テレワーク、リモートワーク中はついついオフモードになりがち。コロナ禍が過ぎ去り、再び、日常が戻ってきた際には、ビジネスマナーをすっかり忘れてしまっている……なんてことにもなりかねない。
そこで今回は、改めてビジネスマナーをおさらいする意味でも、あまり知られていない基本的なマナーから、実は間違って覚えているマナー、明日から使える“デキるビジネスパーソン”になれる+αのテクニックについて紹介していく。
そもそもビジネスマナーとは?
「ビジネスマナーってなぜ必要なの?身につけるメリットって何?」改めてビジネスマナーについてよくよく考えてみると、こんな疑問が沸く方もいるかと思う。この疑問について、ビジネスの本質という点から考えてみよう。
ビジネスは、1人では行うことはできない。個人で事業を営むことはできるが、その場合でも取引先や協力会社は必ず存在するし、そもそもお客様がいなければビジネスを続けていくことはできない。社内外の関係者と良好で持続的な関係を築くのに最も大切なものは「信頼」だ。信頼関係が築けて初めて、ビジネスは円滑に進み、望ましい成果が得られる。
ビジネスマナーとは、相手に対する思いやりや気配り、敬意などを目に見える具体的な行動として表したものであり、信頼関係を築く基盤となる。ここで気をつけたいのは、「マナーの良し悪しを判断するのは常に相手」ということ。
自分がどんなに丁寧に応対したつもりでも、相手がそう感じていなければ、不親切で失礼な応対をしたことになってしまう。「判断基準は相手がもっている」ということを常に念頭に置いて行動するよう、心がけよう。
あまり知られていない!?意外な「基本的ビジネスマナー」
■その1:身だしなみの基本
ビジネスにふさわしい身だしなみとは、あなたを見た相手が「この人なら信頼できそうだ」「この人とだったらよい仕事ができそうだ」と思ってくれる身だしなみということになる。
ポイントは、大きく以下2つ。
・清潔である
・TPO[Time(時)、Place(場所)、Occasion(状況、場合)]にふさわしい
また、よく悩みがちなのが、「ジャケットのボタンの留め方」と「ポケットのフタ(フラップ)」だ。
●ジャケットのボタン
男性は、無理に留めるとシルエットが崩れ余計なシワがってしまうので、2 つボタンでも 3 つボタンでも、スーツのフロントボタンの一番下は留めないのが正しいジャケットの着こなしとなる。また、椅子に座るときは全て外し、立ち上がる時に留めるのがベスト。女性はボタンを全て留めることで綺麗なシルエットになるので、常に全て留めておこう。
●ポケットのフタ(フラップ)
雨よけ・ホコリよけとして取り付けられているフラップは、ビジネスマナーにおいては出したままでOK。
*パーティシーンでのドレススーツや、冠婚葬祭の礼服ではフラップを
しまうのがマナーなので注意
■その2:誰かに話しかけるときには「今お時間よろしいでしょうか?」の一言を
新入社員が特にやってしまいがちなのが、分からないことや聞きたいことがあった際に、突然相手に話しかけてしまうこと。会社においては、同じ部署やチームで働いていても、それぞれ取り掛かっている業務やその締め切りは異なる。もしかしたら、相手はとても急がなければならない作業をしていたり、集中しなければいけない業務に取り掛かっていたりするかもしれない。
このような状況におけるポイントは、まず相手に「今お時間よろしいでしょうか?」と一言かけること。相対した時の相手を見ただけでその人が取り掛かっている業務の状況を察知するのは難しいので、この一言をかけ、相手を思いやり、都合を確認することで、スムーズにやりとりができるようになる。
実は間違っていた!意外な正しい「ビジネスマナー」
■その1:エレベーター・タクシーの席次
上座、下座がどの位置になるかは、部屋や乗り物の構造に左右される部分もるが、「最もくつろげる位置や最も安全な位置が上座。その反対が下座」というのが席次の考え方の基本となる。
会議室や応接室では、一般的に「入口から最も遠い席が上座、入口に最も近い席が下座」とされているが、これは入口から最も遠い席が最もくつろげて、最も安全と考えられるからだ。ここでは、よく使うのに意外と理解できていない、エレベーターとタクシーの席次を紹介する。
■その2:『バイト敬語』、使ってしまっていませんか?
以下の下線部のような言い回しは、アルバイト社員が多いサービス業の現場でよく耳にすることから「バイト敬語」と呼ばれることがある。
・ご注文は以上でよろしかったでしょうか
・こちらがご注文の品になります
・1万円からお預かりいたします
もしかすると、アルバイト先で「このように言うように」と指導されたことがあるかもしれないが、ビジネスの現場において、こうした表現には違和感を覚える人・誤っていると考える人が少なからずいる。「誤りとはいえない」という意見もあるが、違和感を覚える人が多いとわかっていてあえて使うのは、信頼関係の構築という点ではかなりリスクの高いことといえるだろう。上の例文は、それぞれ以下のように改めるのが良い。
・ご注文は以上でよろしいでしょうか
・こちらがご注文の品でございます
・1万円お預かりいたします
■その3:「お疲れさま」と「ご苦労さま」の使い分け、できていますか?
お疲れさま=接頭語「御(お)」+「疲れ」+接尾語「様(さま)」
ご苦労さま=接頭語「御(ご)」+「苦労」+接尾語「様(さま)」
意味も成り立ちもそっくりなので、「どっちを使っても同じでは?」と思うかもしれないが、うっかり使い方を間違えると「失礼だ」「生意気だ」と非難されかねない。
「ご苦労さま」の説明に「ねぎらう」とあるが、一般的に「ねぎらう」とは目上から目下に向かう行為とされているので、上司や先輩に向かって「ご苦労さまでした」と言うのは失礼に当たる。
お互いが気持よく仕事ができるよう時と場合、声を掛ける相手に合わせて使い分けに気をつけよう。
明日から実践できる、“+α”のビジネステクニック
■その1:メールでよく使う言葉は単語登録
「お世話になっております」「お疲れ様です」「何卒宜しくお願い致します」など、メールでよく使う文章はその文章の頭文字(「お(お世話になっております)」「な(何卒宜しくお願い致します)」など)で単語登録しておくと、都度打ち込む必要がないので時間の短縮となる。言語バーなどから設定できる。
■その2:「Google アラート」で、自身やと取引先の最新情報収集
Google には、単語を登録しておくと、その単語が含まれるネットニュースがメールで配信される「Google アラート」という機能がある。自身の企業が属する業界や、取引先やその競合企業、業界に関連する単語等、自身が情報収集したい単語を登録して通勤時間や移動時間にチェックすると、アイディアのヒントになるかもしれない。
■その3:ミーティングの円滑な進め方3つのポイント
まずミーティングの前には、アジェンダをリスト化して参加メンバーに共有し、追加のアジェンダやアジェンダについてのコメント、議論の必要時間・優先順位なども入力してもらうと、当日の進行がスムーズになり濃い議論ができるようになる。
また当日は、議事録をモニター等に投影しながらとると、参加者全員の認識に相違がないか、確認しながら進めることができる。さらに、経緯・結論・宿題を分けて記載すると、後で見返した時に議論の流れがわかりやすくなる。宿題は、誰がいつまでに何をするのかを明記し、ミーティング後に全体に共有することで、やるべきことを漏れなく遂行することにつながりやすくなる。
出典元:リクルートマネジメントソリューションズ
構成/こじへい