株主総会は、株主によって会社の重要事項が決定される会議です。議題は会社経営方針の根幹に関わることから、役員の選定まで多岐にわたります。会社法により年1回の実施と開催時期は定められているため、開催日までの段取りを行い、入念な準備をしておく必要があります。
株主総会の目的
株主総会とは、株式会社に出資する株主が議決権を行使し、会社の重要事項を決定する最高意思決定機関です。株主総会は株式会社の実質的な所有者である株主の意見を反映させる場といえるでしょう。株式会社である以上、一部の例外を除き、必ず開催する必要があります。
まずは株主総会が主に何の目的で開催されるものなのか、整理してみましょう。
会社の重要事項の決定
会社の重要事項を決めるのが、株主総会の役割です。株主は、会社から経済的な利益を得る『自益権』と、重要な決定に参加する『共益権』を持っており、会社の将来を大きく左右する立場にあります。株主総会への参加は共益権の一つです。
株主総会は多数決で決議されますが、1株1議決権の原則に従って、株式を多く持っていればいるほど議決権を多く得られ、影響力が強まる仕組みとなっています。
議決が必要な事項
株主総会で議決が必要となる重要事項は大きく分けて三つあります。
定款の変更や新株発行、会社の解散・吸収合併など『会社の根幹に関わる事』、取締役の選任・解任など『会社の役員に関する事』、剰余金の配当や役員報酬の決定など『株主の利害に大きく関わる事』です。
株式会社は所有と経営を分離しており、所有者である株主は経営に直接携われるわけではありません。
定時株主総会と臨時株主総会の違い
株主総会は開催する時期によって種類が異なります。
毎事業年度が終了した後、一定の時期に開催される株主総会が『定時株主総会』です。法律上開催が義務付けられており、招集手続きがずさんであったり、そもそも株主総会決議の実態が無かったりする場合、株主は訴えを起こせます。
臨時株主総会は必要に応じていつ、何度でも招集できます。補充取締役の選任や新株予約権の発行などを決定するものであり、招集は任意です。定時株主総会と比較すると重要度は低いといえます。
株主総会はいつ開かれる?
会社の方向性を定める株主総会ですが、必要な時に開催される臨時株主総会とは違い、定時株主総会は会社法によって開催時期が定められています。
具体的にいつ、どのようにして開催時期が決められているのかをチェックしておきましょう。
年に1回定時株主総会を開催
定時株主総会は、『会社法 296条1項』により、一定時期に年に1回必ず開催しなくてはなりません。開催時期は決算期に左右されるケースが多く、上場会社は株主総会の時期を6月下旬としているところがほとんどです。
これは年度末決算が終わった後に、前年度の会社状況を整理して株主に報告するという目的と、法人税の税務処理がしやすいという理由があります。
開催時期は会社法で決められている
定時株主総会の開催時期は、『会社法 124条1項・2項』により定められています。会社法は法人を対象に定められた法律であるため、会社法に記載がある以上は株主総会の時期を任意に動かすのは認めらません。
基準日時点で株主名簿に記載されている株主が株主総会における権利行使ができるものとしており、さらに基準日から3カ月以内に株主総会を開催するよう定められています。
決算から3カ月以内に開催する必要がある
一般的には株式会社の基準日は決算日であり、事業年度末日です。そのため、会社法に準ずると、多くの企業は決算日から3カ月以内に株主総会を行う計算になります。
上場企業の多くが3月末を決算日としているため、結果的に3カ月後の6月下旬に株主総会を一斉に実施する傾向が生まれるのです。
ただし、いくつもの上場会社の株主総会の日時が重なってしまうと、株主の出席の機会が減少するという見方から、近年では開催日時を分散する動きも見られます。
株主総会開催の期限は最終営業日前日
株主総会の開催時期は決算日から3カ月以内との定めがあるため、3月決算の会社であれば6月末日が開催最終期限です。
しかし、総会での議論がうまくまとまらず、長引いてしまう可能性があります。会議が翌日持越しとなる可能性を見越すと、実質の開催期限は最終営業日の前日です。
開催日を決定したら、日時を逆算しながら開催準備を進めていきましょう。
計画的に準備を進める必要がある
株主総会を開催するためには、まず取締役会で株主総会の日時・場所・議題を決定しなければなりません。その後、株主に招待通知を送付し、総会の準備を進めていきます。
当日の開会・閉会宣言や決算報告、議案事項の陳述や質疑応答など、議事進行と会場設営も手配しましょう。特に質疑応答は、株主に対して会社の運営状況を納得してもらうためにも入念な準備が求められます。
『会社法 318条』により、株主総会は議事録を作成し、10年間の保存が義務付けられている点も忘れてはなりません。当日の議事録を誰がどのように作るかについても事前に決めておきましょう。
上場企業は準備の負荷が大きい
上場企業は決算終了後に作成が必要な書類の数が多く、株主を集めるにも手間が掛かります。企業規模が大きい分、株主総会の準備に掛かる負担が大きくなるのです。
会社の経営状況を整理する上で、経理部門にはひときわ大きな負荷が掛かります。自社が上場企業である場合は、できる限り早めの開催準備を行いましょう。
構成/編集部