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埼玉県警デジタル捜査班の元警部補が指南するデジタル犯罪からスマホの中の情報を守る方法

2020.04.23

子どもの写真をSNSに投稿するのも危険

FacebookのようなSNSは、人とのコミュニケーションの輪が広がる便利なツールだが、思わぬところに落とし穴が待っている。

例えば、自分の子どもの写真の投稿。何の変哲もない写真から、まさかと思うような方法で住所が特定され、ストーカー被害に遭う危険性をはらんでいるのだ。

例えば、以下の投稿(画像は実際の話をもとにフリー素材を使って再構成)。娘の高校入学式の日に自宅そばで父親が写真を撮り、それをSNSで公開したものだが…

通学路での娘の写真がストーカー被害の発端に…(本書22pより)

この写真が、知らぬ間に某有名掲示板の「お気に入りの女子高生の写真を紹介し合うスレッド」に掲載されていた。コメントの中には「この制服は●●県立●●●高校だ」「写真の後ろに見えるのは●●団地で、撮った場所は●●●●公園だな」などとあり、ついには高校名や通学電車まで特定されている。

父親は掲示板に削除依頼をしている頃、娘のTwitterには、見知らぬ者から駅や通学路で隠し撮りした写真が送られ、ついには自宅のポストに、欲しいと思っていたスマホケースが届く。

父親が警察に迅速に被害届を出したおかげで、ネットストーカーは見つかり、事なきを得た。しかし、第二・第三のストーカーが現れないとも限らず、父親は引っ越しまで考えているという。

これは、ほんの1例。佐々木さんは、写真の背景に写り込んだコンビニの看板、電柱やマンホール、SNSでの同級生とのやりとり、はては自撮り写真の瞳に映った景色を手掛かりとして、学校や住所が特定される可能性を指摘する。そこから起こり得る被害は、ストーカーに遭う、子や親の個人情報が悪用される、ポルノのサイトに無断転載されるなど、さまざまだ。

さらに、幼いわが子の写真を背景に気をつけてアップしたつもりでも、その写真を入手した他人がSNS上で親になりすます「デジタル誘拐」というものまで起きているという。

こうしたリスクを避けるため、佐々木さんが一番の対策として推奨するのが、「子どもの写真をネットにアップしないこと」。それでも、どうしても投稿したいならば、以下の2点に留意するよう念を押す。

「一つは、子どもの顔を隠すのはもちろん、サイズや画質を落としたり背景をぼかすなどして、個人の特定につながる可能性のある情報が写り込んでいたとしても見えないようにすること。友人知人の子どもの写真を投稿する際にも同様の配慮が必要です。もう一つは、公開範囲を信頼できる友達までに制限すること。この前提として、実際に会ったことのある友人知人以外は、友達の許可をしないことも大事です」

佐々木さんの著書には、上で取り上げたケース以外にも、セキュリティの甘さやSNSでの個人情報公開の軽視などに起因するトラブルと対策が多数紹介されている。ただし、佐々木さんのスタンスは「だからスマホとは距離を置こう」でなく、「正しく怖がり、正しく向き合い、正しく活用する」。こうした利便性の高い機器は、生活を営む上で大きな力となってくれるのだから、リテラシーを持って注意深く使用していくのが正解だろう。

佐々木成三(なるみ)さん プロフィール
1976年、岩手県生まれ。元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課の警部補。デジタル捜査班の班長として、デジタル証拠の押収解析を専門とし、埼玉県警における重要事件において携帯電話の精査や各種ログの解析を担当。また、捜査本部に従事し、被疑者の逮捕、被疑者の取り調べ、捜査関係者からの情報収集、被害者対策、遺族担当として数多くの実績を挙げた。2017年、「事件を取り締まるのではなく、犯罪を生まない環境を作りたい」という思いから埼玉県警を退職。現在は、TV番組のコメンテーターとして出演するほか、学生を犯罪リスクから守ることを目的に設立された「一般社団法人スクールポリス」の理事を務め、学校・企業での講演など幅広い活動を行なっている。

文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

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