最近の食トレンドはとにかく「ヘルシー」
ホールフーズが発表した「食トレンド2020」も大半がヘルシー商品・食材が取り上げられている。この傾向はパンのトレンドにも影響を与えている。
グルテンフリーは下火に?
少し前まで人気だったグルテンフリーのパン。
アメリカにおけるグルテンフリー市場は2桁の成長率を継続していたが、最近その伸び率はかなり鈍化している。
その理由は消費者が「グルテンフリー≠ヘルシー」ということに気付き始めたため。
そもそもグルテンフリーとは?
2017年にプロテニスプレイヤーのジョコビッチ選手が取り入れたことをきっかけに、セレブの間で有名になった「グルテンフリー」。
グルテンフリーは、もともとグルテンに対するアレルギー症状である「セリアック病」の治療方法だったもので、あくまで「セリアック病」患者のための療法。
グルテンに対し異常な免疫反応を持っている「セリアック病」の患者は、グルテンが含まれた食べ物を口にすると、腹痛や下痢、倦怠感などの症状が現れる。こういった疾患を持つ人がすべき療法が「グルテンフリー」である。
ちなみにセリアック病は、欧米に多くみられる疾患で、人工の約1%ほどだと言われている。日本の患者数は諸説あるが、だいたい0.05%ほどと、非常に稀な疾患。
グルテンフリーは「IBS(過敏性腸症候群)」にも効果があると言われているが、いずれにせよ何かしらの疾患を持っている人向けのもの。
「グルテンフリーの食品を食べれば痩せる」「グルテンフリーの方が健康」と認識している人が多いが、決して「グルテンフリー=ダイエット向けの健康食品」ではないのである。
次のトレンドパンは?
グルテンフリーが下火になってきた今、注目を集めるパンはどんなパンだろうか?
1.健康的な肉体をつくるプロテインパン
トレンド発祥の国アメリカでは、クッキーなどスイーツにもプロテイン(たんぱく質)量が記載されていたり、スターバックスでプロテインボックスが発売されるなど、空前のプロテインブーム。
また、たんぱく質が豊富に含まれた「ひよこ豆」などの豆類を粉末状にして作ったパンがスーパーに並んでいる。
http://countryharvest.com/en/home/
ちなみに最近渋谷にオープンしたカフェ「Pepper Parlor」でも、ひよこ豆を使用したワッフルが提供されている。
たんぱく質は筋トレの効果を上げるだけでなく、疲労回復や免疫力の向上、肌荒れ防止など、様々な効果があるため、健康的な肉体をつくるためには欠かせない栄養素である。
日本でも今後この流れはくるだろう。
2.腸内環境を整えてくれる発酵パン
同じくアメリカで高まっているのが「発酵食品」。
昔から、ヨーグルトやケフィアなどの乳製品、あるいは野菜を瓶詰めにして発酵させたピクルスやサワークラフトなど西洋発の食品は人気でしたが、最近ではオシャレな瓶詰め納豆が発売されるなど、納豆やキムチといったアジア発の発酵食品もブームになっている。
その理由の1つが腸内環境を整えてくれること。
発酵食品を積極的にとることは、腸内環境を整えながら免疫力を高めて病気を予防する効果が期待できるのである。
発酵食品ブームにより、人気が出てきそうなパンが「サワードウ」
小麦粉・水・ヨーグルトで作る、少し酸味のきいたパン「サワードウ」。酵母の旨みを噛み締められる、シンプルなサワードウは、ワインとの相性も良く「パン飲み」のお供にもってこいのパンである。
3.アンチエイジング効果のあるオメガ3パン
医学が進歩し、高齢化が進む現在注目される「アンチエイジング」
「老化のスピードをできるだけ遅くし、いつまでも若々しくありたい」と願う人々が注目している分野である。
アンチエイジングに効果的と言われている栄養素が、「オメガ3脂肪酸」
オメガ3脂肪酸には、心臓病のリスクを低下させるなどの効果があると言われている。オメガ3脂肪酸を含む食品として、クルミや亜麻仁(フラックスシード)などが挙げられる。
南青山に最近オープンした「BARTIZAN Bread Factory」には、亜麻仁がたっぷり詰まった「グレイン」をはじめとする、ヘルシーなこだわりブレッドが揃っている。
日本の食材が注目される絶好のチャンス!
上記で紹介したパンはどれも日本の伝統食材が生きてくる。
プロテインパンは「黄な粉、大豆、豆乳」を、発酵パンは「味噌」を、オメガ3パンは「えごま」などを練り込むことで作ることができる。
日本の伝統食材を活用したヘルシーなパンを作れば、国内は勿論、パンが主食の海外でも人気の商品が生まれるかもしれない。
文/小松佐保(Foody Style代表)