僕の最大アマダイは、4年前に同船で釣った49.5cm。アマダイの大きさは50cmがひとつの目安で、僕の夢サイズだ。ちなみに正林さんは既に5匹以上、50cmクラスを釣っている。羨ましい限りだ
“大きいの、来ないかなぁ”と念じているとその時、明らかにサイズ感が違う、強烈なアタリが来た。グングン、竿がしなる。アマダイ釣りは大物なら電動にせず、手で巻くのがセオリーだ。10mほど巻き上げこれは電動で十分、デカアマに非ずと判断しスイッチ・オン。さて水深50mでも水深25mでも、まだまだ引きが強い。アマダイは浮き袋が膨らむので、次第に引きが弱くなるのにこの力強さは!? 鬼カサゴだと確信した。鬼カサゴは海面から水深200mまで戻れる魚で、最後まで強く引く。しかし正体は、デカアマだった。船長がメジャーで測って48cm。あと2cm、惜しい! だが釣果としては十分だ。斎藤釣法、城ヶ島沖のデカアマにも通用する。ところで正林さんは、今のところ釣果なし。
その後も外道が当たり続けるが、11時半、またしても大きなアタリがくる。まずは手で巻くが、これも電動でいいと思いスイッチ・オン。しかしなかなか引きがよく、手巻きで引きを楽しもうとスイッチ・オフ。いやさほど大きくないなと、再びスイッチ・オン。やはりいい引きだと竿先を見ていると、引かなくなってしまった。バラシだ。仕掛けを確かめると、針のチモト(結び目)がほどけている。
中途半端な対応を猛省だ。鬼と思った魚が、デカアマだった。さほど大きくないと思った魚が本命で50cm以上、なんてこともなくはないのだ。
以後も極小鬼カサゴ(リリース)をはじめ外道は釣れ続け、斎藤釣法はいよいよアマダイ釣りの真髄という思いが強くなる。そして12時40分、本日のハイライトが訪れた。強烈な引きにグンと合わせると、その重みはハンパじゃない。これはでかい。手巻きで慎重に対応するが、ときおり竿がグイグイ引き込まれ巻けなくなる。48cmより、はるかに手応えがある。僕の横でタモを構える船長も、「これは相当でかいですよ」。ついに50cm以上だと喜びを噛みしめながら、慎重に慎重に巻き上げる。やがて海中に大きなアマダイが見えてきて、タモに収まる。“やったー、50cm超え!!”。48cmより相当重く、55cm級では?
船長がメジャ-で測ると、なんとなんとの49cm……。丸々と太っていて、縦より横が大きいデカアマだった。だが失望は、全くなし。48cmに49cm、デカアマ2匹など滅多にないし、数も5匹(“鼻タレ”はノーカウント)と船中トップ。それより何より、やはり斎藤釣法はアマダイ釣りの真髄と確信できた。11月から始まる来シーズン、夢の50cmに出会うことは間違いなしだ。こうして今期最後のアマダイ釣りは、大満足での納竿となった。あ、忘れてた。正林さん、本日も釣果0なり。
向かって左が49cmで右が48cm。とても1cm差には見えない。
PS 釣り方記事ではないので詳述しないが、斎藤釣法とは、餌が底から数センチを漂う状態をできるだけ長くする釣り方だ。底は多少とはいえ高低があるので、一時的に底から数センチに餌があっても、そのままでは長くは続かない。また竿を上下に揺らす釣法もあるが、底から数センチにある時間が短くなるので、釣れる確率は低くなると考える。
文/斎藤好一(元DIME編集長)