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ガソリン車は先代より圧倒的に静かになったホンダの新型「フィット」クロスターグレード試乗レポート

2020.03.02

さて、新型フィットのガソリン車は1.3Lエンジンに限られるようになった(先代は1.5Lもあった)。それを知って、新型のメインはe:HEVと呼ばれるハイブリットモデルだから、ガソリンエンジン搭載車にはあまり期待できない・・・と考えていた。しかし、実際に走らせてみると、そんなことはない。

出足のスムーズさ、静かさは、「これ、ハイブリットモデルか!!」と思えたほどで、エンジンを回すシーンでも、エンジンの透過音が見事に抑えられ、それこそ先代のハイブリットモデル、1.5Lのガソリン車より、同条件では圧倒的に静かなのである。

新型フィットはハイブリットモデルでも加速性能はジェントルに、穏やかにしつけられているが、このガソリン車もそうした印象は変わらない。が、それがむしろ、走行性能の心地よさに直結していると思える。コンパクトカーでも、実に大人っぽい走りのテイストが伝わってくるのだ。動力性能的には、1~2名乗車であれば、市街地走行はもちろん、高速走行でも過不足ないと思える。そして、乗り心地も素晴らしい。終始、フラットかつマイルドなタッチを示し、ボディ剛性の高さもあって、快適そのもの。シートのかけ心地の良さと合わせ、先代にあった、しっかり感の裏側にある硬さなど、みじんも感じられないのである。

ハイブリッドモデルとの走行性能の差で気づいたのは、アクセルオフ、あるいは下り坂でのミッションの制御。ハイブリッドモデルは絶妙かつしっかりとした減速制御が入り、ダラダラと加速したりしないのだが、このガソリンモデルはその制御が弱め。走りやすさではハイブリッドモデルに一歩譲る印象はないでもない。

ただし、車重の軽さもあって、軽快感、キビキビ感ある走りを望むユーザーには、こちらが向いているかもしれない。グレード的にはベーシックは対象外としたい。というのは、新型フィット全車中、唯一、フルLEDヘッドランプが装備されず、新型自慢の室内の上質感を演出し、手触りもいいソフトパッドが備わらないグレードだから。ガソリン車は特に、206・8万円(FF)のHOME以上が買うべきグレードと考えたい。

また、新型フィットに新設定されたクロスターグレードは、クロスオーバーテイストある、ルーフレールやホイールアーチプロテクターなどを付加した独自のエクステリアデザインを採用するとともに、例えばフリードのクロスターとは違い、しっかりと最低地上高をUP。標準車の135mmから150mmに高めている。極悪路には不向きだが、アウトドアライフで遭遇するジャリ道や雪道にはより強いはずである。

乗り心地に関しては、最低地上高に余裕を持たせ、専用サイズのタイヤを履くため、標準型フィットよりもやや硬め、というか路面によってゴツゴツしたタッチを伝えてくるものの、あくまで極上の乗り心地を示す新型フィットの標準モデルに対して・・・ということで、不快な突き上げ感に見舞われることなどほぼないから、安心していただきたい。

なお、つながるフィットになる、あおり運転被害対策にも効果絶大なSOSコール、トラブルサポートのオペレーターサービスが前席頭上の赤と青のボタンで行える最新のホンダ・コネクトは、NESS以上に専用車載通信機とともに用意され、対応のホンダギャザスナビゲージョンを装備することで使えるようになる。NESS以下のグレードではオプションとなるが、大いなる安心のために、ぜひとも装着してほしい機能である。

ホンダ・フィット
https://www.honda.co.jp/Fit/

文/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

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