近年、働き方の多様化が進み、フリーランスや個人事業主など企業に所属せずに、自分のペースで好きな場所で働くという選択をする人が増加している。
しかし、1人で起業したり、フリーランスで働くのはハードルが高く、リスクも大きい。そこで注目されているのが、企業に正社員として所属しながら家で作業する「在宅勤務」という業務形態。では、本当に正社員ながら在宅勤務という働き方はできるのだろうか。
そもそも在宅勤務って?
まずは、在宅勤務とは具体的にどういった働き方なのかを説明していこう。
出社の必要がない!?
在宅勤務とは、昨今よく耳にする「リモートワーク」の一種。インターネットの普及により、時間や場所を問わずにネットワークにアクセスできる現代では、オフィスにわざわざ出向かなくてもできる仕事が多く存在する。そのため在宅勤務は、様々な事情でオフィスに行けない人にも、自宅で仕事ができるように整備されてきている注目の働き方だ。
女性の社会進出に影響!?
女性の社会進出が当たり前になってきている現代。しかし、現実的には産休や育休をとるのはいまだに女性が大半であり、休業後に会社に復帰するのも、ブランクがあり難しいと考える人も多い。在宅勤務であれば、産休や育休で休むしかなかった人たちが、短い時間でも自宅で作業でき、社会から離れずに過ごせるため、採用する企業が増えてきている。
在宅勤務のメリットとデメリット
では、在宅勤務にはどのようなメリットやデメリットが存在するのだろうか。
通勤時間は0分!
在宅勤務をするメリットの1つは、通勤時間を短縮できるという点だろう。人によっては1時間以上かかってしまう通勤時間をカットでき、プライベートに割く時間を増やせるだけでなく、仕事も効率的に行えると考えられる。
会社にもメリットがある!?
在宅勤務は、従業員だけでなく会社にとってもメリットがあると考えられる。従業員が自宅を仕事場とすると、支店や営業所の縮小が可能となり、オフィスコストの削減につながる。
また、少子高齢化が進む日本では、将来的に大規模な人員不足が予想される。在宅勤務などの柔軟な勤務形態を採用し、従業員が働きやすい環境を整えるのも、会社にとって必要な動きだろう。
仕事とプライベートの線引きが……
自宅で作業をするのは、仕事の時間とプライベートの時間に明確な線引きをするのが難しくなってしまうという性質がある。特に家事や育児の合間に仕事をする場合は、その都度仕事に向かって集中しなければならないので、効率面で不安があるだろう。
評価基準の一新が必要!?
これまで仕事に取り組む姿勢や勤務態度も評価の対象にしていた会社は、在宅勤務で社員の姿が一切見えなくなってしまうと、評価が難しくなってしまう。業務の進捗を結果だけで判断しなければならないため、評価の基準を変える必要があるだろう。
在宅勤務の正社員って可能?
前置きが長くなったが、ここからが本題。在宅勤務の正社員雇用は現実的なのだろうか。
在宅勤務が可能な職種
まずは職種。工場や現場仕事では当然在宅勤務は難しく、IT系やクリエイティブ系の職種のほうが一般的だろう。在宅勤務には、専門性が高く、社員独自の裁量に任せて業務を行う場合が多い職種が適しているといえるだろう。
大手企業は正社員でも在宅勤務可能!?
在宅勤務を可能にするためには、企業側がネットワークシステムを構築し、セキュリティ対策なども万全にしなければならない。そのため、一般的に中小企業よりも潤沢な資金がある大手企業のほうが、在宅勤務へ積極的に取り組める。日産自動車や、日本電気などの取り組みが好例だろう。
新卒や未経験でも正社員での在宅勤務は可能?
現状、未経験の業種や新卒社員の在宅勤務を導入している企業はかなり少ない。最初はやはり1人で働くのは難しく、先輩や上司に仕事を教わるのがどの会社でも共通なので、最初のうちは出社するのが一般的だろう。
しかし、近年はチャットツールなども充実し、自宅にいながら顔をみて会話ができる。パソコンの画面を共有しながら指導もできるため、これから先未経験者や新卒社員でも在宅勤務を認める会社は増えてくるだろう。
※データは2020年3月上旬時点での編集部調べ。
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文/佐藤文彦