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埼玉県警デジタル捜査班の元警部補が指南するデジタル犯罪からスマホの中の情報を守る方法

2020.04.23

都内では年間10万台のスマホ・携帯電話が紛失

2018年において、スマホ・携帯電話の紛失届があった件数は、東京都だけでも257,718件。対して、拾ったと届け出があったのは156,071件だという(警視庁調べ)。差し引き約10万台のスマホ・携帯電話が、失われたままという計算になる。酒席などの「つい、うっかり」で、大事なスマホを置き忘れてしまうのは、誰にでも起こりうるリスクだ。

失くしたスマホが犯罪者の手に渡る危険性

ところで、「失くしたスマホが、悪意を持った人物の手に渡ったら」と、考えたことはあるだろうか?

今やスマホは、キャッシュレス決済の主な手段であり、ネット閲覧履歴、SNSアカウント、住所録などといった個人情報のかたまり。犯罪者がこれを手にすることで、「所有者本人が被害者になるだけでなく、家族や恋人、友人知人、さらに仕事関係にも大変な迷惑をかける恐れがある」と警鐘を鳴らすのは、元埼玉県警の刑事で、現在は一般社団法人スクールポリスの理事を務める佐々木成三さん。各メディアで取り上げられ、今注目の『あなたのスマホがとにかく危ない』の著者でもある。

半数以上の人が推測されやすいパスワードを使用

本書を読むと、犯罪者目線では、いかに我々のスマホが無防備であるかがよくわかる。

例えば、PINコードや指紋認証といったセキュリティ対策。これがあるから、たとえ紛失しても大丈夫と安心するのは禁物。パスワードやPINコードについては、セキュリティ意識のある人なら、「123456」のような続き番号や自分の誕生日を使うのはNGなことはご存じのはず。ところが、「誕生日など推測されやすいものを避けて設定している」人の割合は、半数を切るという。過半数は、他人に容易に推測される数字を使っているのが実情だ。また、指紋や顔を認識する生体認証は、「よく撮れているポートレート写真」でも認証されてしまったケースが報告されるなど、脆弱性があるとも。

佐々木さんのアドバイスは、「なるべく複雑なパスワードやPINコードの桁数を多くして設定する」「信頼のおける利用者の多いパスワード管理アプリを利用して自動作成」せよと明快だ。こうしたアプリは、「複雑なパスワードの作り方」などで検索すれば見つかるという。

さらに、SIMカードもロックしておくこと、そして、画面ロック時に着信メッセージを盗み見されないよう、該当するプッシュ通知を設定でオフにしておくなど、佐々木さんは本書で、セキュリティ面の対策を詳しく解説している。

SIMカードもロックも忘れずに(本書85pより)

増加するスマホでのフィッシング詐欺

スマホを紛失してのトラブルだけでなく、普通に使っているときもネット犯罪に遭う人が増加しているという。

代表例の1つに佐々木さんが挙げるのは、フィッシング詐欺だ。本書には、大手宅配業者になりすました詐欺師の事例がある。まず、詐欺師は、SMS(ショートメッセージ)で標的のスマホに不在通知を送信。再配達に必要なアプリのインストールを求める。しかし、このアプリは、スマホを乗っ取り、個人情報を引き出すというものだった。被害者のスマホは勝手に、多数の知らない電話番号宛てに同様のSMSを送り、知らない間にキャリア決済で大量の買い物がなされ、銀行口座から代金が引き落とされてしまう…

こうしたフィッシング詐欺は、近年急増し手口も巧妙化しているという。共通するのは、「お客様のアカウントに不正アクセスがありました」などと不安を煽り、「必ずお読みください」といった緊急事態を思わせる件名で偽の公式サイトへ誘導すること。そこでクレジットカード等の個人情報の入力や、アプリをインストールさせる。指示に従ってしまったらアウトだ。

その対策として佐々木さんが挙げるのは、以下2点。

・心当たりのないメールやSMS、SNSのURLは開かない
・アドレスバーに鍵マークと正しいURLが表示されているか確認する

サイトの左上に表示される鍵マークは、第三者機関からSSLサーバー証明書の発行を受けて、正当なサイトだと認められていることを意味する。この鍵マークがなく、URLもあやしさを感じるのであれば、そのサイトから離れよう。

正式な企業サイトは左上に鍵マークがある

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