産業能率大学総合研究所が、2018年11月、従業員数100人以上の企業に勤務するマネジャーを対象に実施した「仕事センス※に関するアンケート」で、「行動力」のある人に仕事のセンスを感じるという意見が出ていた。
そこで今回は、ビジネスにおける「行動力」のある人が持つ各スキルについて、営業強化、リーダー強化等、年200回の研修・講演・コーチングを行う伊庭正康さんにアドバイスしてもらった。
※仕事センスとは…「顧客や組織の様々な期待に応えるために、周囲の状況を感じ取り、自分で判断してやり遂げる総合的な力」のこと
「行動力」のある人は仕事がデキると思われる?
産業能率大学総合研究所のアンケート調査結果で、「あなたの周りで“仕事センス”を感じる人の行動・エピソードがあれば教えてください。」の問いに対する具体的なエピソードとして、次のものは「行動力」に特化したスキルを何かしら感じるものだった。
・仕事に対する前向きな姿勢が他の職員の見本となり、職場内が活性化した。(65歳/男性/運輸業)
・周囲を巻き込んでテンポ良く仕事を進める人がいる。(41歳/男性/製造業)
・社内折衝が上手く、事前に同意を得てスムーズに仕事を進めている。(55歳/男性/製造業)
・面倒事を他人に押し付けずに自ら率先して行う姿勢にセンスを感じる。(28歳/女性/その他)
・いい意味で遠慮しない、即行動する。周囲への根回しができているから、周囲に「こっちの都合も考えろよ」的な雰囲気がない。(55歳/男性/卸売・小売業)
「即行動」できる人はなぜできるのか?
「行動力」がある人と言えば、思い立ったらすぐに行動に移すというイメージがある。
なかなか行動に移せない人もいる中で、即行動できる人というのは、なぜそれができるのか? 伊庭さんは次のように話す。
「サクッと、短時間で手離れをさせたいと思っているからだと感じます。
即行動する人は、『重要度×緊急度』で優先順位を考えていると思われます。例えば、『重要度が高く、緊急度の高い』商談、提案書作成等、『重要度が高く、緊急度が低い』3か月後の締め切りながら重要な業務等と、優先順位の高い順にタスクを滞りなく進めるために、『緊急度が高く、でも重要度が低い』業務メール、確認作業等は、サクッとスキマ時間に短時間で手離れをさせたいと思っているのではないでしょうか。
つまり、どんな仕事に対しても即行動しているわけではなく、優先順位通りに動いているのだと思います。迷いがないという意味で行動が速く見えるのかもしれません」
周囲を巻き込んでテンポよく進めるために必要なスキル
また行動力のある人は、周囲をうまく巻き込み、テンポよく物事を進めていく特徴もある。これにはどんなスキルが必要なのか?
「2つあります。一つは、納期相談を“スグ”に相手に持ちかけることです。『差支えなければ、3日後までお時間を頂戴することは可能でしょうか?』と“スグ”にテンポよく相談することです。そうすることで、相手と自分とのテンポ(歩調)をそろえられます。これは、自分のテンポで仕事をするコツにもなります。
もう一つは、1~2分のスキマ時間に、対応できることは済ませることです。最近のおすすめは、スマホの音声入力機能です。これを使えば、30秒あればスマホからメールなどの返信ができるようになります」