「多様性が高いチーム」のメリットとデメリット
近年の職場では価値観や志向、スキル・経験などが多様なメンバーと共同する機会が増加している。
「多様性」は、うまく働けばチームの成果や創造性に良い結果をもたらすが、軋轢や衝突、遠慮が重なれば悪影響を及ぼす可能性もある。
多くの職場ではチーム単位で業務を遂行するため、各チームではその多様なメンバーを活かし合いながら、成果を上げていかなければならない状況だ。
そこでリクルートマネジメントソリューションズは、日本企業のチームにおける多様性経験の実態を明らかにしつつ、多様性のあるチームをうまくマネジメントし、成果や創造性につなげるためにはどうすればいいかについて、分析・考察した。
今回は結果のポイントの抜粋してお届けしたい。
「多様性が高いチーム」の“多様性”は、「年齢層の幅が広い」「保有知識やスキルのレベルにバラつきが大きい」という傾向がある。
職務系統別に特徴があり、営業職では勤務地が、サービス職では勤務地・勤務形態・雇用形態・専門性が、事務と技術においては専門性が多様である傾向が強い。
多様性が高いチームのうち45.0%が、業務・人間関係が共に良好
多様性が高いチームの業務・人間関係がうまくいっているかについては、職務系統別にはいずれも「共に良好」が最も選ばれた。その中でも、営業職では「業務推進状況に問題があるが、チーム内の人間関係は良好である」という回答が他より多く、サービス職では「業務推進状況は良好であるが、チーム内の人間関係に問題がある」という回答が他より多い傾向があった。
チームの成果とポジティブな関係がある多様性の種類は、「性別」「専門性」、ネガティブな関係がある多様性の種類は「勤務地」「知識・スキルレベル」。
多様性が高いチームのうち8割以上が「助け合いながら仕事を進めている」「メンバーは、チームで成果をあげることに貢献しようとしている」一方で、約7割が「チームのメンバーには心身に疲れが見られる」という結果も。
チームをうまく進めていく上で障害となる多様性の特徴は、「知識・スキルレベル」が最多で33%、続いて「価値観」28.2%、「年齢層」21.7%という結果に。
また、多様性が高くてよかったことは「異なる意見によってチームの成果があがる」「刺激がある」「楽しい」。
最後にリクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の所長 古野庸一氏のコメントを紹介しよう。
多様性をうまく生かすことがチームの力に
近年、チームが注目されています。それは、従来のやり方ではチームがうまく機能しないことを反映しています。
従来と比べると、メンバーの多様性と専門性が増しており、成果を上げるためには、コミュニケーションに時間をかける必要があります。
多様性をうまく生かせば、ミスを防ぎ、より創造的な成果が得られます。そのために、チーム内での心理的安全性を確保し、自由に発言できる場をつくっていくことが求められます。そのことは、単に創造性や学習に寄与するだけでなく、メンバーの満足度につながります。
会議の場での発言を促すのが難しいのであれば、メンバーとの1対1の対話を通して、メンバーのバックグランドを把握し、会議の場での発言につなげていくような仕掛けが必要です。
チームの良さは、それぞれの強みを生かし、弱みを補強し、他者を励まし、誰かの頑張りに刺激され、互いに切磋琢磨して、成長していくところにあります。そのことは、現代において、ますます求められていると言えるでしょう。
構成/ino.