会社で定期的に実施される健康診断の検査内容は、法律で決められています。しかし、必要に応じてオプションとして検査項目の追加も可能です。健康診断の検査内容、費用、追加検診を把握して、自分の用途に合わせ、満足のいく健康診断を受けましょう。
会社の健康診断で検査ができる内容は?
会社員であれば、会社からの指示により、定期的に健康診断を受けます。健康診断では、どのような検査が受けられるのか、また人間ドックとはどのような点が違うのか紹介します。
健診内容は法律で決められている
定期健康診断は、会社が福利厚生の一環として任意に実施していると思っている人もいるのではないでしょうか?しかし実際には、『労働安全衛生法』で定められた義務行為です。
法で定められているため、会社独自の判断や個人の判断で、受診する・しないを決められるものではありません。また、健康診断の検査内容についても決められています。
参考:労働安全衛生法 第7章 健康の保持増進のための措置(第64条-第71条)|安全衛生情報センター
法定健診の診察科目
定期健康診断は、法律で決められているため『法定健診』と呼ばれることもあります。法定健診では、どんな検査をするかについても細かく決められています。
検査項目は、身体検査や聴力・視力・血圧・胸部X(エックス)線・心電図・貧血・肝機能・血中脂質・血糖値・尿など広範囲に及びます。また、業務歴や既往歴についての調査や自覚症状についても検査されます。
人間ドックとはどう違う?
会社で行う健康診断と人間ドックは、健康状態を検査する点において目的は同じです。大きな違いは、法的に定められた義務であるかどうかです。前述の通り、会社で働く人は1年に1回健康診断を受ける義務があります。一方、人間ドックはあくまで任意であり義務ではありません。
また、人間ドックは、受ける検査の選択が自由にできます。さらに、健康診断は年齢に合わせた基本的な検査のみですが、人間ドックは検査できる種類が増えます。
一般的に人間ドックでの対応可能項目は、腹部超音波検査・胃カメラ・肺機能検査・腫瘍マーカー・マンモグラフィなど、50~100項目にもなります。その中から自分の体調や家族の病歴により、必要な検査を選び受診できます。そのため、健康診断だけでは分かりにくい病気を早期に発見できるのがメリットです。
定期健康診断で掛かる費用は誰が払う?
定期健康診断を受けることになったときに気になるのが、費用についてではないでしょうか?一般的な健康診断の費用、また誰が負担するのかについて紹介します。
料金は医療機関によって異なる
一般的な健康診断に掛かる費用は、どの医療機関で受診するかにより異なります。これは、定期健康診断が保険適用外と決まっているためです。つまり、自由診療になるため、医療機関が自由に設定できるのです。
基本的なコースでの健康診断費用は、5000~1万5000円前後です。受診する地域や受診者の性別・年齢などにより変わることもあります。
企業には従業員の健診費用負担義務
企業が定期健診の義務を怠ることは、『労働安全衛生法』に違反することになります。これは、企業には従業員の健康に留意する必要があるためです。
このため、定期健康診断の費用は会社負担となります。ただし、会社負担といっても何から何まで全額適用されるわけではありません。自分で他の検査項目を追加したり、人間ドックを申し込んだりしたときは、差額を自己負担することになります。
定期健康診断にはいくつか実施パターンがありますが、事業所の規模によって、会社に医師を招いて健康診断を受けたり、指定の医療機関で受診したりするというのが一般的です。小規模事業所の場合は、従業員自ら医療機関を選んで受診した後、費用を会社に請求するといった方式が取られることもあります。
健康診断の内容を追加したい場合
会社で行う健康診断は、受けられる検査項目が決まっています。一般の健康診断には含まれていない検査を希望する場合は、どうすればよいのでしょうか?注意すべきポイントとともに紹介します。
オプション検査は任意で自己負担
会社の健康診断は、法律で定められた検査項目しか受けられないというわけではありません。もっと詳しく検査をしたい場合は、オプションとして検査を申し込めます。ただし、前述のように、費用は自分で負担する必要があります。
主なオプション検査は、頭部や胸部のCT・腹部エコー・胃部X線検査・胃部内視鏡・ピロリ菌検査・大腸がん検査・マンモグラフィ・子宮がん検診など多岐に渡ります。
医療機関によっては、目的ごとに検査を組み合わせたセットが用意されていることもあります。
健康診断は保険適用外
先に述べた通り、健康診断は医療保険が適用されません。保険診療は、あくまでも病気の症状があり、治療することが前提のためです。
健康診断の検査は、疾患がないかチェックする予防的観点から実施するもので、目的が大きく異なります。従って、オプション検査を追加するときは全額自己負担になります。
「定期健康診断は会社負担だからあれもこれも受診しちゃおう」と手当たり次第申し込むと、予期せぬほど高額な検査費用負担になってしまうため、事前に費用を確認しましょう。
なお、健康診断で疾患が見つかり診療や検査を行う場合は、病気の症状があるため、このケースでは当然、医療保険が適用されますので安心してください。
独自の制度を使える場合もある
会社で加入している健康保険組合によっては、独自の制度を設けている場合もあります。
例えば、子宮頸がんや乳がん検診に関して、助成制度が設けられていることも珍しくありません。対象年齢であれば、決められた助成金額が適用されます。この場合、全額自己負担でオプション検査を受けるよりも、かなり出費を抑えられることが多いです。
ただし、健康保険組合の指定する医療機関以外で受診する場合は、助成金の申請手続きが必要なこともあります。トラブルを防ぐためにも、事前に必要な手続きや受診方法など詳細について、しっかり確認するようにしましょう。
構成/編集部