都心直通とダイヤの工夫で東京・横浜双方へ便利に
「相鉄・JR直通線の開業によって、当社は大変選択肢の多い路線になりました」
と胸を張るのは、相模鉄道・経営企画部の井上剛志さん。
「横浜はもちろん、都心の渋谷、新宿に1本で行けますし、小田急線にも接続しています。お勤め先やショッピングなど、沿線から多方面に移動しやすくなりました」
従来の相鉄沿線は、横浜や海老名での乗り換えが必要な「神奈川の少し奥にあるエリア」だった。それが湘南新宿ラインと同等以上の利便性を備える路線に変貌した。
「リーズナブルかつ自然が豊かであることが相鉄沿線の強みです。新宿からの時間距離が44分前後である当社沿線の二俣川駅とJR東戸塚駅の住宅価格相場を比較すると、二俣川のほうがやや安いようです」(井上さん)
都内への通勤や横浜へのショッピング、大学への通学など、
様々なニーズに対応できる路線になりました
全体計画担当
相模鉄道 経営企画部 交通戦略担当課長
井上剛志さん
相鉄線って?
横浜駅と横浜市南西部を結ぶ大手私鉄
横浜駅と海老名駅とを結ぶ相鉄本線24.6kmと、二俣川駅から分岐して湘南台駅までを結ぶいずみ野線11.3km、JR直通線(相鉄新横浜線)2.1kmの路線を有する大手私鉄。旅客線延長38.0kmは大手私鉄16社中、最小だ。輸送人員は年間2億3300万人(2018年度)で、阪神電鉄に近い規模となる。
横浜に出やすく、沿線には「こども自然公園」のような無料で遊べるスポットもある。相鉄とJRが結びつくことで、子育てにも最適な、大きな〝伸びしろ〟を備えたエリアが出現したのである。
もっとも、相鉄の激変はこれから始まる。現時点でのJRへの直通列車は1時間に2〜4本。沿線の利用者からは、「消費増税前に購入した6か月定期を使ってから利用する」という声や、「便利だけれど本数を増やしてほしい」という声が聞かれるが、実は、現在もうひとつの直通線、相鉄・東急直通線が2022年度下期の開業を目指して建設中なのだ。
羽沢横浜国大駅から新横浜を経て日吉駅で東急電鉄に乗り入れる路線で、東横線および目黒線方面と直通運転を行なうほか、新横浜で東海道新幹線にも直結する。1時間に10〜14本の運行を予定しており、こちらが開業した時こそ相互直通運転の本番となる。
一方で、横浜発着の列車の減便を懸念する声もある。これについて、運輸車両部の工藤賢治さんは「運行できる本数に制約がある中、直通列車と同一ホームで接続させ、できる限り従来と変わらない所要時間と利便性を提供する」と説明する。同時に、朝のラッシュ時には各駅停車のみだったいずみ野線に、通勤特急と通勤急行を設定。逆に海老名駅からの本線には、ラッシュ時に各駅停車を設定し、混雑せずにゆったり通勤・通学したいというニーズに対応した。
JRは埼京線用のE233系7000番台を使用する。12000系とは見た目が大きく異なるが、基本的な性能は共通化されている。
JRへの直通列車だけでなく、朝のラッシュ時にはいずみ野線から
通勤特急・通勤急行を設定。横浜方面への利便性も向上しました
ダイヤ担当
相模鉄道 運輸車両部 計画課長
工藤賢治さん