています。やがて宮中行事の一つとして行われるようになり、中世以降には神社の定例行事になったのです。現在は、日本全国の多くの神社で茅の輪くぐりが行われています。

茅の輪くぐりの由来

茅の輪くぐりは、『備後国風土記』に記されている神話が由来とされています。この神話に出てくる『茅の輪』が、現在の茅の輪くぐりの原点になっています。

神話の概要は次の通りです。旅をしていた武塔神(むとうのかみ)・スサノオノミコトが、ある村で一泊しようと宿を請います。村で一番裕福な巨旦将来は、断ってしまいますが、兄の蘇民将来は、弟とは違い貧しい生活であったのにもかかわらず、快く応じ丁寧にもてなしたのです。

善意に感謝したスサノオノミコトは、お礼として病気や厄災から身を守る『茅の輪』を与えました。後に村で疫病が流行した際には、茅の輪を持っていた蘇民将来の一族だけが生き延びられたといわれています。

くぐることで罪や穢れが祓い清められる

人は生きていく上で、気付かないうちに不浄な物に触れてしまっていると考えられています。茅の輪をくぐることで、半年の間に蓄積された穢れを祓い、身も心も清められるとされているのです。心身ともに清め、残りの1年を無事に過ごそうという意味があるのです。

茅の輪くぐりに使われる茅の輪は、竹に茅草を巻きつけて作られています。茅の輪が使われている理由は、前述の通り『備後国風土記』に記されている神話が原点のためです。スサノオノミコトから授かった茅の輪を持っていた一族だけが疫病を逃れ生き残ったという逸話に由来しています。

茅の輪くぐりはいつ行われる?

茅の輪くぐりは、一般的には年に1回ですが、2回行う神社もあります。茅の輪くぐりの具体的な時期について紹介します。

一般的には6月末の夏越祓に

茅の輪くぐりは、6月30日に行われるのが一般的で、『夏越の祓(なごしのはらえ)』と呼ばれています。夏越の祓では、茅の輪をくぐることで、年明けからの半年間に蓄積された穢れを祓う目的があります。同時に、残りの1年の無病息災を祈願するためでもあります。

また、かつては疫病を予防するために、夏越の祓の時期に衣服を変えるという意味もありました。水が自由に使えなかった時代背景もあり、頻繁に洗濯する習慣がありませんでした。

そのため、雑菌が繁殖しやすく疫病が流行りやすい夏の前に、新しい衣服に変えて健康に過ごそうという意味もあったと考えられています。

12月に行う神社も

茅の輪くぐりというと6月が有名ですが、実は12月にも行っている神社があります。12月の茅の輪くぐりは『年越の祓(としこしのはらえ)』と呼ばれています。

本来は12月31日の大晦日に行われる儀式ですが、参拝者が多い神社などでは、28日頃から行っているところもあります。

年越の祓の目的は、1年間の穢れを祓い、心身を清めて新年を迎える点にあります。年越の祓で身を清めて新たな1年を迎え、初詣に出掛けるのもよいのではないでしょうか?

【東京の初詣スポット10選】ご利益別のおすすめ神社とお寺、2024年は何を願う?

茅の輪くぐりの作法

神社ではさまざまな神事が行われており、それぞれ作法があります。作法がよく分からないために、神社に行くのを遠慮してしまう人もいるでしょう。

茅の輪くぐりにも、作法があります。事前にきちんと把握し、安心して参拝できるようにしましょう。

左右にくぐり一礼を繰り返す

茅の輪くぐりの作法は、さほど複雑ではありません。一度覚えてしまえば、迷わないでしょう。

まず、茅の輪の前で軽く一礼します。次に左足から輪をくぐり、左回りに回って、輪の前に戻ります。再び一礼して、今度は右足から輪をくぐり、右回りに回って輪の前に戻ります。再び一礼をして、左足から輪をくぐり、左回り回って、輪の前に戻ります。

最後にもう一度、輪の前で軽く一礼し、左足から輪をまたいで神殿に向かいましょう。神殿の前で、二礼二拍手一礼をして参拝します。

唱える言葉は神社によって異なる

茅の輪くぐりときには、言葉を唱えます。いくつかパターンがありますが、神社により唱える言葉が異なります。事前に説明があるため、各神社の指示に従いましょう。

なお、特に指示がない場合は、『祓い給え清め給え』が覚えやすいため、おすすめです。その他には『水無月の夏越の祓する人は千歳(ちとせ)の命のぶというなり』や『思うことみなつきねとて麻の葉を切りに切りても祓ひつるかな』などがあります。同じ言葉を繰り返えしても、輪を回るごとに変えても構いません。

茅の輪くぐりのNG

茅の輪くぐりで、やってはいけないこともあるため、覚えておきましょう。特に気を付けてほしいのは、茅の輪くぐりに使われている茅を取って持ち帰ることです。神社の神事に使用されているから「縁起がいい」「お守りになる」と勘違いしている参拝者も多いようです。

しかし、茅の輪くぐりは、茅の輪をくぐって厄払いをする役割があります。従って、茅の輪には、多くの参拝者の穢れや災厄がついていると考えられます。つまり、茅を持ち帰るというのは、自ら穢れや災厄を引き寄せている意味になるのです。

神社では、茅の輪のお守りなども販売されているので、ご利益が欲しい人は購入しましょう。

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