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人間はおいしさを舌ではなく「情報」や「言葉」で感じるって本当?

2020.06.02

情報を食べる

 飲食業界は、新型コロナウイルスで大変なことになっていますが、このコラムでは、飲食店を可能な限り応援していきたいと思います。がんばれ、日本中の飲食店!

 さて、今回は、いつもとはちょっと趣向が違う、「情報を食べる」というお話です。

 新型コロナが深刻になる前の2月23日の日曜日に『NHKスペシャル』で放送された「食の起源 第5集 美食」という番組は、大変興味深い内容でした。ご覧になっていない方のために、内容を簡単に紹介しておきましょう。

 その番組によると、果物というものは、食用になるのは実の部分で、その実で種をくるんで鳥や動物に食べさせ、遠くで種を糞と一緒に出してもらって繁殖するという戦略をとってきたため、実がおいしく(甘く)なる方向で進化してきました。それに対し野菜は、食用になるのは根・茎・葉で、そこを鳥や動物に食べられると命に関わってしまうため、本来は毒の味である「苦味」を身につけ、「自分は毒だから食べられないぞ」と警告を与える方向で進化しました(子供が野菜が嫌いなのも当然ですね)。

 ところで、現生人類は、7万年前までは全員アフリカにいて、狩猟と果物の採集で暮らしていました。そこに氷河期が訪れ、森が乾燥して果物が少なくなったため、人類は食糧を求めてアフリカを出て、世界中に散って行き、その過程で、苦味に鈍感なヤツが、苦いけど毒ではない野菜を「これ案外イケるじゃん」と食べ始め、それまで避けてきた苦味のある食材の中から、栄養のあるものを次々に発見したといいます。

 人間以外の動物にとって、味は体験がすべてで、自分が一度口にして苦味を感じたものは二度と口にしませんが、人類だけは脳の中の「共感中枢」と呼ばれる「腹内側前頭前野」が発達して、自分は苦いからダメと思っても、仲間がおいしそうに食べていれば、それをおいしい食べ物として記憶する「共感能力」を身につけ、その能力のおかげで、食糧確保の可能性を広げたのだそうです。こうして人類は他人がおいしそうに食べているという「情報」だけで、おいしさを感じられるようになったのです。食べログの点数の高い店に客が殺到するのは、原始時代からの名残りだったんですね。

 このことを証明するため、NHKは、視聴者30人をスタジオに集めて2つのグループに分け、同じゴボウのスープを、片方のグループには「低脂肪ごぼう健康スープ」、もう片方には「鳴門鯛のダシたっぷりのポタージュ」と言って出し、味の感想を聞くという実験をしました。すると、前者を食べたグループは「味がしない、薬みたい」と答えたのに対し、後者のグループは「おいしい、やさしい味だ」と答えました。説明のしかた次第で、味の印象は大きく変わったのです。

 そこで思い当たるのが、最近、レストランで行なわれる、料理やワインの説明の長さです。飲食店の経営者たちは、『NHKスペシャル』が放送されるより先に「人間は情報でおいしさを感じる」ことに気づいて、食べる前から客にガンガン情報を与えていたようです。

『スパイスラボ・トーキョー』

銀座6丁目の外堀通りに面したビルの10階に昨年11月に開業した『スパイスラボ・トーキョー』は、コペンハーゲンの『ノーマ』で修業したインド人シェフによる、コースのみのモダンインド料理店。それぞれの皿は、街路、寺院、祝祭といった抽象的な名前で呼ばれ、一皿出されるごとに丁寧な説明がつきます。11階には眺めの良いラウンジも。◆住所:東京都中央区銀座6-4-3 GICROS GINZA GEMS 10F ◆電話:03・6274・6821

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