高性能タブレットと超軽量PCの『iPad』と『Surface』。人気の両機のどちらを選ぶかで悩んでいる人も多いのでは? そこでデジタル製品の専門家に徹底検証してもらった。
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話パソコンなどデジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。
1ラウンド|12.9インチ『iPad Pro』vs『Surface Pro X』
まず始めに、12.9インチの『iPad Pro』と『Surface Pro X』を比較してみよう。
12.9インチの大画面もタブレットなら超軽量
Apple
『iPad Pro』(12.9インチ)11万1800円〜
大画面12.9インチのLiquid Retinaを搭載する。それでいてLTE版で633gと軽量のため、大画面を気軽に持ち運びたい向きにはおすすめ。
DATA
●画面サイズ:12.9インチ(2732×2048)
●本体サイズ:W214.9×280.6×5.9mm
●重量:Wi-Fi 631g/Cellular 633g
●チップセット:A12X Bionic
●メモリ:非公開
●ストレージ:64GB、256GB、512GB、1TB
●OS:iPadOS
●駆動時間:最大9時間〜
7.3mmと超薄型でLTEにも対応する13インチ2 in 1モデル
Microsoft
『Surface Pro X』12万9000円〜
7.3mmの極薄ボディにWindows 10 Proを搭載。SSDは最大512GBまで選べて、駆動時間は最大13時間と高性能。それでいて重量は774gと軽量だ。ARMベースのPC用Windows10を搭載する。
DATA
●画面サイズ:13インチ(2880×1920)
●本体サイズ:W287×H208×D7.3mm
●重量:774g
●チップセット:Microsoft SQ1
●メモリ:8GB、16GB
●ストレージ:SSD 128、256、512GB
●OS:Windows 10 Pro(Office Home & Business 2019)
●駆動時間:最大13時間
対決1|画面の操作感
「12.9インチでも動きは軽快です」
『iPad Pro』
12.9インチ版でも「『iPad Pro』は操作レスポンスが良好です。ただし、11インチ版同様、トラックパッドがないキーボードにやや不便を感じることもあります」
「ベゼルが薄く、大型の13インチタッチスクリーンが快適」
『Surface Pro X』
狭額縁・大画面13インチで「タッチへの反応などの操作感は良好です。クアルコム社のカスタムプロセッサ採用でスタンバイ時の電池もちもいいですね」
対決2|画面の精細感
「広色域ディスプレイは発色が自然ですね」
『iPad Pro』
12.9インチモデルの解像度は2732×2048ピクセルで、ピクセル密度は264ppiとなっている。広色域ディスプレイのため「発色が自然で見やすいですね」
「色も自然で見やすい画面です」
『Surface Pro X』
画面解像度は『iPad Pro』と同クラスの2889×1920となっており、モニターの精細感は高い。「色合いは自然で見やすい画面ですね」
対決3|タッチペンの操作感
「側面にマグネットで付き充電はラク」
『iPad Pro』
「『Surface』は単6形乾電池を利用しますが、『iPad Pro』は充電式。マグネットで側面につけるだけで充電できますし、使いやすさもアップしてます」
「Surface Slim Penの使い勝手は高い」
『Surface Pro X』
『Surface Pro X Signature』 キーボードは『Surface Pro X』でスリムペンをペンガレージに保管して充電する設計。「いちいち収納先を探す必要がなく便利です」
対決4|キーボードの操作感
「12.9インチでもキーボードはやや小さめ」
『iPad Pro』
「12.9インチ用のキーボードもサイズは大きくないです。手の大きな人はやや使い勝手に慣れが必要でしょうね。ただし、コンパクトで持ち運びはラクです」
「ガラス製トラックパッドが使いやすい」
『Surface Pro X』
「『iPad Pro』はトラックパッドが付属しないので、画面での操作が必須です。それに対して、『Surface Pro X』のガラス製トラックパッドはやっぱり使いやすいです」
対決5|ロック解除
「Face IDが使いやすい」
『iPad Pro』
画面ロック解除に顔認証の「Face ID」を使うため、操作はイージー。反応も素早く使い勝手はよい。「TrueDepthカメラによる顔認識は精度が高いですね」
「生態認証で素早くロック解除できます」
『Surface Pro X』
スタンバイ状態からWindows Helloの顔認証によって、ほぼ一瞬でサインインを可能にする。「瞳の虹彩認証も併用しており、精度は高いですね」
対決6|ウェブブラウザの閲覧
「『iPhone』ユーザーにはSafariが使いやすいはず」
『iPad Pro』
『iPhone』のブラウザーと同様、Safariを標準とするため、「『iPhone』ユーザーは操作に戸惑うことも少ないはずです。同じApple IDで共有できるのも便利です」
「基本はPCなので、マルチタスクでの閲覧はラク」
『Surface Pro X』
「そもそもPCなので、マルチタスクで複数のウィンドウを開けてウェブブラウザを閲覧するなんて、『Surface Pro X』にはイージーです」
対決7|Office系アプリの作業性
「『iPad』向けのアプリを使えば問題なしです」
『iPad Pro』
「『Microsoft Office』を『iPad』用に提供しており、Office系のアプリも問題無く利用できる。「『Pages』などのApple用のアプリとの互換性には要注意です」
「Microsoftの製品同士だから使い勝手は抜群」
『Surface Pro X』
「『Surface Pro X』と『Microsoft Office』はMicrosoftの製品同士なので、純正環境下で相性は最高です。ノートPC同様にサクサク利用できます」
対決8|動画視聴・ゲームアプリの操作感
「画面は見やすいがアスペクト比には注意」
『iPad Pro』
動画視聴時の画面は精細で、美しい。しかし、『iPad』の画面比率は最近の映画に比べて縦長のため「画面に黒い帯が出ることもありますね」
「Windows向けアプリの流通量は豊富」
『Surface Pro X』
「Windows向けの動画・ゲームアプリは流通量が多く、充実しています。サウンドは『iPad Pro』がやや有利ですが、それを補うコンテンツ数です」
対決9|外部入出力
「USB-Cが使いやすいですね」
『iPad Pro』
ほかの『iPad』と異なり、『iPad Pro』はUSB Type-Cを採用「汎用性が高く、充電性能も高まりました。Lightningケーブルからの買い換えは注意が必要ですね」
「USB Type-C×2、LTEにも対応」
『Surface Pro X』
「USB Type-Cが2か所利用できるのがうれしいですね。さらに、nano SIMのスロットも持ち、LTEに対応。充実の外部入出力です」
対決10|重量感・収納性
「600g台の軽さで12.9インチは魅力」
『iPad Pro』
Wi-Fiモデルで631g、Wi-Fi+Cellularモデルで633gと「12.9インチ大画面を考えると軽量で持ち運びはラクですね」
「ノートPCの性能をタブレットサイズで実現します」
『Surface Pro X』
「13インチのノート PCと同等の性能が、タブレットサイズで手に入るのはやはり魅力です。774gは性能を考えると破格。これだけでも購入意欲をそそります」