ある日、上司から呼び出される。頭をよぎる嫌な予感。そして、「転勤、決まったから」の一言……
そんな会社員にとっていつか突然訪れるかもしれない「転勤」にまつわる意識調査が、このほど行われたので、その結果を紹介していきたい。
なお本調査は、転勤経験のある既婚男性ビジネスパーソン500名と、夫の転勤に伴い一緒に引越しをした経験のある既婚女性“転妻(てんつま)”500名の計1,000名を対象にして実施されている。
転勤経験のある既婚男性の63%が「転勤するなら、家族一緒に引越しをしたい」と希望
転勤を経験した既婚男性ビジネスパーソン500名(以下、「転勤経験のある既婚男性」)と、夫の転勤に伴い一緒に引越しをした経験のある既婚女性“転妻(てんつま)”500名(以下、「転妻」)を対象に、転勤に関する意識や実態を尋ねる調査が行われた。
もし転勤するなら、家族も一緒に引越しをすることが現実的に望ましいと思うか尋ねる調査が行われたところ、「はい」の割合は、転勤経験のある既婚男性では62.8%、転妻では78.4%と、転妻のほうが、転勤経験のある既婚男性と比べて15.6ポイント高くなった。
では、実際には、転勤で家族一緒に引越しをする人はどのくらいいるのだろうか。転勤経験のある既婚男性(500名)を対象に、直近の転勤経験で家族一緒に引越しをしたか、単身赴任だったか尋ねる調査が行われたところ、「家族一緒に引越し」は35.6%、「単身赴任」は64.4%となった。
「家族一緒に引越し」の割合を子どもの成長段階別にみると、未就学児の子どもがいる人(40.8%)、小学生の子どもがいる人(39.0%)、中学生の子どもがいる人(42.2%)ではいずれも4割前後となったのに対し、高校生の子どもがいる人(26.8%)では3割未満となった。
「転勤は自分にとってチャンスだ」転勤経験のある既婚男性の5割 「転勤は夫にとってチャンスだ」転妻の5割半
転勤経験のある既婚男性(500名)を対象に、転勤が決まったときの意識や考えに関する内容を挙げ、自身がどの程度そう思ったか尋ねる調査が行われた。
【転勤が決まって嬉しい】では、「非常にそう思った」が9.6%、「ややそう思った」が22.8%で、合計した『そう思った(計)』(以下同じ)は32.4%となった。転勤の決定を喜んだ人は少数派だった。
【転勤後の生活が楽しみ】では『そう思った(計)』が42.6%、【転勤は自分にとってチャンスだ】が50.6%となった。また、【会社を辞めたい】では、『そう思った(計)』が34.8%となった。転勤の決定に接し、“退職”という考えが頭をよぎったという人は少なくないことがわかった。
続いて、転妻(500名)を対象に、夫の転勤が決まったときの意識や考えに関する内容を挙げ、自身がどの程度そう思ったか尋ねる調査が行われた。
【転勤が決まって嬉しい】では『そう思った(計)』が36.4%、【転勤後の生活が楽しみ】が49.0%、【転勤は夫にとってチャンスだ】が54.8%、【夫に会社を辞めてほしい】が10.0%となった。
転勤経験のある既婚男性では【会社を辞めたい】と思った人の割合は34.8%だったのに対し、転妻では【夫に会社を辞めてほしい】と思った人の割合は10.0%と24.8ポイント低くなった。転妻の9割は、夫の転勤が決まっても会社は辞めずに続けてほしいと考えたようだ。
転勤経験のある既婚男性の32%が「転勤に伴って発生した費用は全額自腹」と回答
転勤経験のある既婚男性(500名)を対象に、直近の転勤に伴って発生した費用(引越し代のほか、転勤先での住居費用、帰省費用など)を、勤務先からの手当でどのくらい補えたか尋ねる調査が行われたところ、「費用の全て」(25.6%)は4人に1人の割合となった。
他方、「手当はなかった」は32.0%と、自費など、手当以外の方法で転勤費用全額を負担した人は少なくないようだ。
直近の転勤で家族一緒に引越しをした人と、単身赴任だった人の結果を比較すると、「費用の全て」は、家族一緒に引越しをした人では33.1%、単身赴任だった人では21.4%となった。「手当はなかった」は、家族一緒に引越しをした人では20.2%、単身赴任だった人では38.5%となった。
毎月の赴任手当の希望額は? 転勤経験のある既婚男性の平均は8.9万円/月、転妻の平均は9.1万円/月
転勤した人に対しては、勤務先から、給料にプラスして、住宅手当とは別に毎月“赴任手当”が支給される場合がある。では、いくらくらいの赴任手当を支給してほしいという人が多いのだろうか。
転勤経験のある既婚男性(500名)を対象に、転勤したら、赴任手当を1ヶ月に最低いくらくらい支給してほしいか尋ねる調査が行われたところ、「5万円~10万円未満」(23.8%)や「3万円~5万円未満」(22.2%)に回答が集まり、平均は8.9万円となった。
また、転妻(500名)を対象に、夫が転勤したら、赴任手当を1ヶ月に最低いくらくらい支給してほしいか尋ねる調査が行われたところ、「5万円~10万円未満」(28.0%)や「3万円~5万円未満」(24.8%)に回答が集まった。平均は9.1万円と、転勤経験のある既婚男性(8.9万円)と比べてやや高くなった。
家族一緒の転勤時に苦労したこと 転勤経験のある既婚男性の1位は「引越しの荷造り」
実際に転勤で家族一緒に転勤したときに、どのようなことに苦労した人が多いのだろうか。
