「現在の職場に70歳まで就労できる制度がある」40.9%、職種によって制度の有無にばらつきがある結果に
続いて、自身の職場での70歳までの就労について質問が投げかけられた。
全回答者(1,000名)を対象に、現在自身が勤めている職場では70歳まで就労できる制度があるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は40.9%、「ない」は59.1%となった。
職種別にみると、「ある」と回答した人の割合は、販売(50.0%)やサービス・警備・清掃(67.2%)、医療・介護・福祉(52.5%)、専門職(53.3%)、土木・建設・農水産(56.7%)で半数以上となった。70歳までの就労制度の有無については、職種によってばらつきがあるようだ。
また、現在自身が勤めている職場では、70歳まで就労できると思うか尋ねる調査が行われたところ、「できると思う」は43.0%、「できると思わない」は57.0%となった。
職種別にみると、「できると思う」と回答した人の割合が半数以上となったのは、販売(56.3%)やサービス・警備・清掃(64.2%)、教育・カルチャー・スポーツ(50.0%)、土木・建設・農水産(70.0%)だった。
現在の自身の勤め先で、70歳まで就労できると思わない人(570名)を対象に、その理由を尋ねる調査が行われたところ、「70歳まで働ける制度がない」(56.5%)が最も高く、次いで、「体力的に自信がない」(37.4%)、「処遇が低い」(25.3%)、「これまでに前例がない」(13.3%)、「65歳以上の人ができるような仕事がない」(10.7%)となった。
そもそも70歳まで働ける制度がないということのほか、体力面の心配や処遇の低さが理由となっているケースが多いようだ。
男女別にみると、「体力的に自信がない」は女性47.2%と、男性(28.7%)と比べて18.5ポイント高くなった。長く働けない理由として体力面を挙げるのは男性より女性ということがわかった。
職種別にみると、「70歳まで働ける制度がない」と半数以上が回答したのは、営業(64.7%)、事務・オフィスワーク(65.3%)、製造・工場・倉庫(61.2%)、IT・エンジニア(71.4%)、「体力的に自信がない」と半数以上が回答したのは医療・介護・福祉(55.8%)だった。
「高齢者雇用の拡大の議論が政府で進んでいることを知っている」69.8%
全回答者(1,000名)を対象に、政府において、高齢者雇用の拡大の議論が進んでいることを知っているか尋ねる調査が行われたところ、「知っている」は69.8%、「知らない」は30.2%となった。
また、政府が70歳までの就労機会確保に向けた施策を推進していくことに賛成か尋ねる調査が行われたところ、「賛成」は71.4%、「反対」は28.6%で、肯定的にとらえている人が多数派となった。
回答者の年齢別にみると、「賛成」と回答した人の割合が最も高かったのは65歳~69歳(87.0%)、最も低かったのは45歳~49歳(61.0%)だった。
どのような理由から、政府が70歳までの就労機会確保に向けた施策を推進していくことに賛成または反対だと考えているのだろうか。
賛成の理由をみると、「いずれ年金の支給開始が70歳からになると思うから」や「労働力不足の解消と技術の伝承が必要だから」、「知識、経験、スキルがある人を活用しないのは、会社としても国としても正しい判断だとは思わないから」、「『人生100年時代』と言われているから」、「働くことで社会との接点を持てると思うから」、「働ける環境があれば働きたいと思う人はいると思うから」といったコメントが多く挙げられた。
反対の理由をみると、「年金受給の先送りにつながるから」や「若い世代の就職の機会を奪うことにつながるから」、「企業の受け入れ態勢が整っているとは思えないから」、「働かなくても安定した生活ができる制度を望んでいるから」といったコメントが挙げられた。
「病気や体力の衰えがあっても働き続けたい」74.2%
全回答者(1,000名)を対象に、病気や体力の衰えがあったとしても、働けるうちは継続して働きたいと思うか尋ねる調査が行われたところ、「働きたいと思う」は74.2%、「働きたいと思わない」は25.8%となった。可能な限り働き続けることに対し前向きな人が多い結果となった。
職種別にみると、「働きたいと思う」と回答した人の割合は、サービス・警備・清掃(79.1%)と医療・介護・福祉(79.2%)が高く、8割だった。
では、長く仕事を続けることを考えた場合、どのようなことが不安要素となるのだろうか。
全回答者(1,000名)を対象に、65歳以降も働く場合、どのような心配があるか尋ねる調査が行われたところ、「自身の体力が持つか」(65.5%)が最も高く、次いで、「自身の健康を維持できるか」(57.5%)、「十分な所得が得られるか」(48.4%)、「年金制度が変わらないか」(37.8%)、「自身が希望する働き方で働けるかどうか」(31.7%)となった。長く仕事を続けることを考えた場合、健康面を不安視している人が多いようだ。
男女別にみると、「十分な所得が得られるか」(男性54.6%、女性42.2%)では女性と比べて男性のほうが10ポイント以上高く、「自身が希望する働き方で働けるかどうか」(男性26.4%、女性37.0%)では男性と比べて女性のほうが10ポイント以上高くなった。
65歳以降の仕事において、所得面で不安を感じるのは女性より男性、自分なりの働き方ができるかどうかを重視するのは男性より女性ということがわかった。
65歳以降の就労が当たり前になった場合の現役世代への影響予想 1位「年金支給開始年齢が遅くなる」
最後に、高齢者雇用が一般的になった場合の、現役世代への影響について質問が投げかけられた。
全回答者(1,000名)を対象に、65歳以降も働くことが当たり前の時代になった場合、現役世代へはどのような影響があると思うか尋ねる調査が行われたところ、「年金の支給開始年齢が遅くなる」(43.5%)が最も高く、次いで、「賃金の上がり方が緩やかになる」(30.6%)、「働く場が少なくなる」(25.4%)、「昇進・昇格が遅くなる」(16.4%)、「マネジメントが難しくなる」(15.1%)となった。年金制度や賃金の上昇具合に影響が出ることを予想する人が多いようだ。
※連合調べ
<調査概要>
◆調査タイトル :高齢者雇用に関する調査2020
◆調査対象 :ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする
全国の45歳~69歳の有職者
◆調査期間 :2019年12月18日~12月20日
◆調査方法 :インターネット調査
◆調査地域 :全国
◆有効回答数 :1,000サンプル
(45歳~49歳、50歳~54歳、55歳~59歳、60歳~64歳、65歳~69歳の
各年代が均等になるように抽出)
◆実施機関 :ネットエイジア株式会社
出典元:日本労働組合総連合会
構成/こじへい