株式会社UZUZ(ウズウズ)が第二新卒の20代に対して実施した調査で、退職理由の1位が「仕事が自分に合わなかった」となった。早期離職を避けるために、仕事が自分に合うか合わないかを判断するためのジャッジ方法について、若者のキャリア支援・就職支援を行う一般社団法人キャリアラボ代表理事の松田剛典さんに話を聞いた。
退職理由の1位は「仕事が自分に合わなかった」約20%
株式会社UZUZ(ウズウズ)は、2019年9月19日~2020年1月8日に20代の第二新卒(就業経験が3年以内の若手人材)を対象に、転職活動に関するアンケート調査を行った。
前職もしくは現職の退職理由として、「仕事が自分に合わなかった(20.84%)」と回答した人が最多となった。
そして退職理由1位から3位までを総合すると、共通点は「仕事や社風が合わない」と「労働時間が長い、ワークライフバランスが取れないなどの「忙しさ」であることがわかった。
「仕事が自分に合わない」と感じたときの対策
就職後3年以内に「仕事が自分に合わない」と感じたとき「離職する」以外の対策にはどんな方法があるだろうか。一般社団法人キャリアラボ代表理事の松田剛典さんによれば、大きく次の3つがあるという。
1.職場環境を変えるためのアプローチを行う
「今の職場環境を変えるために、上司や人事、周りの人に相談する方法です。職場環境が変わらず、辞めるとしても、今の環境の中でやれることを試してからでも遅くはありません。伝えるのはとても勇気のいることですが、伝えることで、職場環境が変わることもあります」
2.合わないと感じた理由を書き出して整理する
「感情的な判断をしていないか、確かめる方法です。仕事が合わないと感じた理由を書き出して客観視します。職場環境に問題があると思っていても、自分の言動にも課題があることもあります。自分の行動や発言を変えることで、同じ職場でも周りの反応が変わることがあります」
3.求人情報を見てみる
「求人情報を見ると、企業が求めている経験やスキルがわかります。早期退職の場合は、スキル不足になることも少なくありません。『自分の市場価値』を知ることで、本当に今辞めるべきか一度冷静に考えてみることも重要です」
松田さんは、次のようにも話す。
「心身を壊す恐れがある企業に関しては我慢して無理をすることは逆に良くないと思っています。その場合は、すぐにでも転職に向けて動き出してもよいと思います」
「仕事が自分に合わない」を防ぐための予防策
新卒入社して働き、3年以内に「仕事が自分に合わなかった」とならないための予防策を松田さんに聞いたところ、次のように答えが返ってきた。
「『仕事が合わない』と感じる原因は、『企業についての調査不足』や『選び方が誤っている』など、主に『企業理解不足』が原因のものと、自分が仕事に求めるものを自分自身で理解できていないことが原因の『自己理解不足』が原因のものの、2つの側面があります。
例えば、同じ企業でも、合うと感じる人と合わないと感じる人がいます。原因は人によって会社に求めるものが異なるためです。予防策としては、自分が働く上で『何を大切にしているか?』をしっかりと整理しておくことです。自分の中の優先順位が明確になることで、入社前に企業をどういった点をチェックしなければいけないかが明確になります。
企業理解と自己理解は、どちらかだけをすれば良いものではなく、両方をバランスよく行うことが入社後にギャップを生まない方法です」
「仕事が自分に合わない」と判断するときに気を付けたいこと
「仕事が自分に合わない」という判断をするときに、まだ入社3年目以内であれば、判断を見誤ることもあるかもしれない。松田さんに判断そのものを下す際に気を付けたいことを聞いた。
「仕事が合わないと判断をするときに気を付けたいことの一つ目は『判断のタイミング』です。入社して期間が短い場合は、仕事の全体像が見えておらず、目の前の仕事だけを見て判断していることがあります。結果的に、長い目で見たときに損をすることもあります。そのため、判断を急ぐのではなく、少し先のキャリアを見てからでも遅くありません。
次に気をつけたいポイントは、『客観的な判断ができているか?』です。辞めたいと感じているときは周りに相談もしにくいため、自分の思いだけで抱え込みがちになることがあります。自分の中で『これはおかしい』と思っていても、客観的に見たら問題ないこともあります。『社内の常識、世間の非常識』という言葉もあります。対策として、キャリコンサルタントなど外部の人間に話をしてみることも大切です。
最後は『仕事の意義を考える』ことです。ほとんどの会社で新人に任せられる仕事は限られています。まだまだスキルも知識も足りないためです。一方で、その仕事はその後のすべての仕事の土台となっていることも少なくありません。仕事のやりがいだけにとらわれず、『この仕事は何につながる仕事なのか?』と視点を変えて仕事に取り組むと、同じ仕事でも見え方や得られることが随分と変わってきます」
入社3年目までの若手社員で、「仕事が合わない」など感じ始めている人は、一度これらの内容をヒントに考え、行動してみるのもいいかもしれない。
【取材協力】
松田 剛典さん
一般社団法人キャリアラボ 代表理事
高校生・大学生・既卒者を対象に多様性を伸ばすキャリア支援を行っている。また、イキイキ働ける職場づくりに向けた企業への定着支援にも力を入れている。
https://kokoswitch.com/
取材・文/石原亜香利