■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
キャンプでは料理が大きな楽しみのひとつ。
大好きな景色を眺めながらだと、ただ肉を焼いただけなのに満たされる。少しくらい焦げていてもそれがうまみだと思えるから不思議だ。
けれども、キャンプを続けていると、いつしか「料理で仲間を驚かせたいけれど、食材や調味料をいろいろそろえるのは大変そうだし、調理の工程が複雑なのは面倒」という葛藤が生まれる。普段、料理をしない人ならなおさらだ。
ていねいにだしをとり、手間暇かけた100点満点の料理ではなく、“手間をかけずにおいしさ90点”をテーマに活動する野外料理研究家であり、この春『家でも食べたい!! キャンプで大人気! ベアーズ島田キャンプのサボり飯』(主婦の友社)を出版したばかりのベアーズ島田キャンプさんに、料理ビギナーでも作れる、簡単なのに満足度が高いキャンプ料理のヒントを教えてもらった。
缶詰や漬物のうまみを利用
「いつも持っていく調味料は、塩・しょうゆ・油・味噌・ケイジャンスパイス。これをナイフ、火ふき棒とともにポーチにまとめています。案外、これくらいで十分。和の気分ならこれに白だしをプラスしています。めんつゆでもいいのですが、白だしは砂糖が入っていない分、アレンジしやすいと思います」(ベアーズ島田キャンプさん)
味噌は生味噌タイプの即席味噌汁。
ソロキャンプなら2〜3袋あれば十分。だし入りなのでうまみが濃く、調味料の数を減らすことができる。わかめや貝など具が入っているけれど、取り除くことはせずそのまま使うそうだ。
ケイジャンスパイスは応用しづらそうに思えるが、ポテトチップスなどスナック菓子に振りかけるだけでピリッとスパイシーな酒のつまみに変身する。酒好きならではの発想だ。
「調味料をいろいろそろえても、結局使わずに賞味期限が切れてしまいます。缶詰や漬物はうまみが詰まっていますから、それらを利用すると少ない調味料でも断然おいしくなります」(ベアーズ島田キャンプさん)
<サバ缶豆腐>
①サバの水煮缶を汁ごと鍋に入れ、軽く身をほぐす。
②食べやすい大きさに切った絹ごし豆腐、白だし、水を加えて加熱。
③グツグツしたら、小口切りのネギと一味を散らして完成。
材料は見ての通り。カット済みのネギを使えば切るのは豆腐くらいなので料理ビギナーも安心だ。サバ缶の汁に白だしを加えることで、どこか上品な風味に仕上がる。ふわふわの豆腐にだし汁がからむやさしい味は、〆料理にもよさそう。
<オクラ・ショウガの豚巻き>
①オクラとショウガの漬物を豚バラ肉で巻き、鉄板で焼く。
②ウスターソースと塩、こしょうで味を調えたらできあがり。
オクラを豚肉で巻くだけではなく、オクラに切り込みを入れてショウガの漬物を挟んでいる。こうすることで漬物のうまみが加わるし、どこか生姜焼きのような風味になる。
「ショウガの漬物は火を通しすぎると柔らかく歯ごたえがなくなってしまいます。ショウガは生に近く、オクラはサッと火を通す程度にしたくてこの巻き方を考えました。豚肉に火が通れば、ちょうどいい具合の火の通り方になっているでしょう」(ベアーズ島田キャンプさん)
ちなみに、漬物の汁は捨てず、冷凍枝豆を漬けて枝豆の漬物風にしてもいいそう。無駄がない。