転勤経験のある既婚男性のうち、直近の転勤で家族一緒に引越しをした人(178名)を対象に、転勤時に苦労したことを尋ねる調査が行われたところ、「引越しの荷造り」(46.1%)が最も高く、次いで、「引越しの手続き(届出・公共料金など)」(41.0%)、「新居探し」(35.4%)、「仕事の引き継ぎ」(32.6%)、「子どもの転園・転校手続き」(19.1%)となった。
家族一緒の引越しで、膨大な家財道具を仕分け、梱包することに苦労した人が多いようだ。
転勤前の直近の住居が持ち家だった人(47名)についてみると、「住宅の対処(住まなくなった持ち家をどうするか)」(55.3%)が最も高く、半数以上が苦労したこととして挙げていた。
転妻のうち、直近の夫の転勤で家族一緒に引越しをした人(383名)を対象に、夫の転勤時に苦労したことを尋ねる調査が行われたところ、「引越しの荷造り」(68.1%)が最も高く、次いで、「引越しの手続き(届出・公共料金など)」(60.6%)、「新居探し」(38.9%)、「不用品の処分」(28.2%)、「引越し業者の選定」(21.1%)となった。転妻の大半が、荷造りや引越しの手続きに苦労したようだ。
転勤前の直近の住居が持ち家だった人(87名)についてみると、「住宅の対処(住まなくなった持ち家をどうするか)」(52.9%)が3位に挙がった。
転勤経験のある既婚男性が上司・同僚に言われたくないセリフ 1位「頑張って」2位「良かったね/いいね」
転勤が決まったとき、周囲の人から“言われたくない”と感じるのは、どのような言葉なのだろうか。
転勤経験のある既婚男性(500名)を対象に、転勤をする際に、上司や同僚から言われたくないセリフを尋ねる調査が行われたところ、「頑張って」がダントツとなった。また、2位は「良かったね / いいね」、3位は「左遷だ」となった。
1位の「頑張って」は、何気ない励ましのように思える言葉だが、言われる側はプレッシャーを感じてしまうことがあるのではないだろうか。
続いて、転妻(500名)を対象に、夫の転勤の際に、友人・知人(ママ友など)から言われたくないセリフを尋ねる調査が行われたところ、1位は「大変だね」、2位は「うらやましい」、3位は「ご栄転?」となった。
1位の「大変だね」という言葉は、実際に言われると同情されているように感じて、いい気持ちがしない人が多いのではないだろうか。
転勤時、住まなくなった持ち家の対処方法 「身内以外に貸した」34%、「空き家」31%、「売却」20%
転勤前に持ち家(自分または配偶者名義、夫婦共有名義)に住んでいた人は、実際に、持ち家をどのように対処したのだろうか。
直近の転勤で家族一緒に引越しをした持ち家の人(134名)を対象に、直近の転勤の際、持ち家をどのように対処したか尋ねる調査が行われたところ、「賃貸物件として第三者に貸した」(33.6%)が最も高く、次いで、「空き家の状態で保有した」(30.6%)、「売却した」(20.1%)となった。
次に、持ち家を賃貸物件として貸すことに、どのようなメリットがあると思うか尋ねる調査が行われたところ、「家賃収入が得られる」(64.9%)が最も高く、次いで、「元の勤務地に戻った時にまた住める」(39.6%)、「家の老朽化を防げる」(37.3%)、「防犯対策になる」(30.6%)、「思い出のある家を持ち続けられる」(20.1%)となった。持ち家を所有したまま家賃収入を得られる点をメリットだと感じている人が多いようだ。
また、売却などで手放さず所有し続けることで、戻ってきた時にまた住める点や、空き家ではなく人が住み続けることで老朽化を防げる点に、メリットを感じている人も少なくないことがわかった。
「転勤族の妻になったことを後悔していない」転妻の87%
転妻は、転勤族の妻になったことをどのように感じているのだろうか。
そこで、転妻(500名)を対象に、転勤族の妻になったことを後悔しているか尋ねる調査が行われたところ、「している」は12.8%、「していない」は87.2%となった。
転妻の大多数が、転勤族の妻になったことを後悔していないことがわかった。子どもの成長段階別にみると、未就学児の子どもがいる人では「している」が24.6%と、他の層より高くなっていた。
また、出世しなくてもいいから転勤を断ってほしいと思ったことがあるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は21.8%だった。
子どもの有無別にみると、転勤を断ってほしいと思ったことがある人の割合は、子どもがいる人で23.0%、子どもがいない人で17.8%と、子どもがいる人のほうが高くなっていた。
子どもの成長段階別にみると、「ある」と回答した人の割合は、未就学児の子どもがいる人で32.8%と、他の層より高くなった。子どもが小さいうちは、夫には転勤を断り、育児や家事を手伝ってほしいと考える妻が多いようだ。
高校生がいる転妻の6割が「ママ友作りに苦労した」と回答
子どもがいる転妻(382名)を対象に、転勤先のママ友作りで苦労したことがあるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は43.7%、「ない」は56.3%となった。半数近くが、ママ友作りに苦労した経験があることがわかった。
子どもの成長段階別にみると、高校生の子どもがいる人では「ある」が59.2%となった。