目次
近年、働き方の多様化が進み、フリーランスや個人事業主など企業に所属せずに、自分のペースで好きな場所で働くという選択をする人が増加している。
しかし、1人で起業したり、フリーランスで働いたりするのはハードルが高く、リスクも大きい。そこで注目されているのが、企業に正社員として所属しながら家で作業する「在宅勤務」という業務形態。では、本当に正社員ながら在宅勤務という働き方はできるのだろうか。
在宅勤務という働き方の特徴
まずは、在宅勤務とは具体的にどういった働き方なのかを説明していこう。
在宅勤務という働き方の特徴1:出社せずにWebを利用して自宅などで業務をこなす
在宅勤務とは、昨今よく耳にする「リモートワーク」の一種。インターネットの普及により、時間や場所を問わずにネットワークにアクセスできる現代では、オフィスにわざわざ出向かなくてもできる仕事が多く存在する。そのため在宅勤務は、様々な事情でオフィスに行けない人にも、自宅で仕事ができるように整備されてきている注目の働き方だ。
在宅勤務という働き方の特徴2:女性のキャリアアップやスタッフの介護離職防止に期待
女性の社会進出が当たり前になってきている現代。しかし、現実的には育休を取得するのは女性が大半であり、本人や周囲が休業後に会社に復帰するのも難しいと考えるケースも多い。
また、超高齢化社会では、親の介護は男性・女性、未婚・既婚を問わず身近な問題だ。
在宅勤務であれば、長期の育休を取得するしかなかった人や家族の介護で離職するスタッフが短い時間でも自宅で作業でき、社会から離れずに過ごせる。労使の双方に利点があることから現在は採用する企業が増えている。
在宅勤務のメリットとデメリットは?
では、在宅勤務にはどのようなメリットやデメリットが存在するのだろうか。
在宅勤務のメリット1:通勤がなく時間の自由度が高まる
在宅勤務をするメリットの1つは、通勤時間を短縮できるという点だろう。人によっては1時間以上かかってしまう通勤時間をカットでき、プライベートに割く時間を増やせるだけでなく、仕事も効率的に行えると考えられる。
在宅勤務のメリット2:会社の事務所・営業所のコスト削減が可能
在宅勤務は、従業員だけでなく会社にとってもメリットがあると考えられる。従業員が自宅を仕事場とすると、支店や営業所、事務所などの縮小が可能となり、オフィスコストの削減につながる。
また、少子高齢化が進む日本では、将来的に大規模な人員不足が予想される。在宅勤務などの柔軟な勤務形態を採用し、従業員が働きやすい環境を整えるのも、会社にとって必要な動きだろう。
在宅勤務のデメリット1:仕事とプライベートの線引きが難しく意図せぬ残業につながりやすい
自宅で作業をするのは、仕事の時間とプライベートの時間に明確な線引きをするのが難しくなってしまうという性質がある。特に家事や育児、介護の合間に仕事をする場合は、その都度仕事に向かって集中しなければならないので、効率面で不安がある。
知らないうちに残業をしたり、出社時よりも労働時間が増えてたりといった事態を避けるためには勤怠管理とスケジューリングが不可欠だ。
在宅勤務のデメリット2:評価制度や昇給条件の見直しが必要な場合がある
これまで仕事に取り組む姿勢や勤務態度も評価の対象にしていた会社は、在宅勤務で社員の姿が一切見えなくなってしまうと、評価が難しくなってしまう。業務の進捗を結果だけで判断し、それを元に昇給・昇進も判断しなければならないため、評価の基準を変える必要があるだろう。
在宅勤務ができる正社員求人はある?主な職種や大手企業の取り組み
前置きが長くなったが、ここからが本題。在宅勤務の正社員雇用は現実的なのだろうか。
在宅勤務が可能な職種はIT系のエンジニアのみ?
まずは職種。在宅勤務・リモートワークと言えば、ITエンジニアなど限られた職業のみなのでは?と考える人も多い。
たしかに、介護や保育、工場、建築、荷物の宅配といった現場仕事で在宅勤務をすることは難しいが、IT系やクリエイティブ系の職種に加えて、最近は、営業職や販売職、カスタマーサービスなども在宅勤務の可能な企業が増えている。自分には専門知識がないからとあきらめず、求人サイトで検索する際は在宅勤務制度の有無もチェックしよう。
大手企業は正社員の在宅勤務制度を取り入れているところが多い
在宅勤務を可能にするためには、企業側がネットワークシステムを構築し、セキュリティ対策なども万全にしなければならない。そのため、一般的に中小企業よりも潤沢な資金がある大手企業のほうが、在宅勤務へ積極的に取り組める。日産自動車や、日本電気などの取り組みが好例だろう。
新卒や未経験の転職者でも正社員の在宅勤務は可能?
現状、未経験の業種や新卒社員の在宅勤務を導入している企業はかなり少ない。最初はやはり1人で働くのは難しく、先輩や上司に仕事を教わるのがどの会社でも共通なので、最初のうちは出社するのが一般的だろう。
しかし、近年はチャットツールなども充実し、自宅にいながら顔をみて会話ができる。パソコンの画面を共有しながら指導もできるため、これから先未経験者や新卒社員でも在宅勤務を認める会社は増えてくるだろう。
コロナ禍をきっかけに正社員の在宅勤務は決してめずらしくないものとなっている。在宅勤務という働き方に興味がある人は、テレワークで自由時間が増えた職業や在宅勤務をする人々の声もあわせてチェックしてみると良いだろう。
テレワークのメリットのひとつ「通勤時間の有効活用」を最も実感している職業は?
新型コロナウイルスの流行を契機に多くの企業で導入されたテレワークだが、コロナ禍が収束した今、その価値や有用性が改めて議論されている。 では2023年現在、人々は...
※データは2024年5月上旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※製品のご利用、操作はあくまで自己責任にてお願いします。
文/佐藤文彦