あるアンケート調査結果によると、30代後半~40代の就職氷河期世代は、いまだに「やりたい仕事が見つからない/探し方がわからない」「どんな仕事が自分に合うのかわからない」といった悩みがあるようだ。
そこで理想の働き方をつくるビジネスコーチに、就職氷河期世代のビジネスパーソンがやりたい仕事の見つけ方のヒントを聞いた。
就職氷河期世代はいまだに仕事探しに迷走中
Indeed Japanが2019年12月に実施した調査で、転職氷河期世代のうち、3年以内に転職を考えている215名を対象に、転職(新しい仕事探し)における課題や不満を尋ねた結果、「年齢や性別が理由で採用されない(採用されにくい)」と感じている人が最も多い結果となった。
次いで、「やりたい仕事が見つからない/探し方がわからない」「どんな仕事が自分に合うのかわからない」といった、“自分のやりたいこと・合うことをみつける”ことに課題を見出している人が多かったという。
2位や3位については、転職氷河期世代ならではの悩みであるように見える。
就職氷河期世代がやりたい仕事を見つける手順
そこでこの年代に向け、やりたい仕事や自分に合う仕事の見つけ方を、理想の働き方をつくるビジネスコーチングを行う、リビングコーチの坂本歩惟(あい)さんに聞いた。
●あえてまったく違う視点から考えてみる
「やりたい仕事が見つからない、この仕事は合わないかもしれないと、考えが詰まってしまうときは、自分自身に条件や制限をかけすぎている可能性があります。
『条件・制限』よりも、一度、あえてまったく違う視点、広い視点で考えてみることをおすすめします。例えば、仕事を探すとなると、通常、『今の自分にできること』『過去の経験や資格』ベースで、求人サイトばかりを見たり、だいたい同じ条件で絞ったりして、自然と視野が狭くなってしまいます。一度、仕事探しの前に、まず自分がどんな価値観を持っているのかを知ることから始めてみましょう」
●自分はどんな働き方がしたいかを問いかけてみる
「価値観の見つけ方の例として、『なんでも叶うとしたら、どんな働き方がしたいか?』を、自分に問いかけてみます。もし、なかなか答えが出てこない場合は、逆に『どうなりたくないか? どんな働き方をしたくないか?』を、問いかけてみます。例えば、“早朝から外回りばかりする働き方”“会話が少ない職場”などが出てきたとします。その答えの逆が、自分の願望になるので、この質問をすることにより、自分がなりたくないもの『以外』の部分から、自身が大事にしている価値観を見つけることができます。
その価値観が『時間』や『お金』に関するものであれば、そこに条件を絞った探し方から見つけられますし、『人間関係』『職場の雰囲気』であれば、社風がわかるところを中心に見つけられます。もしかしたら、組織に属さないことが価値観として出てくるかもしれません」
●その他の自分への問いかけで、隠れた才能や特別なスキルを知る
「その他にも、『時間を忘れて没頭できることは何か?』を自分に問いかけて出た答えは、自分が好きで、得意で、興味のあることの可能性が高いです。
『よく人から相談されることは何か?』を問いかけて出た答えは、その分野に関して、問題を解決できる人、と認知されている証拠です。
『今まで時間とお金を使ってきたことは何か?』を問いかけて出た事柄は、人よりその分野詳しいということなので、教えることができます。
『仕事をしている中で、ついつい人に突っ込みたくなるシーンはどんなシーンか?』を問いかけて、例えば『この文章表現、もっとコンパクトになるのにな~』と思ったら。伝わりやすい文章を書くのが得意ということがわかります。
これらの質問から、自分の隠れた才能が見つかることもありますし、普段あなたが何気なくしていることが、誰かにとっては特別なスキルになります。それらが活かせる分野ってどんな場所だろう? という視点から仕事を見つけてみることもできます」
●複業から始めてみる
「今は、複業ができる時代です。逆を言えば、今回のコロナショックをきっかけに、会社にいるから絶対に安全という時代でなくなってきています。個人も、リスクなく仕事やスキルを持つことができる時代になりました。ですので、自分に合う働き方や仕事を見つける際には、5年前に比べたら、もっと自由に選べると思います。
先の質問の回答から見つけた、興味のあることや好きなことで、まずリスクなく、小さなことから複業を始めてみる。その上で、楽しく続けられそうなものや、夢中になることを見出していくのも、一つの選択肢だと思います。
決裁権は自分になるので、嫌だったら辞めればいいですし、気軽に始めたり辞めたりできるのが、複業のメリットでもあります。進めていく上で悩みが出てきたら、自分と同等の立場の人ではなく、強みを引き出してくれる人や、同じ悩みを抱え、乗り越えたことがある人へ相談することもおすすめです」
自分のやりたい仕事や合う仕事がいまだに見つかっていないと感じているなら、一度、新しい視点で自分を捉え直してみるのもいいかもしれない。
【取材協力】
リビングコーチ 坂本歩惟さん
栃木県出身。年収300万円のごく普通の営業事務を経験後、失恋をきっかけに起業。ゼロから500名以上の相談と自身の経験を元に、個人が理想の働き方を形にするサポートをしている。
https://ameblo.jp/jacksocial
取材・文/石原亜香利