コーヒーホリックの私。1日1回はカフェを訪れ、コーヒーを買う。
昔はスターバックス一筋だったが、最近「ドトール」に足を運ぶ機会が増えた。
かつて、「タバコの臭いが充満するおじさんのたまり場」というイメージがあったドトールだが、今その面影は全く残っていない。
進化するドトール
最近のドトールの進化は目をみはるものだ。例えば、「白ドトール」。
従来のドトールの看板は黒色だが、「白ドトール」は看板含め、店内全てが白を基調とした洗練されたデザイン。
“究極の白ドトール”と言えば、「ドトール赤坂一丁目店」
GUCCIの店舗をデザインした実績も持つ西脇一郎氏が手掛けたお店で、高い天井と、壁面に植えられた緑の植栽が開放感を与える。
完全分煙になっているためタバコの臭いも気にならない。
店内にはおじさんだけでなく、若い女性の姿も多く見られ、「おじさんのたまり場」だったドトールの姿はそこにはない。
スターバックスを抜かして顧客満足度1位に輝いたドトール
2019年に実施された日本版顧客満足度指数(JCSI)調査で、ドトールは顧客満足度1位に輝いている。
調査は、カフェ・ベローチェ、コメダ珈琲店、サンマルクカフェ、スターバックス、タリーズコーヒー、ドトールコーヒー、ミスタードーナツの7ブランドを対象に実施された。
カフェ界の王様「スターバックス」を抜いて、ドトールが顧客満足度1位になったというニュースは、当時ちょっとしたニュースになったほどだ。
顧客満足度スコア推移
https://activity.jpc-net.jp/detail/srv/activity001562/attached2.pdf
ドトールのどのような点に、お客様は魅かれているのだろうか?
ドトールのここが強い!
1.優れた商品開発力
ブランディングやマーケティングは勿論重要だが、何と言っても一番大切なのは商品力。
ドトールの商品開発力は強い。
注文を受けた量だけを自社工場で丁寧に焙煎し、店舗に運ぶことで、常に新鮮な状態が保たれたコーヒー豆。
本場ドイツの職人にアドバイスを受け、味と食感、製法に徹底してこだわったジャーマンドックのソーセージ。
Photo:https://www.doutor.co.jp/dcs/
本格的な香りが楽しめるブレンドコーヒー(S)の価格は1杯約220円と、とてもリーズナブル。
1993年に登場してから20年以上も愛され続けている大人気のベストセラー商品「ミラノサンド」だけではなく、トレンドをおさえた限定商品も忘れてはならない。
例えば、去年の夏に発売された「タピオカドリンク」。
空前のタピオカブームにのっかって発売された2種類のタピオカドリンクは、値段は450円と他のタピオカティー専門店の商品と比較して安いながらも、「本格的で美味しい!」とSNSで話題となった。
さらに冬には「温タピ」も発売。
長期間愛されるロングセラー商品のみならず、時代やトレンドの変化に柔軟かつスピーディーに対応できる商品開発力がドトールの強みだろう。
2.ありのままの自分でいられる雰囲気
意識の高い人がMacBookを広げていたり、オシャレなインスタグラマー女子で溢れているスターバックス。ダサイ恰好で入ろうものなら、店員や客からの視線が気になってしまう。
それに対し、「肩肘を張らずに気軽に入れる、適度なお洒落さ」であるドトールの入店ハードルは低い。
2011年のキャッチコピー「頑張る人の頑張らない時間」がまさにそれを表している。仕事にプライベートに頑張っている人が、ホッと一息つき、自分らしく過ごせる時間。そんな時間をドトールでは過ごすことができる。
あるいは、広告表現。
昔ネットで話題になったのがドトールのコピー「コーヒーとショートケーキ、おいしい」
このコピーが現れた時、ネットで「ヘタクソ過ぎて萌える」と話題になった。
複雑な言い回しをせず、ストレートで分かりやすいコピー。
無理してよく見せようと思わず、ありのままで勝負するドトールに生活者は魅かれているのである。
今人々が「恰好つけず、親しみやすい雰囲気」を求めているという事は、様々な分野で見て取れる。
例えばInstagram。不自然なほど加工された完璧な写真を掲載していたセレブ達だが、今は違う。
アメリカの女優ズーイーは、「#ノーメイク」「#加工なし」というハッシュタグと共に、目の下のクマがはっきりと分かる自然体な写真をInstagramにアップしている。
https://www.instagram.com/p/oG4ex9rjhM/?utm_source=ig_embed
一昔前までは、「華やかなライフスタイルを切り取った写真」を投稿し、フォロワーの“憧れ”となるようなインフルエンサーが人気だったが、最近は「リアルな悩みや不安を打ち明ける」等身大のインフルエンサーが増えている。
こういった時代だからこそ、「ありのままの自分」を受け入れてくれる雰囲気を醸し出しているドトールに多くの人が虜になっているのではないだろうか。
3.みんなの味方
スターバックスのブランドターゲットは?と言われれば、「仕事もプライベートも充実した、都会の意識高い層」とすぐに答えが返ってくる。
ではドトールのブランドターゲットは?と言われると、少し考えてしまう。
タバコを吸いながらアイスコーヒーを飲むサラリーマン、ミラノサンドとカフェラテでランチをするOL、ミルクレープを食べながら話に花を咲かせる主婦…と様々な人が連想される。
誰もが「自分も行っていいんだ」と思えるような雰囲気を醸し出している。それがドトールなのである。
そして、飲食店が全面禁煙化を進めるなかで、ドトールは分煙を貫いていることからも分かるように、ドトールは決してお客様を排除することはしない。
完全禁煙店が一部あるものの、肩身の狭い思いをしている喫煙者をも歓迎している。
幅広い客層から愛されるドトールはまさに「みんなの味方」なのである。
1杯1,000円を超えるブレンドコーヒーを提供する、超高級喫茶店「神乃珈琲」の出店数を増やすなど、チャレンジングを続ける株式会社ドトールコーヒー。
今後の動向に注目である。
文/小松佐保(Foody Style代表)